異世界転移物語

月夜

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地震学のこと

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     どのみち、食事や夜の打ち合わせで、いろんなことを尋ねる機会はたくさんあるのだけれども、なるべく早く情報を共有して、同じべースで考えられたほうがいいに決まってる。ちんぷんかんぷんな話だと聞いててもやっぱり面白くないだろう。

     つかささんは最初こそ半信半疑だったが、生果さんの生々しい実体験を聞くにつれ、信じる方向に向いたようだ。

「サバイバル……ですね」

「まあね。でも無人島で何もないところの生活よりも随分ましかな。とりあえず今のところ、野生動物の襲撃に会う危険性は低いしね」

「まあ、そうでしょうね」

     だからといって、決して楽な暮らしではない。同意の応答もなんとなく弱々しい。キャンプに慣れているというつかささんでも、今の状況は易からずと感じているようだ。

    生果さんの説明が一段落したあと、僕は少し話題を変えた。

「つかささんは地球物理学科って言ったよね。地球物理学科ってどんなこと勉強するの?」

    特に理系に疎い僕にはあまり想像出来ないでいたので、この機会に確認しようと思って訊いてみた。

「そうですね。地球の構造だとか、磁場の研究とか、私のように地震学専門の人もいますけどね」

「地震学って地震の予知とか?」

「ああ、それはほんの一部ですね。予知というか予測と言ったほうがいいですけど。実際のところ、地震予測って簡単に出来るものじゃないんです。全国の研究者がいろんな角度から取り組んではいるんですが、これっていう絶対的な方法はなくて……」

「まあ、日本は昔から地震大国だからねえ。毎日どこかで地震が起こってるし」

    一般人の代表のような発言をしたのは料子さんだ。

「そうなんですよね……。特に最近は全国で地震が頻発していて。私たちがやってるのは地震予測とは少し違って、大地震の予兆がないか探ることなんです」

「それって予測とどう違うの?」

「予測の場合は、いつ頃どこでどれくらいの地震が起こるかをデータから推測するわけですが、私たちがやってるのはそういう細かい事象の研究ではないんです」

    つかささんは理解できてるかな?   という眼で僕らを見回す。

「もっと大きな、というかもっとダイナミックに全体的な視点からの研究。各地で起こっている前兆現象のデータを集め、俯瞰してみて、大災害の兆候がないか分析する作業。それはコンピュータによるところが大きいのですが、最終的な判断は私たち研究者の経験によります」

「ふうん。分かったような分からないような……」
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