22 / 64
22 上級妃の二人と飲茶をします
しおりを挟む
いつもと違う香の薫りで目が覚めた。深みがあって少し甘い。臥牀から体を起こして伸びをすれば、頭が動き始めた。
「春明、香を新しくしたの?」
鈴花が起きた気配を察して臥室に入って来た春明にそう尋ねれば、穏やかな笑みを浮かべて答えてくれた。
「はい、最近塞ぎがちのようでしたし、お疲れかと思って……それと、あの馬鹿にはあれからきっちりお灸を据えたのでご安心ください」
「あぁ、ありがと。その馬鹿はもう仕事に行ったの?」
窓の外に視線を向けるといつもより太陽が高い。少し遅くまで寝ていたようだ。春明は疲れている鈴花を気遣って、ゆっくり寝かせてくれたらしい。
「今日も倉庫の整理と掃除をするそうですよ」
「ふ~ん」
鈴花は下女たちに身支度を手伝ってもらいながら、今日は何をしようかと考える。まだ珀妃や簪に対する父からの返事はなく、宵が仕事中ではすることもない。結局皇帝がいようがいまいが、退屈なことに変わりはなかった。
春明に点心づくりでも教えてもらおうかと考えていると、春明が「本日ですが」と口を開く。
「早朝に黄妃様の宮女がお茶のお誘いを告げに来ましたよ。昼過ぎに翠妃と春山宮でお茶をしないかとのことです」
「あら、いいわね」
女の子とのおしゃべりはかっこうの暇つぶしになる。しかも上級妃である二人からは、何かいい話が聞けるかもしれない。鈴花はいつものように髪を結い、化粧をしてもらう。そして軽めの朝餉を食べ、後宮を散歩すれば昼過ぎになるのである。
食事は基本的に朝と夕の二回。そのため、お昼過ぎの時間には点心を食べて小腹を満たす。そこにおいしいお茶と楽しいおしゃべりが加われば最高だ。鈴花は梅園の香りが流れ込んでくる春山宮で、壮観な院子を堪能していた。
苔の緑が美しい庭には、黄色い花をつける蝋梅が一本だけ亭の近くに植えられていた。隣の梅園に負けない強い香りがあり、また透き通るような黄色い花びらが目を楽しませる。
春山宮はその名の通り春を象徴するような宮で、欄干や軒には春の花や鳥が彫られていた。また調度品の色調も和らかく萌える伊吹を感じるものだった。茶杯や茶壺に至るまで一級品であり、土の温かみを感じる色合いだ。
「素敵なお庭ね」
宮によって趣が異なり、他の宮に遊びにいくのも楽しいかもしれないと鈴花は思う。三人は石で作られた丸卓を囲んで座っており、緑茶を飲みながら話に花を咲かせた。それぞれ装いも華やかであり、視界も潤う。
「でしょ~。ほら、今日のために色々作ってもらったから食べてね」
丸卓の上には蒸籠に入ったいろいろな点心が並んでいて、どれもおいしそうだ。甘みのある点心ばかりで鈴花は目移りする。
(いつもは太るからって、点心少ししか食べさせてもらえないのよね~)
今はうるさい春明はいない。鈴花は近くにあった豆沙包子に手を伸ばし、上品に割いて食べた。一応他の妃嬪の手前、作法はきちんとしないといけない。
「陽陽が好きな杏仁豆腐もあるのよ」
「潤潤の出してくれる杏仁豆腐はおいしいから大好きです」
二人は幼馴染ということで気心がしれた様子であり、陽泉の表情も柔らかかった。鈴花は小豆あんの優しい甘さを味わいながら、二人に気になったことを訊いてみた。
「ねぇ、二人はいつから友達なの?」
その問いに、「そうねぇ」と潤が口元に手を当てる。
「確か……私が五歳で、陽陽が三歳くらいじゃない? うちは翠家の装飾品を仕入れていることもあって、家同士が仲いいの。数代ごとに血縁を結んでいるから、親戚でもあるしね」
潤はそう答えると、小さく割いた豆沙包子を口に入れた。好物なのか自然と笑みがこぼれている。
「はい、よく遊んでいました。……あの、玄妃様こちらもどうぞ」
鈴花が最後の一口を口に入れたのを見た陽泉は、杏仁豆腐が入った器を一つ鈴花に渡す。気づかいができるいい子だ。白くつるんとした杏仁豆腐の表面が震えた。それだけで味が口の中に広がり、唾液が出てくる。
「ありがとうございます。翠妃様」
鈴花は器を受け取ると漆塗りの匙を差し入れ、さっそく口に運んだ。ぷるんとした弾力がたまらず、独特の杏仁の香りと甘みが広がっていく。舌の上で溶けていくのが最高だ。
「陽陽、そんな固くならずに鈴鈴って呼べばいいじゃない」
「そ、そんな恐れ多いです」
「別に、かまいませんよ?」
上級妃という立場を考えれば、陽泉の態度のほうが普通ではある。家を背負い、皇帝の寵愛を巡って争うのだからあまり慣れ親しむものでもない。
「そうよ。今は陛下もいないんだし、陽陽も鈴鈴と仲良くなりたいって言ってたじゃない」
「ちょっと、潤潤!」
眉をハの字にして唇を尖らせる陽泉は可愛らしく、「何で言うんですか」と潤を軽く叩いている。鈴花もそんな素直で愛らしい陽泉と仲良くなりたいと思った。
「じゃぁ、陽妃と呼んでもいい? 普通に話してくれていいから」
そう鈴花が微笑みかけて言えば、陽泉が潤を叩く手がピタリと止まる。
「は、はい! 私も鈴妃と呼びますね!」
パッと表情を明るくして鈴花に顔を向けた陽泉だが、口調は相変わらず丁寧なままだ。それがおかしくて、鈴花は噴き出してしまった。肩を震わす鈴花に、杏仁豆腐の器に手を伸ばした潤が苦笑いを浮かべる。
「陽陽のそれは昔っからだから、変わらないのよね~。気弱で丁寧で気遣いのできる名家の箱入り娘~って感じ」
対する潤は家の商売上、市井の商人たちと関わることが多いからだろう。いい意味で名家の娘っぽさがなく気安い。二人とのおしゃべりは心地よく、話題は好きなものや家の話へと移る。二人の家族について聞き、鈴花も自分の兄について話した。
(最近お兄様にあってないわね……元気にしてるのかしら)
兄は鈴花の四つ上で、今年で二十歳になる。出仕しており、色々と雑用をしていたはずだ。基本的に文官の寮に住んでおり、実家にはあまり帰ってこないのでこの半年は顔を見ていない。
そして話は市井の流行りや後宮の噂へと移っていき、ある程度お互いのことが知れたところで、鈴花は訊きたかったことを口にする。
「ねぇ、二人はどうして後宮に入ったの?」
「春明、香を新しくしたの?」
鈴花が起きた気配を察して臥室に入って来た春明にそう尋ねれば、穏やかな笑みを浮かべて答えてくれた。
「はい、最近塞ぎがちのようでしたし、お疲れかと思って……それと、あの馬鹿にはあれからきっちりお灸を据えたのでご安心ください」
「あぁ、ありがと。その馬鹿はもう仕事に行ったの?」
窓の外に視線を向けるといつもより太陽が高い。少し遅くまで寝ていたようだ。春明は疲れている鈴花を気遣って、ゆっくり寝かせてくれたらしい。
「今日も倉庫の整理と掃除をするそうですよ」
「ふ~ん」
鈴花は下女たちに身支度を手伝ってもらいながら、今日は何をしようかと考える。まだ珀妃や簪に対する父からの返事はなく、宵が仕事中ではすることもない。結局皇帝がいようがいまいが、退屈なことに変わりはなかった。
春明に点心づくりでも教えてもらおうかと考えていると、春明が「本日ですが」と口を開く。
「早朝に黄妃様の宮女がお茶のお誘いを告げに来ましたよ。昼過ぎに翠妃と春山宮でお茶をしないかとのことです」
「あら、いいわね」
女の子とのおしゃべりはかっこうの暇つぶしになる。しかも上級妃である二人からは、何かいい話が聞けるかもしれない。鈴花はいつものように髪を結い、化粧をしてもらう。そして軽めの朝餉を食べ、後宮を散歩すれば昼過ぎになるのである。
食事は基本的に朝と夕の二回。そのため、お昼過ぎの時間には点心を食べて小腹を満たす。そこにおいしいお茶と楽しいおしゃべりが加われば最高だ。鈴花は梅園の香りが流れ込んでくる春山宮で、壮観な院子を堪能していた。
苔の緑が美しい庭には、黄色い花をつける蝋梅が一本だけ亭の近くに植えられていた。隣の梅園に負けない強い香りがあり、また透き通るような黄色い花びらが目を楽しませる。
春山宮はその名の通り春を象徴するような宮で、欄干や軒には春の花や鳥が彫られていた。また調度品の色調も和らかく萌える伊吹を感じるものだった。茶杯や茶壺に至るまで一級品であり、土の温かみを感じる色合いだ。
「素敵なお庭ね」
宮によって趣が異なり、他の宮に遊びにいくのも楽しいかもしれないと鈴花は思う。三人は石で作られた丸卓を囲んで座っており、緑茶を飲みながら話に花を咲かせた。それぞれ装いも華やかであり、視界も潤う。
「でしょ~。ほら、今日のために色々作ってもらったから食べてね」
丸卓の上には蒸籠に入ったいろいろな点心が並んでいて、どれもおいしそうだ。甘みのある点心ばかりで鈴花は目移りする。
(いつもは太るからって、点心少ししか食べさせてもらえないのよね~)
今はうるさい春明はいない。鈴花は近くにあった豆沙包子に手を伸ばし、上品に割いて食べた。一応他の妃嬪の手前、作法はきちんとしないといけない。
「陽陽が好きな杏仁豆腐もあるのよ」
「潤潤の出してくれる杏仁豆腐はおいしいから大好きです」
二人は幼馴染ということで気心がしれた様子であり、陽泉の表情も柔らかかった。鈴花は小豆あんの優しい甘さを味わいながら、二人に気になったことを訊いてみた。
「ねぇ、二人はいつから友達なの?」
その問いに、「そうねぇ」と潤が口元に手を当てる。
「確か……私が五歳で、陽陽が三歳くらいじゃない? うちは翠家の装飾品を仕入れていることもあって、家同士が仲いいの。数代ごとに血縁を結んでいるから、親戚でもあるしね」
潤はそう答えると、小さく割いた豆沙包子を口に入れた。好物なのか自然と笑みがこぼれている。
「はい、よく遊んでいました。……あの、玄妃様こちらもどうぞ」
鈴花が最後の一口を口に入れたのを見た陽泉は、杏仁豆腐が入った器を一つ鈴花に渡す。気づかいができるいい子だ。白くつるんとした杏仁豆腐の表面が震えた。それだけで味が口の中に広がり、唾液が出てくる。
「ありがとうございます。翠妃様」
鈴花は器を受け取ると漆塗りの匙を差し入れ、さっそく口に運んだ。ぷるんとした弾力がたまらず、独特の杏仁の香りと甘みが広がっていく。舌の上で溶けていくのが最高だ。
「陽陽、そんな固くならずに鈴鈴って呼べばいいじゃない」
「そ、そんな恐れ多いです」
「別に、かまいませんよ?」
上級妃という立場を考えれば、陽泉の態度のほうが普通ではある。家を背負い、皇帝の寵愛を巡って争うのだからあまり慣れ親しむものでもない。
「そうよ。今は陛下もいないんだし、陽陽も鈴鈴と仲良くなりたいって言ってたじゃない」
「ちょっと、潤潤!」
眉をハの字にして唇を尖らせる陽泉は可愛らしく、「何で言うんですか」と潤を軽く叩いている。鈴花もそんな素直で愛らしい陽泉と仲良くなりたいと思った。
「じゃぁ、陽妃と呼んでもいい? 普通に話してくれていいから」
そう鈴花が微笑みかけて言えば、陽泉が潤を叩く手がピタリと止まる。
「は、はい! 私も鈴妃と呼びますね!」
パッと表情を明るくして鈴花に顔を向けた陽泉だが、口調は相変わらず丁寧なままだ。それがおかしくて、鈴花は噴き出してしまった。肩を震わす鈴花に、杏仁豆腐の器に手を伸ばした潤が苦笑いを浮かべる。
「陽陽のそれは昔っからだから、変わらないのよね~。気弱で丁寧で気遣いのできる名家の箱入り娘~って感じ」
対する潤は家の商売上、市井の商人たちと関わることが多いからだろう。いい意味で名家の娘っぽさがなく気安い。二人とのおしゃべりは心地よく、話題は好きなものや家の話へと移る。二人の家族について聞き、鈴花も自分の兄について話した。
(最近お兄様にあってないわね……元気にしてるのかしら)
兄は鈴花の四つ上で、今年で二十歳になる。出仕しており、色々と雑用をしていたはずだ。基本的に文官の寮に住んでおり、実家にはあまり帰ってこないのでこの半年は顔を見ていない。
そして話は市井の流行りや後宮の噂へと移っていき、ある程度お互いのことが知れたところで、鈴花は訊きたかったことを口にする。
「ねぇ、二人はどうして後宮に入ったの?」
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
利用されるだけの人生に、さよならを。
ふまさ
恋愛
公爵令嬢のアラーナは、婚約者である第一王子のエイベルと、実妹のアヴリルの不貞行為を目撃してしまう。けれど二人は悪びれるどころか、平然としている。どころか二人の仲は、アラーナの両親も承知していた。
アラーナの努力は、全てアヴリルのためだった。それを理解してしまったアラーナは、糸が切れたように、頑張れなくなってしまう。でも、頑張れないアラーナに、居場所はない。
アラーナは自害を決意し、実行する。だが、それを知った家族の反応は、残酷なものだった。
──しかし。
運命の歯車は確実に、ゆっくりと、狂っていく。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる