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学園編 18歳
110 その想いを慈しみましょう
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お断りします。
そうはっきりと、ネフィリアの目を見て返した。ネフィリアは不愉快そうに眉根を顰める。
「そしてもう一度言います。クリスのことは諦めてください」
「くどいわね。貴女にそんなことを言う権利はないのよ。たかが守られている妹のくせに」
たかが妹。その言葉を聞いた瞬間、エリーナの中で抑え込んでいたものがはじけ飛んだ。怒りの中に悲しみも虚しさも、切なさも様々な感情がごちゃまぜになっている。
「妹が何ですか! 私が嫌なんです!」
つい感情的になって叫んでいた。心が痛くて割れそうだ。
(クリスを好きでもない人に、取られるなんて嫌! 私は、クリスの隣に立ちたいの。守られたいわけじゃないわ!)
激しい感情が渦巻いて暴れ出す。エリーナは辛うじて涙を見せないようにするだけで精一杯だ。
「嫌だなんて、子どもね。お兄さんが結婚するとなって、寂しくなったの?」
そう馬鹿にするように嘲笑を浮かべるネフィリアに対し、エリーナはキッと睨みつけてはっきりと自分の想いをぶつける。
「違います! 私がクリスを好きだからです!」
やっと言えたその言葉に、ネフィリアは怪訝そうに眉を顰める。
「それは、家族として?」
「いいえ、一人の男性としてです」
ネフィリアの眉がピクリと動き、面白そうに口角を上げた。
「でも、クリスさんは貴女のことをただの妹としか考えていないかもしれないわよ? 報われない恋でもいいの?」
「かまいません」
その言葉に迷いはなかった。
ネフィリアはその答えを聞くと、無言で奥底を覗き込むようにエリーナの瞳を見つめた。エリーナも黙って見つめ返す。先に視線を逸らしたのはネフィリアだった。そして呆れた表情になって、ふぅと溜息をつく。その表情にベロニカが重なった。
「本当に子どもね」
「え?」
ぼそりと呟かれた言葉にエリーナが聞き返せば、何でもないわと軽く手を振って、
「それならもういいわ。クリスさんから手を引いてあげる」
とあっさり引き下がった。これにはエリーナの方が驚いて、目を丸くしてしまう。
「え、どうして?」
「勝算が低いからよ。クリスさんだけでも手ごわいのに、貴女にまでかまう時間はないわ。それなら、他の男の人に時間をかけた方がよっぽど効率的よ」
掌を返したように態度を変えたネフィリアに、エリーナは呆気にとられる。ついで、そんな簡単に諦められるような思いだったのかと憤りを覚えた。
「それに、そんなに想っている人がいる男を取るほど私は飢えていないの。まぁ、もっといい男を探すわ」
話は終わり? とネフィリアは悠然と微笑んで立ち上がった。エリーナはコクリと頷き、ごきげんようと挨拶をして去っていくネフィリアをぼんやりと見送る。あまりの急展開に頭がついていけない。
そしてツカツカとドアへと歩いていき、戸口でネフィリアはポツリと呟く。
「それに、一応シルヴィオ殿下の依頼に応えられたしね」
だが、独り言のような小声はエリーナには届かなかった。あえて聞こえない距離で言ったのだろう。すぐにドアが閉まり、エリーナはソファーに背中を預けてゆっくりと息を吐いた。全身から力が抜ける。最後まで圧倒されてしまった。
(これで、一応終わらせられたのよね……)
諦めてくれたようで、エリーナはほっと一安心する。呆気ない終わり方だったが、一気に疲れを感じた。それと同時に、胸の奥に確かにある温かさに目を向ける。
(私はクリスが好き……好きって、熱くて温かいのね)
そしてエリーナは入って来た侍女が淹れてくれたお茶を飲んで一息ついてから、会場へと戻った。まずはベロニカに報告をしなければいけない。
「ベロニカ様。討ち取りましたわ」
口にしてからその言葉はどうかと思ったが、エリーナの気分はまさに戦場から戻った戦士である。ありがとうございましたと、恭しく扇子を返す。
「みたいね。ネフィリア様、戻って来るなりご令息方に声をかけ始めたから、見切りをつけたと思っていたのよ」
そう言われて目立つ薄紅の髪へ顔を向ければ、数人の男性に囲まれていた。市場調査を始めているらしい。目を見張る切り替えの早さだ。
「すさまじい方ですね」
「えぇ。そう簡単に折れる方ではないわ。あの方と渡り合える男性はそれほどいないわ。それこそ……」
と突然ベロニカは言葉を切って、視線をエリーナの後ろへ向けた。エリーナが振り返ればルドルフが近づいている。
「エリーナ嬢、戻って来たんだな。急にいなくなったから心配した」
「少し他のご令嬢とお話をしていて……」
「そうか、それならいいんだ。一瞬また攫われたのかと肝を冷やした。どこかの攫われ慣れたご令嬢ならまだしも、エリーナ嬢は危ないからな」
真面目な口調で隣に立つご令嬢を揶揄しているルドルフに、エリーナは乾いた笑いを浮かべた。そのご令嬢の目が吊り上がっている。
「あらルドルフ。どこにそんな可哀想なご令嬢がいるのかしら」
「ん? そんな可哀想なご令嬢なんていない。だが目の前に、図太いご令嬢ならいるな」
珍しく嫌味っぽいルドルフに何かあったのかと小首を傾げていると、ベロニカが耳元で囁いた。
「実はうちの兄に来ていた縁談をいくつかルドルフに回したのよ。それで怒ってるの」
なるほどそういうことかと、エリーナは軽く頷いた。なら、口出しは無用だ。
「エリーナ嬢……まだ少し挨拶をしたい人たちがいるから、それが終わったら送る。ベロニカ嬢、今度兄当てに大量の縁談の紹介状を送るからな」
意趣返しだが、被害に遭うのは同級であるベロニカの兄だ。ベロニカはおほほと高笑いし、受けて立つと口角を上げる。
「かまいませんわ。なんなら二人纏めて、大お見合いパーティーを開いてもよろしくてよ」
「断る」
そしてこれ以上ここにいれば神経がすり減ると、ルドルフは貴族たちが集まっているところへ向かっていった。ベロニカも父親に呼ばれて歓談の場へ令嬢の仮面を被って赴く。一人になったエリーナはおいしいスイーツでも食べようと、歓談室へ向かうことにした。オランドール公爵家のスイーツはどれも絶品なのだ。
だが、別室に向かうべく広間を出ようとしたところで、誰かに肩を捕まれた。
「きゃぁ!」
「うるさい」
思わず叫べば叱責が飛んできたため、口を押える。この凛とした声はついさっきまで聞いていたもので……。エリーナは恐る恐る振り返って、その顔を見る。
「ネフィリア様?」
なぜ肩を掴まれたのかまったく分からない。困惑するエリーナに構わず、ネフィリアは顔を近づけてきた。
「ねぇ、貴女がさっき話していたのバレンティア公爵家の令息よね。知り合いなの?」
少し興奮気味に話すネフィリアに、エリーナは目を瞬かせる。さっきと声の高さが違う。
「は、はい……」
「彼、年下だから気にかけていなかったけど、話を聞けばかなり優秀らしいの。それに政治に強い関心があるって」
「そ、そうですね。宰相を目指しておられますし」
その言葉を聞くなりネフィリアは目を光らせて、宰相と呟いた。その目は獲物を定めた目だ。エリーナは野心家に目を付けられてしまったルドルフに心の中で同情する。
「後で紹介しなさい」
「え、ご自分で行ってくださいよ」
「クリスさんを諦めたのよ? それぐらい協力しなさい」
その後、ルドルフについて質問攻めにされ、戻って来たルドルフを紹介させられた。少し話をしていたのを聞けば、政治や歴史など共通の話題が多く意外と合うのではと思ったエリーナである。
そしてルドルフにローゼンディアナ家まで送ってもらい、玄関まで迎えに出てきたクリスの顔を見たらほっと気が緩んだ。自然と笑みが零れ、吸い寄せられるように寄っていく。
「エリー、おかえり。夜会はどうだった?」
「疲れたけど、よかったわ」
クリスはエスコートを務めたルドルフに顔を向け、微笑みかける。
「ルドルフ様もお手数をおかけしました」
「いや、楽しい時間を過ごさせてもらった」
そこでルドルフとは別れ、エリーナはクリスの顔を見つめながらサロンへ向かい、夜会での話をするのだった。もちろんネフィリアのことは伏せておく。大きな問題が解決した今、エリーナは少しでもクリスと一緒にいたかった。一緒にいられるだけで、これほど嬉しいなんてとエリーナは内心驚く。
(本当によかった。私、クリスと一緒にいられるだけで嬉しいんだわ)
そんな浮かれ気味なエリーナは気づいていなかった。エリーナがクリスを見た瞬間に浮かべた表情が、今までの家族に向ける親愛と異なっていたことを。そしてそれを、目ざといルドルフが察知したことを……。
そうはっきりと、ネフィリアの目を見て返した。ネフィリアは不愉快そうに眉根を顰める。
「そしてもう一度言います。クリスのことは諦めてください」
「くどいわね。貴女にそんなことを言う権利はないのよ。たかが守られている妹のくせに」
たかが妹。その言葉を聞いた瞬間、エリーナの中で抑え込んでいたものがはじけ飛んだ。怒りの中に悲しみも虚しさも、切なさも様々な感情がごちゃまぜになっている。
「妹が何ですか! 私が嫌なんです!」
つい感情的になって叫んでいた。心が痛くて割れそうだ。
(クリスを好きでもない人に、取られるなんて嫌! 私は、クリスの隣に立ちたいの。守られたいわけじゃないわ!)
激しい感情が渦巻いて暴れ出す。エリーナは辛うじて涙を見せないようにするだけで精一杯だ。
「嫌だなんて、子どもね。お兄さんが結婚するとなって、寂しくなったの?」
そう馬鹿にするように嘲笑を浮かべるネフィリアに対し、エリーナはキッと睨みつけてはっきりと自分の想いをぶつける。
「違います! 私がクリスを好きだからです!」
やっと言えたその言葉に、ネフィリアは怪訝そうに眉を顰める。
「それは、家族として?」
「いいえ、一人の男性としてです」
ネフィリアの眉がピクリと動き、面白そうに口角を上げた。
「でも、クリスさんは貴女のことをただの妹としか考えていないかもしれないわよ? 報われない恋でもいいの?」
「かまいません」
その言葉に迷いはなかった。
ネフィリアはその答えを聞くと、無言で奥底を覗き込むようにエリーナの瞳を見つめた。エリーナも黙って見つめ返す。先に視線を逸らしたのはネフィリアだった。そして呆れた表情になって、ふぅと溜息をつく。その表情にベロニカが重なった。
「本当に子どもね」
「え?」
ぼそりと呟かれた言葉にエリーナが聞き返せば、何でもないわと軽く手を振って、
「それならもういいわ。クリスさんから手を引いてあげる」
とあっさり引き下がった。これにはエリーナの方が驚いて、目を丸くしてしまう。
「え、どうして?」
「勝算が低いからよ。クリスさんだけでも手ごわいのに、貴女にまでかまう時間はないわ。それなら、他の男の人に時間をかけた方がよっぽど効率的よ」
掌を返したように態度を変えたネフィリアに、エリーナは呆気にとられる。ついで、そんな簡単に諦められるような思いだったのかと憤りを覚えた。
「それに、そんなに想っている人がいる男を取るほど私は飢えていないの。まぁ、もっといい男を探すわ」
話は終わり? とネフィリアは悠然と微笑んで立ち上がった。エリーナはコクリと頷き、ごきげんようと挨拶をして去っていくネフィリアをぼんやりと見送る。あまりの急展開に頭がついていけない。
そしてツカツカとドアへと歩いていき、戸口でネフィリアはポツリと呟く。
「それに、一応シルヴィオ殿下の依頼に応えられたしね」
だが、独り言のような小声はエリーナには届かなかった。あえて聞こえない距離で言ったのだろう。すぐにドアが閉まり、エリーナはソファーに背中を預けてゆっくりと息を吐いた。全身から力が抜ける。最後まで圧倒されてしまった。
(これで、一応終わらせられたのよね……)
諦めてくれたようで、エリーナはほっと一安心する。呆気ない終わり方だったが、一気に疲れを感じた。それと同時に、胸の奥に確かにある温かさに目を向ける。
(私はクリスが好き……好きって、熱くて温かいのね)
そしてエリーナは入って来た侍女が淹れてくれたお茶を飲んで一息ついてから、会場へと戻った。まずはベロニカに報告をしなければいけない。
「ベロニカ様。討ち取りましたわ」
口にしてからその言葉はどうかと思ったが、エリーナの気分はまさに戦場から戻った戦士である。ありがとうございましたと、恭しく扇子を返す。
「みたいね。ネフィリア様、戻って来るなりご令息方に声をかけ始めたから、見切りをつけたと思っていたのよ」
そう言われて目立つ薄紅の髪へ顔を向ければ、数人の男性に囲まれていた。市場調査を始めているらしい。目を見張る切り替えの早さだ。
「すさまじい方ですね」
「えぇ。そう簡単に折れる方ではないわ。あの方と渡り合える男性はそれほどいないわ。それこそ……」
と突然ベロニカは言葉を切って、視線をエリーナの後ろへ向けた。エリーナが振り返ればルドルフが近づいている。
「エリーナ嬢、戻って来たんだな。急にいなくなったから心配した」
「少し他のご令嬢とお話をしていて……」
「そうか、それならいいんだ。一瞬また攫われたのかと肝を冷やした。どこかの攫われ慣れたご令嬢ならまだしも、エリーナ嬢は危ないからな」
真面目な口調で隣に立つご令嬢を揶揄しているルドルフに、エリーナは乾いた笑いを浮かべた。そのご令嬢の目が吊り上がっている。
「あらルドルフ。どこにそんな可哀想なご令嬢がいるのかしら」
「ん? そんな可哀想なご令嬢なんていない。だが目の前に、図太いご令嬢ならいるな」
珍しく嫌味っぽいルドルフに何かあったのかと小首を傾げていると、ベロニカが耳元で囁いた。
「実はうちの兄に来ていた縁談をいくつかルドルフに回したのよ。それで怒ってるの」
なるほどそういうことかと、エリーナは軽く頷いた。なら、口出しは無用だ。
「エリーナ嬢……まだ少し挨拶をしたい人たちがいるから、それが終わったら送る。ベロニカ嬢、今度兄当てに大量の縁談の紹介状を送るからな」
意趣返しだが、被害に遭うのは同級であるベロニカの兄だ。ベロニカはおほほと高笑いし、受けて立つと口角を上げる。
「かまいませんわ。なんなら二人纏めて、大お見合いパーティーを開いてもよろしくてよ」
「断る」
そしてこれ以上ここにいれば神経がすり減ると、ルドルフは貴族たちが集まっているところへ向かっていった。ベロニカも父親に呼ばれて歓談の場へ令嬢の仮面を被って赴く。一人になったエリーナはおいしいスイーツでも食べようと、歓談室へ向かうことにした。オランドール公爵家のスイーツはどれも絶品なのだ。
だが、別室に向かうべく広間を出ようとしたところで、誰かに肩を捕まれた。
「きゃぁ!」
「うるさい」
思わず叫べば叱責が飛んできたため、口を押える。この凛とした声はついさっきまで聞いていたもので……。エリーナは恐る恐る振り返って、その顔を見る。
「ネフィリア様?」
なぜ肩を掴まれたのかまったく分からない。困惑するエリーナに構わず、ネフィリアは顔を近づけてきた。
「ねぇ、貴女がさっき話していたのバレンティア公爵家の令息よね。知り合いなの?」
少し興奮気味に話すネフィリアに、エリーナは目を瞬かせる。さっきと声の高さが違う。
「は、はい……」
「彼、年下だから気にかけていなかったけど、話を聞けばかなり優秀らしいの。それに政治に強い関心があるって」
「そ、そうですね。宰相を目指しておられますし」
その言葉を聞くなりネフィリアは目を光らせて、宰相と呟いた。その目は獲物を定めた目だ。エリーナは野心家に目を付けられてしまったルドルフに心の中で同情する。
「後で紹介しなさい」
「え、ご自分で行ってくださいよ」
「クリスさんを諦めたのよ? それぐらい協力しなさい」
その後、ルドルフについて質問攻めにされ、戻って来たルドルフを紹介させられた。少し話をしていたのを聞けば、政治や歴史など共通の話題が多く意外と合うのではと思ったエリーナである。
そしてルドルフにローゼンディアナ家まで送ってもらい、玄関まで迎えに出てきたクリスの顔を見たらほっと気が緩んだ。自然と笑みが零れ、吸い寄せられるように寄っていく。
「エリー、おかえり。夜会はどうだった?」
「疲れたけど、よかったわ」
クリスはエスコートを務めたルドルフに顔を向け、微笑みかける。
「ルドルフ様もお手数をおかけしました」
「いや、楽しい時間を過ごさせてもらった」
そこでルドルフとは別れ、エリーナはクリスの顔を見つめながらサロンへ向かい、夜会での話をするのだった。もちろんネフィリアのことは伏せておく。大きな問題が解決した今、エリーナは少しでもクリスと一緒にいたかった。一緒にいられるだけで、これほど嬉しいなんてとエリーナは内心驚く。
(本当によかった。私、クリスと一緒にいられるだけで嬉しいんだわ)
そんな浮かれ気味なエリーナは気づいていなかった。エリーナがクリスを見た瞬間に浮かべた表情が、今までの家族に向ける親愛と異なっていたことを。そしてそれを、目ざといルドルフが察知したことを……。
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