異世界転移物語

月夜

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消失

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    翌朝、見学メンバー五人は釣りキチさん、保育士さんと共に出発した。村の居残り組は、僕と桂坂さん、宝泉さん、算田さん、エンジさん、ドクター、大工さん、農家さん、宙、陸、介護士さん、生果さん、センセの一三名である。

    今日は料子さんがいないので、生果さんと介護士さん、それに陸も手伝って調理を担当した。桂坂さんは朝には復活したが、念のため、今日は掃除や調理など中でゆっくりペースで仕事してもらうことにした。

     昼飯までには湖見学メンバーも帰ってくる予定だ。僕はみんなの動きを確認したあと、畑に行き、農家さんとセンセの手伝いを始めた。

    ところがまたアクシデントが発生したのである。僕が畑で草を抜いていると、薬剤師さんがハアハア言いながら、駆け足で僕たちのほうに姿を見せたのだ。どうやら森の中を駆け抜けてきたらしい。

「どうしたんですか?」

「大変なんです!」

    農家さんとセンセも集まってきて、薬剤師さんの話を聞く。

「みんな、みんな……いなくなっちゃいました」

「どういうこと?」

「私たち、森の中をを歩いて湖に向かってたんです。私は疲れてきて、最後尾になるところに位置しながらみんなについて行ってました」

    薬剤師さんは少し落ち着いたのか、一度深呼吸をする。

「ところがです。湖の開けた空間の光が見えるか見えないかぐらいのところで、急に前を行く一団がまるまる私の目の前から消えてしまったのです。私以外全員いなくなってしまいました」

「そんな……」

「一瞬、何が起こったのか分からなくなった私は、身動きがとれなくなりました。我に帰ったときは既に跡形もなく誰もいなくなっていたんです……」

    薬剤師さんの切羽詰まった表情を見る限り、嘘や冗談とは思えない。どこからかドッキリのプラカードでも持って出てくれるならいいんだが、そんな雰囲気でもない。

「健太、どうするべ。こりゃ、えらいこった」

    農家さんが俺をせっつくが、俺はあまりの予想外の出来事に、次の的確な指示が出せずにいた。それを見て、センセが助け船を出した

「とにかくみんなを集めましょ。これは緊急事態だわ」

    現在、村に居残っているメンバーが、全員ウシの家に集まった。薬剤師さんを入れて全部で十四名である。

「聞いての通り、先ほど森の中で六名のメンバーの行方が分からなくなりました。遭難したわけではなく、消失したというほうが的確な表現だと思えます。皆さん、この状況をどうみますか?」

    僕の考えもあったが、まずは各自の意見を聞くことにした。
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