異世界転移物語

月夜

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調査隊派遣について

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 夜のミーティングで、林さんに樹に上って双眼鏡で見た森の様子を報告してもらった。そのあと、理科さんが解説を加えた。前の村で体験した出来事も交えながら。

 僕はその報告を元に、東側に調査隊を出したいと提案してみた。理由については、善蔵さんたちがいたところには今は誰もいないので、現在分かっている拠点となる住処はここだけである。なので、さらに点を増やして、活動範囲を広げていくのは生活してゆく上で必要なことだと。

「どのぐらい歩いたら、森以外にたどり着けると予想されるんだ?」

 栗原さんが問いかける。

「ええと……理科さん、どう思います?」

「そうね……はっきりしたことは言えないけど、日帰り出来るような距離ではないことは確かね。往復するには最低でも三日、長ければ一週間以上かかるかもしれないわね」

「なるほど……。方角の誤差も考慮すれば、かなり成功率の低そうな調査になるな……」

 栗原さんは理系らしく、さっと頭の中で全体像を描き出しているようだ。

「なにも成果がない可能性も大きいですが、それでも少しずつ進めていかないと。積み重なればいつか成果につながるはずです」

 僕はなんとしても調査隊を出したいと強く主張した。

「調査隊た何人ぐらいのメンバーを想定しているの?」と料子さん。

「そうですね……最低二人、ベストは三人だと考えています。それ以上だと、長期間になるとこちらが手薄になりますから」

「テントはあるから、そのくらいがいいかもね」と和也が賛成する。根拠もなく、理系っぽい論理てもないが、とりあえず応援してくれるのはありがたい。

「まあ、いいんじゃない? 金田さんがもし帰ってきたら、看病したりで手が足りなくなるかもしれないけど」

 料子さんも同意を示してくれた。

「現に今は金田さんもいないんだから、仮定の話はしなくていいんじゃないかな」

 陽子さんがそう見解を述べたあと、さらに僕に尋ねた。

「それで。行くとしたら誰が行ったらいいと思ってる?」

「あくまで僕の個人的意見ですが、僕自身は行ってみたいですね。言い出しっぺですし。それに調査という点からは、理科さんが居てくれると心強いです。あとは……僕からは、どうしてもという人は……いないです」

「なるほどなあ。なかなか合理的判断かも知れない。あと一人は海原君とかどう? 力もあるし、遠征するんだったら若手のほうがいいだろ」

 栗原さんがそう意見を述べる。栗原さんだって充分若いのだが、それほど力のないことは本人も自覚しているのだろう。
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