異世界転移物語

月夜

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新天地へ

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     そこに関しては僕の考えもまとまっていなかったので、取り敢えず今思ってることを出してみた。

「水を運ぶのはそれだけで結構重たいしな。最初からそんなには多くは持っていけない。どうしても現地調達ってことになるだろうな」

    スカウトさんが見解を述べる。

「でも、あっちの集落で仮に暮らすことになっても、頻繁にこちらと行き来するわけでしょ。そのとき、水を運んだら良くないかしら?」

    保育士さんの意見はある程度正しい。しかし……

「頻繁にって言っても、何日もかかるかも知れないんだぞ。行ったり来たりが本当に効率いいか、考えどころだと思う」

    ドクターは現実的に考えていた。

「まあ、向こうには理科さんも行くわけだし、なんとか簡易的な浄水装置を作って、雨水をなるべく利用するしかないかもな」

    スカウトさんは落とし所を探った。

「飲料水も少しは持っていけますよね。これだけ大人数で行くんですから」と自転車君。

    ただし、それだけ飲み食いする人数も増えるから、たくさん運べるといっても諸刃の剣だ。

    その後も侃侃諤諤に議論が交わされた。そしてなんとなく皆の中にだいたいの計画のイメージが出来つつあった。実際に誰もやったことがないので、多分に机上の空論的なところはあったが。

「では、明日の午前中には出発ということでいいですか?」

   僕は最後にみんなに確認した。起きてすぐというわけにはいかないので、諸々の準備を終えて、午前のうちに出発出来れば御の字としたのだ。

    そして翌朝、十人の仲間が出発する朝が訪れた。

「おはよう」

    僕が起きて外に出ると、スカウトさんは既に荷物をまとめる作業をしていた。ほとんど昨夜のうちに揃えてはいたが、暗い中での作業は限界があったので、朝、最後の仕上げをやっているわけだ。

「気合い入ってますね」

「ああ、なんてったって。新天地に出向くわけだからな。コロンブスが新大陸発見にでかけるような心境だよ」

「コロンブスは別に新大陸を発見しようと思って航海に出たわけではなかったと思うんですが」

「ははは、そうかい。ま、細かいことはどうでもいいんだ」

「水を差すようで悪いんですが、必ずしも集落があるって決まったわけじゃないですからね。最悪の危険とかも念頭に置いておいてくださいね」

「俺も健太に諭されるようになっちまったか。まあ、大丈夫だ。そこら辺はみんなもちゃんと肝に命じている。浮かれて軽はずみな行動はしないだろう」

「もし、池とかだったら、すぐにこっちに戻ってきますか?」
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