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かみなりのなかで

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うさぎが もりのなかで あそんでいました



「あんなに はれていたのに」



いつのまにか そらは くろいくもに おおわれています




「あめが ふってきたら たいへんだ」



うさぎは いそいで はしりだしました




すると ぽつぽつ あめが ふってきました



「ふってきちゃった」




うさぎは あわてて おおきな きのしたに にげこみました




「あら あなたも あまやどり?」



つやめいたこえに うさぎは ふりむきました




となりには くろいねこが あめにぬれた からだを 



ていねいに なめていました




「こんにちは」



うさぎは すこし おどろいたけれど



にっこり わらって あいさつしました






うさぎが はなしを はじめようと したときです




そらが ぴかっと ひかって



おおきな おおきな おとが なりました




うさぎは うずくまって めを とじました




「あなた かみなりが こわいの?」



くろねこが うさぎをみて いいました



「かみなりは だいきらい

ぼく おおきな おとが にがてなんだ」




また ぴかっと ひかって 



おおきな おおきな おとがなりました




うさぎは ひめいを あげました




「だいじょうぶ」



くろねこは やさしく いいました



「だいじょうぶじゃないよ」



うさぎは なきながら いいました




「だいじょうぶよ わたしが そばに いるから」



くろねこは そっと うさぎに よりそいます



「かみなりなんて すぐにどこかへ いってしまうわ」




くろねこは ふるえる うさぎを やさしく なでてあげました




あたりは しずかに なりました




くもの すきまから おひさまのひかりが もれて



すっかり あおぞらが ひろがっていました




「もう だいじょうぶよ」



くろねこが やさしく いいました




うさぎは おそる おそる かおを あげました



そらには おおきな おおきな にじが かかっていました




うさぎは くろねこを みて にっこり わらいました



「ありがとう」



くろねこも ほほえみながら いいました



「どういたしまして」




ふたりは しばらくのあいだ 



おおきな おおきな にじを



みていました



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