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世界と地球のこと
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「なるほど。それならその考え方にも納得出来るわ」
そう言って陽子さんは考えこんだ。
「うーん。同日同時刻に転移を始めてるわけだから、向こうの世界のその時点では誰も転移が起こってることに気がついてないってことだよね?」
「はい。それは何度か検証してみたのですが、例外なく全ての人が5月20日の午後1時に転移していました」
「私がいた村でもそうだったわ。そうなると、これから一体何人の人が転移してくるのかは分からないってことよね。もしかして、世界中の全ての人が転移してくるのかしら?」
「どうでしょうか? 例えば日本だけだとしても1億人以上いるわけですよね。このペースで転移してたら千年、いや一万年でも完了するとは思えないんですが。もちろん、僕らの知らない場所で並行してどんどん転移が進んでいる可能性もありますけどね」
「まずは」と理科さんが切り出した。
「この世界がどれだけ広いのか? ってことが分からなければ推測も出来ないわ」
「理科さん、でもいろいろ観測機器持ってたでしょ。あれで地球の大きさとかある程度分かるんじゃないの?」と陽子さん。
「うん。一応、以前の地球とほぼ同じ大きさだと推測は出来る。天文学的にもほぼ同じ事象が見られるし。太陽系の惑星であることもほぼ間違いないわ。でも、この森がどこまで続いているのかっていう肝心のところが分からないのよね。海だってまだ見てないし。雨が降ってるから広大な海が必ずあるはずなんだけど」
理科さんの話を聞いて、桂坂さんが天を仰ぐ。
「地球って広いですよね。日本だってまだ行ったことのない場所がたくさんあるのに。新幹線たか飛行機とかあるから広さを実感出来るけど、もし歩きしか移動手段がなかったら日本の大きさなんて想像も出来なかったかもしれない。世界だって、ヨーロッパの人はコロンブスの時代まで新大陸を知らなかったわけでしょ。私たちは自分の周りしか結局実感出来ないんだわ」
「そうね、そうよね」と陽子さんが同意したあと、次に出すべき言葉を考えている。
こうやってお互いに考えを述べてはいるけれど、結局のところ、どれも推測に過ぎないわけで、真理に近づいているかどうかは分からない。僕はなんとなく堂々巡りをしているように感じた。結論なんて出るわけがないのに、このテーマを検討することを勧めた金田さんの意図はなんだろうか、とふと思った。
「ゴホン、ゴホン」
その金田さんが急に咳き込み始めた。
「大丈夫ですか!」
そう言って陽子さんは考えこんだ。
「うーん。同日同時刻に転移を始めてるわけだから、向こうの世界のその時点では誰も転移が起こってることに気がついてないってことだよね?」
「はい。それは何度か検証してみたのですが、例外なく全ての人が5月20日の午後1時に転移していました」
「私がいた村でもそうだったわ。そうなると、これから一体何人の人が転移してくるのかは分からないってことよね。もしかして、世界中の全ての人が転移してくるのかしら?」
「どうでしょうか? 例えば日本だけだとしても1億人以上いるわけですよね。このペースで転移してたら千年、いや一万年でも完了するとは思えないんですが。もちろん、僕らの知らない場所で並行してどんどん転移が進んでいる可能性もありますけどね」
「まずは」と理科さんが切り出した。
「この世界がどれだけ広いのか? ってことが分からなければ推測も出来ないわ」
「理科さん、でもいろいろ観測機器持ってたでしょ。あれで地球の大きさとかある程度分かるんじゃないの?」と陽子さん。
「うん。一応、以前の地球とほぼ同じ大きさだと推測は出来る。天文学的にもほぼ同じ事象が見られるし。太陽系の惑星であることもほぼ間違いないわ。でも、この森がどこまで続いているのかっていう肝心のところが分からないのよね。海だってまだ見てないし。雨が降ってるから広大な海が必ずあるはずなんだけど」
理科さんの話を聞いて、桂坂さんが天を仰ぐ。
「地球って広いですよね。日本だってまだ行ったことのない場所がたくさんあるのに。新幹線たか飛行機とかあるから広さを実感出来るけど、もし歩きしか移動手段がなかったら日本の大きさなんて想像も出来なかったかもしれない。世界だって、ヨーロッパの人はコロンブスの時代まで新大陸を知らなかったわけでしょ。私たちは自分の周りしか結局実感出来ないんだわ」
「そうね、そうよね」と陽子さんが同意したあと、次に出すべき言葉を考えている。
こうやってお互いに考えを述べてはいるけれど、結局のところ、どれも推測に過ぎないわけで、真理に近づいているかどうかは分からない。僕はなんとなく堂々巡りをしているように感じた。結論なんて出るわけがないのに、このテーマを検討することを勧めた金田さんの意図はなんだろうか、とふと思った。
「ゴホン、ゴホン」
その金田さんが急に咳き込み始めた。
「大丈夫ですか!」
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