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十人の食卓
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僕は驚いた。桂坂さんと顔を見合わせる。以前の集落では確かにどの家も釘を使わない工法で建てられていた。向こうの世界から釘や鉄が持ち込まれて初めて鉄を使用するようになったのだ。ところがこの家では普通にどこでも釘を使っているという。
「ということは……健太君たちがいた村ではそれが当たり前だったかもしれないけど、それはこの世界のスタンダードではなかったかもしれない、と言えるかもしれない」
林さんが自ら解説を試みたが、その時、料子さんが手を叩きながら「まあ、それ以降は夕食のあとに、ということで」と言ったので、なんか尻切れトンボ的になりながら、夕食に突入した。
夕食は人数も増えてずいぶん賑やかになった。今、全部で人だ。僕に桂坂さん、海原君、料子さん、釣りキチさんの旧村人のグループが5人。こちらの村人が、元々居た金田さん、林さん、安食さんの3人と新しく来た楓さん、栗原君、合わせて5人。全部で10人の大所帯となっている。
「健太君がいた集落は、一番多い時で何人ぐらいいたの?」
缶詰を食べていた金田さんが、ふと気づいたという感じで僕に尋ねてきた。
「そうですね。30人近くいたと思います。その後は、別行動するグループが出たり、集団で行方不明になったりして、一気に減っちゃいましたけどね。僕らがいなくなって、向こうがどうなってるか、まったく分かりません。今でも法則が生きているなら、毎日一人ずつ増えていると予想できますが」
「だとすると、元の世界から異世界に転移した人はかなりの数にのぼると推定されるな」
「そうかも知れません。僕の知っている限りでは、同じ現場から二人転移する例は知っています。あ、あのご夫婦もそうですよね」
だからといって何か確定したことがあるわけではない。金田さんも特に世間話程度に聞いてきたようで、特にそれ以上は話が広がることはなかった。
「さっきの話に戻るが、善蔵さんって言ったかな。夫婦でこっちに居るという……」
少しの間、沈黙が続いたのを見計らって、金田さんがそう話題を戻した。
「ええ」
「テントもあることだし、誰か二人組で行ってみる必要があるよな」
「そうですね。ただ、誰がペアになるかということと、会ってどうするか? という問題がありますね」
金田さんは腕組みしながら言う。
「健太と俺で行くか? 少なくとも健太と安食さんのどちらかは行かないと道が分からない。それにその後のことを検討するには、ある程度今の状況の全体を把握しているメンバーのほうがいいだろう」
「ということは……健太君たちがいた村ではそれが当たり前だったかもしれないけど、それはこの世界のスタンダードではなかったかもしれない、と言えるかもしれない」
林さんが自ら解説を試みたが、その時、料子さんが手を叩きながら「まあ、それ以降は夕食のあとに、ということで」と言ったので、なんか尻切れトンボ的になりながら、夕食に突入した。
夕食は人数も増えてずいぶん賑やかになった。今、全部で人だ。僕に桂坂さん、海原君、料子さん、釣りキチさんの旧村人のグループが5人。こちらの村人が、元々居た金田さん、林さん、安食さんの3人と新しく来た楓さん、栗原君、合わせて5人。全部で10人の大所帯となっている。
「健太君がいた集落は、一番多い時で何人ぐらいいたの?」
缶詰を食べていた金田さんが、ふと気づいたという感じで僕に尋ねてきた。
「そうですね。30人近くいたと思います。その後は、別行動するグループが出たり、集団で行方不明になったりして、一気に減っちゃいましたけどね。僕らがいなくなって、向こうがどうなってるか、まったく分かりません。今でも法則が生きているなら、毎日一人ずつ増えていると予想できますが」
「だとすると、元の世界から異世界に転移した人はかなりの数にのぼると推定されるな」
「そうかも知れません。僕の知っている限りでは、同じ現場から二人転移する例は知っています。あ、あのご夫婦もそうですよね」
だからといって何か確定したことがあるわけではない。金田さんも特に世間話程度に聞いてきたようで、特にそれ以上は話が広がることはなかった。
「さっきの話に戻るが、善蔵さんって言ったかな。夫婦でこっちに居るという……」
少しの間、沈黙が続いたのを見計らって、金田さんがそう話題を戻した。
「ええ」
「テントもあることだし、誰か二人組で行ってみる必要があるよな」
「そうですね。ただ、誰がペアになるかということと、会ってどうするか? という問題がありますね」
金田さんは腕組みしながら言う。
「健太と俺で行くか? 少なくとも健太と安食さんのどちらかは行かないと道が分からない。それにその後のことを検討するには、ある程度今の状況の全体を把握しているメンバーのほうがいいだろう」
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