異世界転移物語

月夜

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新しい役割分担

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「では次に役割ですが……。整理してみましょう。湖に行くのは算田さん、宙。生活面をみるのは生果さん、桂坂さん、薬剤師さん、陸ってところか。医療面はドクターと介護士さんが担当ですが、空いてる時間はそれぞれ畑と生活のほうに入ってもらえますね?」

     ドクターと介護士さんがうなずく。

「設備は大工さんと宝泉さん、エンジさん……ですか。畑の方は農家さんとセンセ中心で僕も入ります。こんな感じでどうですか?」

     整理してみて感じたのは、女手が少し少ない。おかみさん的存在だった料子さんの役割は、今後生果さんが担うことになるだろうが、あらためて料子さんの役割の大きさを知った。

「設備って言っても、畑に入ったり、女の人を手伝ったり、臨機応変に動くようにするよ」

     エンジさんが進んでそう言った。

「そういう人がいてくれるのはありがたいですね。基本、みんな役割に関わらず、必要な動きをしてもらうことにはなりますが」

「水汲みはどんなメンバーで行きます?」

    陸が尋ねた。

「宝泉さん、エンジさん、陸……それに道案内も必要だから桂坂さん。ええと……薬剤師さん、もう一度行ってもらっても大丈夫ですか」

    僕は薬剤師さんを指名するのにはちょっと気が引けた。他のメンバーが消えてしまったときの怖い記憶が残ってるかもしれない。

「はい。大丈夫です。一人で行くわけでもないし。それに道を知ってる人が一人でも多い方がいいでしょうし」

「お願いします」

    結局、午前中は話し合いだけで終わってしまった。昼飯時は、ことさら落ち込むでも盛り上がるでもなく、皆淡々と食事をした。次の動きは決まっても、行方不明のメンバーがいるという事実は未だ続いている。皆、あまり口には出さないが、安否を心配しているのだろう。

「じゃあ、新しい人を迎えに行ってきますね」

    こんなときでも1時になれば新しい来訪者は来る。昨日、陸とすれ違いになった苦い経験もあるので、今日は時間に遅れるわけにはいかない。

「私も行っていいですか?」

    陸が僕に頼んできた。

「いいよ。やっぱり、どんな状態で自分がここに来たのか、一度見ておいて損はしない」

    僕たち三人は場に向かった。

「これ以上、人が減ったらやりくりが難しくなるわね」

「まあな。でも、逆に水や食料不足の懸念もあるからどちらにしろギリギリの生活だな」

     桂坂さんと僕の会話に陸も加わる。

「お二人は最初にここに来られたんですよね?」

「そう。まず僕、そして次の日に桂坂さん」

「寂しくなかったんですか?」
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