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37 夜闇に紛れて……
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音が吸い込まれる夜。春の盛りに向けて夜の寒さも緩み、睡眠不足だった鈴花は糸が切れたように眠りについていた。微かに部屋に漂う香や寝る前に飲んだお茶もいい効果を出した。
風もない穏やかな夜。梅の香りも薄れた外の空気に、微かな鈴の音が響く。虫の鳴き声のような自然な音。鈴の音は徐々に近づき、鈴花は薄暗闇の中で細く目を開けた。その鈴の音が耳に入れば目が覚めるように訓練されている。視線だけで部屋の中を見回すが、不審なところはない。
(人……? 動物……?)
窓の外は真っ暗で、月は見えない。寝入ってそれほど時間は経っていなさそうだが、明け方にはまだ遠そうである。鈴花は衾褥の中で体をほぐし、すぐに動けるように準備する。あの鈴の音は防犯のためにつけられたもので、院子の草むらや屋根裏、床下を何かが通れば鳴る仕組みになっていた。命を狙われることもある後宮で生き残る術だ。
(敵は多いから警戒はしてたけど……武力で来たのかしら)
朝廷、後宮といえば毒殺が定番だが、暗殺も十分行われてきた。そのため妃嬪側にだって対策くらいある。鈴花は物音を立てないようにそっと履をはき、枕元に手を差し入れた。夜着は丈の長い紗羅の上衣の下に褲を穿いているので逃げるのには困らない。いつでも飛び出せるように辺りを警戒していると、突如荒々しい足音と叫び声が聞こえた。
「小鈴! 侵入者だ!」
焦った声は宵のもので、それと同時に四方から殺気が押し寄せる。敵は思ったより多く、そして近くまで忍び込んでいたようだ。
「あの馬鹿!」
名前を呼んでこちらに来ては、主の居場所を教えるようなものだ。鈴花は舌打ちをすると、枕の下から小さな竹笛を引き出し思いっきり吹く。空いている手で衾を窓に向けて盾のように持ち上げれば、窓硝子が割れる音がした瞬間、何かが刺さった振動が伝わった。
「鈴花様!」
隣の部屋で寝ていた春明が部屋に駆け込んできて、部屋の隅にあった方卓を倒して盾代わりにする。鈴花は春明と方卓の後ろに隠れ、開けられた戸から退路を確認した。外は一気に慌ただしくなり、異変に気付いた武官たちが声をあげて中に入ってきたようだ。ついで宮女たちの悲鳴が上がり、刃がぶつかる金属音が響く。
皆の無事を祈りつつ鈴花は戸口に、春明は窓の外に視線を向けた。窓硝子を割ったのは吹き矢だったようで、小石のような矢が床に刺さっている。毒が塗られている可能性もあるので、迂闊に身を外には出せない。
「小鈴! 無事か!」
声と同時に宵が部屋に駆け込み、鈴花たちの側に寄って来た。その手には派手な盾と剣を持ち、白い寝間着の上に袍を羽織っただけだ。春明は鈴花に近くにあった上着を羽織らせ、自身は外を警戒する。
「宵、鈴花様を連れて武官たちのところへ!」
「春明、お前もだよ!」
宵が春明に向けて手を差し伸ばした時、風を切る音がして宵の目の前を何かが通り過ぎた。壁に刺さったそれは吹き矢の矢じりで、三人が飛んできた方へ顔を向けると薄闇の中に浮かび上がる五人の影。
そのうちの一人が一足飛びで間合いをつめ、短刀で斬りかかる。それを宵は幅があり先が柳の葉のように曲がっている柳葉刀で受けた。その太刀を見るなり鈴花は目を丸くして、背中に鈴花を庇うように立つ宵へ鋭い声を飛ばす。
「ちょっと、それ儀礼用じゃない!」
よく見れば盾もそうで、裏に鉄が仕込まれておらず強度に欠けていた。
「うるせぇ……物置にこんなのしかなかったんだよ」
宵は力で侵入者を押し戻すと、太刀を男たちに向けて威嚇する。儀礼用なので無駄に装飾がついており、刃はつぶれている。他の侵入者は宵の隙をついて足音も立てずに部屋に入り込み、鈴花たちの周りを囲んだ。皆黒ずくめの装束を着ていて、目しか見えない。外では武官が足止めを食らっているのか、なかなかこちらに応援にくる気配はなさそうだ。
(まずいわねぇ……どうしようかしら)
宵が対峙している男はこの一団の首領のようで、体格がよく他の者に目で指示をしていた。彼らは宵に刃を向けており、狙いを定めたようだ。
(狙いは宵……ということは、皇帝候補の暗殺ってとこかしら。面倒なことになったわね)
鈴花は敵を観察し、次の手立てを考えるが問題は目の前に宵がいるということ。宵は首領の短剣を盾と太刀を使って防ぎながら、相手の隙を伺っているようだ。腕に覚えはあるようで、剣の筋は見えている。だが首領には遊びの余裕が見えて、追い詰められるのも時間の問題だ。その刃は異様な光沢を持っており、間違いなく毒が塗られている。鈴花は目だけで春明に相談するが、判断は任せますと力強く頷き返された。
(これ以上知ると、本当に戻れなくなるけど……落胤疑惑が出ている時点ももう同じか)
鈴花は冷静にそう判断し、人差し指を立ててから、くいっと敵に向けて曲げる。首領の男が音もなく宵の間合いに入って腰の位置から短剣を突き出そうとし、周りの男たちも宵に襲いかかろうとしているところだった。
鈴花が方卓の陰から飛び出して臥牀の下に手を入れるのと、春明が方卓の角を踏み台にして身を捻りながら宵を飛び越え、首領の後ろを取ったのが同時。
「え?」
宵が間抜けな声を出した時には、春明は腰ひもの内から出した細長い暗器で男の背を突き、鈴花は吹き矢で虚を突かれた男たちの眉間に睡眠薬仕込みの針を放つ。周りの男たちが応戦しようと一歩足を踏み入れれば、すでに春明が踊るように軽い足取りで彼らの前に出ており、指に挟んだ数本の暗器を投げつけた。
その間数秒。
「……は?」
目を点にした宵が二人を振り返るが、共に素知らぬ顔で倒れた男たちの覆面を取る。部屋は暗いが武官たちが焚いた篝火の光が窓から入ってきており、ぼんやりと顔が浮かび上がっていた。
「見覚えないわね。縛るもの……帔帛でいいか」
「この武器、北方の山間部賊ですね。金で雇われたんでしょうか」
鈴花は戸棚から帔帛を取り出して春明に投げる。いい材質の品だけに惜しいが、何重も巻けば簡単には切れないし縄抜けを防止する縛り方も習得済みだ。
「おい……」
宵がやけに手際のいい二人に胡乱な目を向け、盾を壁に立てかけてから側に寄って来た。顔には大きく「説明しろ」と書かれている。二人は転がる男たちを縛ると、ひゅーひゅーと苦し気な音を立てて呼吸をしている首領の脇に立った。
「片方の肺を潰しましたから、逃げられませんよ」
「さぁ、雇い主の名前を教えてもらうわよ」
春明は真顔で淡々と告げ、鈴花はうすら寒い笑みを浮かべている。外はまだ喧騒が続いており、ここには当分来られなさそうだ。その分猫を被る必要もない。
首領の男は後ろ手に縛られ横に寝かされたまま、ぎらついた目を鈴花に向けた。
「まさか……これほど手練れだとは。だが我らの悲願は、じきに叶う」
その青色の目に諦めの色はなく、怯む様子もない。鈴花はその態度を受けて怪訝そうに眉根を寄せ、低い声を出す。
「金で雇われたというより、目的が一致しているのね……。それで、誰の差し金?」
「……だれが言うか」
「そう。なら、うちで預かって吐かせるだけよ」
必要な情報は首領さえいれば手に入るだろうと、鈴花は目で春明に指示をする。彼だけは武官に引き渡さずに玄家で処理したい。彼女は心得たと頷くと、簪を一本抜いて半分に降り、中から出てきた液体を手巾に染みこませた。
「睡眠薬か、自白剤か……どちらにしても、意味はない」
そう嘲笑を浮かべ、低く呟いた男には絶対の自信があるようだ。そして薬をかがせようとしゃがもうとした春明は目を見開き、男の肋骨の間に拳を入れた。この匂いには覚えがある。そこは胃の中身を強制的に出すときに突く場所で、男はせき込み赤黒い血を吐き出した。
「……まさか」
愕然と声を震わす鈴花に目だけを向け、男は不敵に笑う。気づけば他の男たちもせき込み始め、口の端から血が出ていた。
「毒を飲んでいたのですね。……憐れな」
春明がそう吐き捨て、鈴花は固く拳をにぎる。これでは情報が聞きだせない。そしてそこまでする者たちが、容易に情報を吐くはずがないことは自明の理だ。いつの間にか外も剣戟の音が無くなっており、数名がこちらに走って来る気配がする。
そして武官たちが駆けつけた時には、侵入者たちはこと切れており、鈴花は不甲斐ないと拳が白くなるまで握りしめてるのだった。
風もない穏やかな夜。梅の香りも薄れた外の空気に、微かな鈴の音が響く。虫の鳴き声のような自然な音。鈴の音は徐々に近づき、鈴花は薄暗闇の中で細く目を開けた。その鈴の音が耳に入れば目が覚めるように訓練されている。視線だけで部屋の中を見回すが、不審なところはない。
(人……? 動物……?)
窓の外は真っ暗で、月は見えない。寝入ってそれほど時間は経っていなさそうだが、明け方にはまだ遠そうである。鈴花は衾褥の中で体をほぐし、すぐに動けるように準備する。あの鈴の音は防犯のためにつけられたもので、院子の草むらや屋根裏、床下を何かが通れば鳴る仕組みになっていた。命を狙われることもある後宮で生き残る術だ。
(敵は多いから警戒はしてたけど……武力で来たのかしら)
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「小鈴! 侵入者だ!」
焦った声は宵のもので、それと同時に四方から殺気が押し寄せる。敵は思ったより多く、そして近くまで忍び込んでいたようだ。
「あの馬鹿!」
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「鈴花様!」
隣の部屋で寝ていた春明が部屋に駆け込んできて、部屋の隅にあった方卓を倒して盾代わりにする。鈴花は春明と方卓の後ろに隠れ、開けられた戸から退路を確認した。外は一気に慌ただしくなり、異変に気付いた武官たちが声をあげて中に入ってきたようだ。ついで宮女たちの悲鳴が上がり、刃がぶつかる金属音が響く。
皆の無事を祈りつつ鈴花は戸口に、春明は窓の外に視線を向けた。窓硝子を割ったのは吹き矢だったようで、小石のような矢が床に刺さっている。毒が塗られている可能性もあるので、迂闊に身を外には出せない。
「小鈴! 無事か!」
声と同時に宵が部屋に駆け込み、鈴花たちの側に寄って来た。その手には派手な盾と剣を持ち、白い寝間着の上に袍を羽織っただけだ。春明は鈴花に近くにあった上着を羽織らせ、自身は外を警戒する。
「宵、鈴花様を連れて武官たちのところへ!」
「春明、お前もだよ!」
宵が春明に向けて手を差し伸ばした時、風を切る音がして宵の目の前を何かが通り過ぎた。壁に刺さったそれは吹き矢の矢じりで、三人が飛んできた方へ顔を向けると薄闇の中に浮かび上がる五人の影。
そのうちの一人が一足飛びで間合いをつめ、短刀で斬りかかる。それを宵は幅があり先が柳の葉のように曲がっている柳葉刀で受けた。その太刀を見るなり鈴花は目を丸くして、背中に鈴花を庇うように立つ宵へ鋭い声を飛ばす。
「ちょっと、それ儀礼用じゃない!」
よく見れば盾もそうで、裏に鉄が仕込まれておらず強度に欠けていた。
「うるせぇ……物置にこんなのしかなかったんだよ」
宵は力で侵入者を押し戻すと、太刀を男たちに向けて威嚇する。儀礼用なので無駄に装飾がついており、刃はつぶれている。他の侵入者は宵の隙をついて足音も立てずに部屋に入り込み、鈴花たちの周りを囲んだ。皆黒ずくめの装束を着ていて、目しか見えない。外では武官が足止めを食らっているのか、なかなかこちらに応援にくる気配はなさそうだ。
(まずいわねぇ……どうしようかしら)
宵が対峙している男はこの一団の首領のようで、体格がよく他の者に目で指示をしていた。彼らは宵に刃を向けており、狙いを定めたようだ。
(狙いは宵……ということは、皇帝候補の暗殺ってとこかしら。面倒なことになったわね)
鈴花は敵を観察し、次の手立てを考えるが問題は目の前に宵がいるということ。宵は首領の短剣を盾と太刀を使って防ぎながら、相手の隙を伺っているようだ。腕に覚えはあるようで、剣の筋は見えている。だが首領には遊びの余裕が見えて、追い詰められるのも時間の問題だ。その刃は異様な光沢を持っており、間違いなく毒が塗られている。鈴花は目だけで春明に相談するが、判断は任せますと力強く頷き返された。
(これ以上知ると、本当に戻れなくなるけど……落胤疑惑が出ている時点ももう同じか)
鈴花は冷静にそう判断し、人差し指を立ててから、くいっと敵に向けて曲げる。首領の男が音もなく宵の間合いに入って腰の位置から短剣を突き出そうとし、周りの男たちも宵に襲いかかろうとしているところだった。
鈴花が方卓の陰から飛び出して臥牀の下に手を入れるのと、春明が方卓の角を踏み台にして身を捻りながら宵を飛び越え、首領の後ろを取ったのが同時。
「え?」
宵が間抜けな声を出した時には、春明は腰ひもの内から出した細長い暗器で男の背を突き、鈴花は吹き矢で虚を突かれた男たちの眉間に睡眠薬仕込みの針を放つ。周りの男たちが応戦しようと一歩足を踏み入れれば、すでに春明が踊るように軽い足取りで彼らの前に出ており、指に挟んだ数本の暗器を投げつけた。
その間数秒。
「……は?」
目を点にした宵が二人を振り返るが、共に素知らぬ顔で倒れた男たちの覆面を取る。部屋は暗いが武官たちが焚いた篝火の光が窓から入ってきており、ぼんやりと顔が浮かび上がっていた。
「見覚えないわね。縛るもの……帔帛でいいか」
「この武器、北方の山間部賊ですね。金で雇われたんでしょうか」
鈴花は戸棚から帔帛を取り出して春明に投げる。いい材質の品だけに惜しいが、何重も巻けば簡単には切れないし縄抜けを防止する縛り方も習得済みだ。
「おい……」
宵がやけに手際のいい二人に胡乱な目を向け、盾を壁に立てかけてから側に寄って来た。顔には大きく「説明しろ」と書かれている。二人は転がる男たちを縛ると、ひゅーひゅーと苦し気な音を立てて呼吸をしている首領の脇に立った。
「片方の肺を潰しましたから、逃げられませんよ」
「さぁ、雇い主の名前を教えてもらうわよ」
春明は真顔で淡々と告げ、鈴花はうすら寒い笑みを浮かべている。外はまだ喧騒が続いており、ここには当分来られなさそうだ。その分猫を被る必要もない。
首領の男は後ろ手に縛られ横に寝かされたまま、ぎらついた目を鈴花に向けた。
「まさか……これほど手練れだとは。だが我らの悲願は、じきに叶う」
その青色の目に諦めの色はなく、怯む様子もない。鈴花はその態度を受けて怪訝そうに眉根を寄せ、低い声を出す。
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「……だれが言うか」
「そう。なら、うちで預かって吐かせるだけよ」
必要な情報は首領さえいれば手に入るだろうと、鈴花は目で春明に指示をする。彼だけは武官に引き渡さずに玄家で処理したい。彼女は心得たと頷くと、簪を一本抜いて半分に降り、中から出てきた液体を手巾に染みこませた。
「睡眠薬か、自白剤か……どちらにしても、意味はない」
そう嘲笑を浮かべ、低く呟いた男には絶対の自信があるようだ。そして薬をかがせようとしゃがもうとした春明は目を見開き、男の肋骨の間に拳を入れた。この匂いには覚えがある。そこは胃の中身を強制的に出すときに突く場所で、男はせき込み赤黒い血を吐き出した。
「……まさか」
愕然と声を震わす鈴花に目だけを向け、男は不敵に笑う。気づけば他の男たちもせき込み始め、口の端から血が出ていた。
「毒を飲んでいたのですね。……憐れな」
春明がそう吐き捨て、鈴花は固く拳をにぎる。これでは情報が聞きだせない。そしてそこまでする者たちが、容易に情報を吐くはずがないことは自明の理だ。いつの間にか外も剣戟の音が無くなっており、数名がこちらに走って来る気配がする。
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