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北野広君
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「ほう。こりゃ、びっくりだべ。こんなところで農業青年と会えるとはな」
「わいはまだ高校生だがな」
北野君は年上だろうが構わずタメ口で話す。ただ、それを聞いていても不快にならないのは滲み出る人柄のせいだろうか。
「おっちゃん、こんなとこでちゃんと畑なんて出来んのか?」
「ほう。さすが農業かじっとるだけのことはあるな。この阿呆の健太とは目の付け所が違うべ。けど、何事もやってみな分からんべ」
どさくさに紛れてディスられたような気もするが、それはそれとして北野君のそれに対する返事はなかなか意外だった。
「それもそやな。あんた、なかなかほんまもんの農家やな!」
口調は相変わらずだが、北野君は農家さんに尊敬の念を抱いたようだった。
「そいつは堆肥と石灰か! それ使ってもええかな?」
「ああ、構わんで。勝手に使ってくれ」
農家さんは飛び跳ねそうな勢いで喜んだ。僕には今ひとつその価値が分からないのだが。
僕たちは家の中に入って、生果さんと料子さんに再度詳しく説明してもらった。
「ヘェー、そんなことになっとんたんか。あんたらも大変やったな」
話を聞き終わった北野君は他人事のように感想を述べる。
「これから君も一緒にやるの分かってる?」
生果さんが笑いながら言った。
「分かっとるわ。なんかサバイバルって感じで面白そうやな」
北野君は超ポジティブな性格のようだ。料子さんのように楽天的な人はいるが、彼は彼女以上に前向きに物事を考えられる気がする。
「とりあえず、力仕事ならわいに任しとき」
彼はそう言うと、誰にも頼まれないのに腕の筋肉を自慢げに見せてくれた。
「へええ、すごいね! なんかスポーツやってるの?」
桂坂さんが感嘆の声をあげる。まあ、男の俺から見ても惚れ惚れするような筋肉で羨ましい。
「ラグビーや! 高校ラグビーやで!」
そういえば、日本でもワールドカップかなんかでちょっと前に盛り上がってたな。ルールは知らないけど、テレビでちらっと見ただけでも激しいスポーツだな、という感想を持ったことを覚えている。なんであんな危険なスポーツをやりたがる人がいるんだろう。僕には正直なぞだ。
「ラグビーなんだ! 私、結構好きよ。高校ラグビーだったら、北海道ならもしかして、ほら、なんとか北斗とかいうとこ?」
「よう知っとるな。でもちゃうねん。そこじゃないんよな。わいらの高校、いつもそこに負けとるんや」
僕にはちんぷんかんぷんな話ではあったが、僕は別のことが気になっていた。我慢しきれず尋ねてみる。
「わいはまだ高校生だがな」
北野君は年上だろうが構わずタメ口で話す。ただ、それを聞いていても不快にならないのは滲み出る人柄のせいだろうか。
「おっちゃん、こんなとこでちゃんと畑なんて出来んのか?」
「ほう。さすが農業かじっとるだけのことはあるな。この阿呆の健太とは目の付け所が違うべ。けど、何事もやってみな分からんべ」
どさくさに紛れてディスられたような気もするが、それはそれとして北野君のそれに対する返事はなかなか意外だった。
「それもそやな。あんた、なかなかほんまもんの農家やな!」
口調は相変わらずだが、北野君は農家さんに尊敬の念を抱いたようだった。
「そいつは堆肥と石灰か! それ使ってもええかな?」
「ああ、構わんで。勝手に使ってくれ」
農家さんは飛び跳ねそうな勢いで喜んだ。僕には今ひとつその価値が分からないのだが。
僕たちは家の中に入って、生果さんと料子さんに再度詳しく説明してもらった。
「ヘェー、そんなことになっとんたんか。あんたらも大変やったな」
話を聞き終わった北野君は他人事のように感想を述べる。
「これから君も一緒にやるの分かってる?」
生果さんが笑いながら言った。
「分かっとるわ。なんかサバイバルって感じで面白そうやな」
北野君は超ポジティブな性格のようだ。料子さんのように楽天的な人はいるが、彼は彼女以上に前向きに物事を考えられる気がする。
「とりあえず、力仕事ならわいに任しとき」
彼はそう言うと、誰にも頼まれないのに腕の筋肉を自慢げに見せてくれた。
「へええ、すごいね! なんかスポーツやってるの?」
桂坂さんが感嘆の声をあげる。まあ、男の俺から見ても惚れ惚れするような筋肉で羨ましい。
「ラグビーや! 高校ラグビーやで!」
そういえば、日本でもワールドカップかなんかでちょっと前に盛り上がってたな。ルールは知らないけど、テレビでちらっと見ただけでも激しいスポーツだな、という感想を持ったことを覚えている。なんであんな危険なスポーツをやりたがる人がいるんだろう。僕には正直なぞだ。
「ラグビーなんだ! 私、結構好きよ。高校ラグビーだったら、北海道ならもしかして、ほら、なんとか北斗とかいうとこ?」
「よう知っとるな。でもちゃうねん。そこじゃないんよな。わいらの高校、いつもそこに負けとるんや」
僕にはちんぷんかんぷんな話ではあったが、僕は別のことが気になっていた。我慢しきれず尋ねてみる。
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