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第八章 僕の素顔は彼しか知らない
78.ギルディア
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二人で眠った夜は、お互いに熟睡していたようでリューも朝まで眠れたみたいだった。
僕はリューが起きてから暫くして目が覚めて、久々にゆっくりと身体を動かしていたリューが僕の様子を見に来たところでちょうど目を覚ましたらしい。
「お前も良く眠っていたようだな。休息できるときはするべきだ」
「うん……リューは相変わらず早起きだ」
「食料の買い出しの前に少し鈍った身体を動かしていた。まだ本来の動きまで戻ってはいないが、一日でほぼ戻せるはずだ」
「はあ……調子を崩してもリューはリューだ。僕も眠いだけで問題ない。さすがに備蓄を買い足さないと餓死しちゃうからな」
欠伸をしながら身体を起こす。
リューと訓練する前に、少し食べ物を口にした方が良さそうだ。
あまり考えていなかったけれど、もう少し備えておいた方がいいかもな。
缶詰や長持ちするものを多めに買い足して、休暇分の食料を確保しよう。
気怠い身体を起こし、僕も身支度を整えることにする。
リューも軽く汗を流しに行ったみたいだし、その間に着替えてしまおう。
+++
普段はギルド内の配給分で食料を賄うことも多いけれど、きちんと料理するとなれば都市へ行ったほうがいいだろう。
この隠れ家は人里から離れた、高台の上の海に囲まれた場所だ。
ギルドへ行くにはここから乗り物に乗っても小一時間かかる。
複数人用魔導車は高くて用意できないが、二人乗りの魔導車はギルドがご丁寧に支給してくれているので招集がかかった場合はリューと二人で乗って都市へ向かっている。
僕らのいるギルド自体は都市に属していて、ギルド長同士が議会によって都市を治めている。
都市と言っても、国で言う街のようなものは複数入るくらいの大きな都市だ。
都市はギルディアという名で呼ばれているが、ギルド同士の摩擦もよくあることで力のあるギルドが互いを牽制し合っている状態だったはず。
ギルド同士は不可侵条約を結んでいるから、万が一のことがあった場合は反旗を翻したギルドを速やかに排除する取り決めが交わされているらしい。
ギルディアには共通の施設として、ギルド同士が力を競い合う闘技場や外部からの旅人を出迎える宿泊施設などがある。
都市にある施設は共通施設とギルドが受け持つ施設に分かれており、食料は商人ギルドが受け持つ区域にある市場や各店で取りそろえることも可能だ。
僕たちが所属しているメルセネールは、街の警備や不審者の対処に力を貸すこともあるが本業ではない。
どちらかと言えば外部の依頼を請け負って金を稼いでいる傭兵ギルドなのに、ギルド長は議会の中でもかなり力を持っている。
戦争が起こった場合、矢面に立つのはメルセネールということもあり力では敵わないと思われているのかもしれない。
「買い物するなら商人ギルドの区域に行こうか」
「そうだな。そういえばアルヴァーノは商人の家の者だったか。父親は商人ギルドの人間か」
「そう。家は武器や防具を取り扱う商人だ。まあ、僕にはあまり関係ない」
商人ギルドは色々な分野で裏から支えることが多いため、家の父親も商人ギルドの中ではそれなりの力がある。
メルセネールと父親との繋がりは深いからこそ、僕がメルセネールにいるのだけれど……実際はただの厄介払いだ。
僕は商人に興味も持てないし、元々家を継ぐ権利もない。
メルセネールへは社会勉強という名の宣伝で送り込まれただけで、父親と兄弟からも元からいない存在として扱われてきた。
お前には力がない、母親似の顔だけが取り柄なのだからギルド長を誘惑してでも供給量を増やしてこいだとか言っていた気もする。
やる気もなかったので本来の理由など忘れてしまったけれど、ギルド長は僕の手に負えるような人物じゃないくらい分かっているだろうに。
僕はリューが起きてから暫くして目が覚めて、久々にゆっくりと身体を動かしていたリューが僕の様子を見に来たところでちょうど目を覚ましたらしい。
「お前も良く眠っていたようだな。休息できるときはするべきだ」
「うん……リューは相変わらず早起きだ」
「食料の買い出しの前に少し鈍った身体を動かしていた。まだ本来の動きまで戻ってはいないが、一日でほぼ戻せるはずだ」
「はあ……調子を崩してもリューはリューだ。僕も眠いだけで問題ない。さすがに備蓄を買い足さないと餓死しちゃうからな」
欠伸をしながら身体を起こす。
リューと訓練する前に、少し食べ物を口にした方が良さそうだ。
あまり考えていなかったけれど、もう少し備えておいた方がいいかもな。
缶詰や長持ちするものを多めに買い足して、休暇分の食料を確保しよう。
気怠い身体を起こし、僕も身支度を整えることにする。
リューも軽く汗を流しに行ったみたいだし、その間に着替えてしまおう。
+++
普段はギルド内の配給分で食料を賄うことも多いけれど、きちんと料理するとなれば都市へ行ったほうがいいだろう。
この隠れ家は人里から離れた、高台の上の海に囲まれた場所だ。
ギルドへ行くにはここから乗り物に乗っても小一時間かかる。
複数人用魔導車は高くて用意できないが、二人乗りの魔導車はギルドがご丁寧に支給してくれているので招集がかかった場合はリューと二人で乗って都市へ向かっている。
僕らのいるギルド自体は都市に属していて、ギルド長同士が議会によって都市を治めている。
都市と言っても、国で言う街のようなものは複数入るくらいの大きな都市だ。
都市はギルディアという名で呼ばれているが、ギルド同士の摩擦もよくあることで力のあるギルドが互いを牽制し合っている状態だったはず。
ギルド同士は不可侵条約を結んでいるから、万が一のことがあった場合は反旗を翻したギルドを速やかに排除する取り決めが交わされているらしい。
ギルディアには共通の施設として、ギルド同士が力を競い合う闘技場や外部からの旅人を出迎える宿泊施設などがある。
都市にある施設は共通施設とギルドが受け持つ施設に分かれており、食料は商人ギルドが受け持つ区域にある市場や各店で取りそろえることも可能だ。
僕たちが所属しているメルセネールは、街の警備や不審者の対処に力を貸すこともあるが本業ではない。
どちらかと言えば外部の依頼を請け負って金を稼いでいる傭兵ギルドなのに、ギルド長は議会の中でもかなり力を持っている。
戦争が起こった場合、矢面に立つのはメルセネールということもあり力では敵わないと思われているのかもしれない。
「買い物するなら商人ギルドの区域に行こうか」
「そうだな。そういえばアルヴァーノは商人の家の者だったか。父親は商人ギルドの人間か」
「そう。家は武器や防具を取り扱う商人だ。まあ、僕にはあまり関係ない」
商人ギルドは色々な分野で裏から支えることが多いため、家の父親も商人ギルドの中ではそれなりの力がある。
メルセネールと父親との繋がりは深いからこそ、僕がメルセネールにいるのだけれど……実際はただの厄介払いだ。
僕は商人に興味も持てないし、元々家を継ぐ権利もない。
メルセネールへは社会勉強という名の宣伝で送り込まれただけで、父親と兄弟からも元からいない存在として扱われてきた。
お前には力がない、母親似の顔だけが取り柄なのだからギルド長を誘惑してでも供給量を増やしてこいだとか言っていた気もする。
やる気もなかったので本来の理由など忘れてしまったけれど、ギルド長は僕の手に負えるような人物じゃないくらい分かっているだろうに。
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