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ナースさんのこと
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残念がる宙に料子さんが訊く。
「もうちょっと大きな凧を作らなくちゃダメってこと?」
「そうですね……どうでしょう。何か他にいい手があるかもしれませんけど。今、いろいろと次の手を考えているんです」
他のメンバーも一緒に考えてみて、いろいろな案が出たが、決定打とはいかず、参考意見程度に終わったが、宙はいい刺激になったと言っていた。
午後からは初めてナースさんと場に向かった。そういえば、ナースさんと二人で話をするのは初めてかもしれない。名簿情報の聞き取りの時を除いてだが。ナースさんが来た時も、農家さんの具合が悪かったので、慌ただしい動きだったし。
「ナースさんの勤めていた病院は大きかったんですか?」
病院名は名簿に記録していたが、どんな病院かまでは知らなかった。
「街のクリニック、河村クリニックっていうんだけど、小さいところよ。入院設備もないような」
「群馬県高崎市でしたよね。都会なんですか?」
「いえ全然、市のはずれのほうだし。まあどちらかというと田舎ね。高齢者も多くてね。だから往診も入れてるの」
僕は群馬県を訪れたことはなかったが、なんとなく想像はついた。列車でならあの辺りは通過したことがあるはずだ。
「ナースさんがいなくなってもクリニックのほうは大丈夫なんですか?」
「ええ。看護士は他にもいるから。お医者さんは一人で大変だけどね。まだ来たのが私で良かったんじゃないかしら」
僕はちょっとそれ以上の話題に困ったので、この世界のことをどう考えてるのか、訊いてみた。
「うーん。どうなんだろう。不思議なことではあるんだけど、案外それに適応出来てる自分が意外だな、とは思ってるの」
「あ、それ、わかります。僕もなんとなくそんな感じです」
「ここは確かに森ばかりだけど、環境が前の世界とまるっきし違うわけじゃないじゃない? 時々思うのよね。やっぱりここはいつもの地球で、ただの未開の地なだけなんじゃないかって」
ただの未開の地か……。実際に異なる環境でえることは確かだ。しかし、前の世界と似ている部分もそれ以上に多い。ちょっとだけ異世界なのだ。人類に知られていなかった場所である可能性もなくはない……。
ただそれにしても、タイムスリップの問題もあるし、僕らが常識を超えたとんでもない事象に巻き込まれているのは事実に違いない。
「まあ、そうであればいいんですけどね……」
僕は言葉を濁しながら、曖昧に返答した。もう場が見えてきたし、議論をしてもしょうがない。
「なんか緊張するわね」
「もうちょっと大きな凧を作らなくちゃダメってこと?」
「そうですね……どうでしょう。何か他にいい手があるかもしれませんけど。今、いろいろと次の手を考えているんです」
他のメンバーも一緒に考えてみて、いろいろな案が出たが、決定打とはいかず、参考意見程度に終わったが、宙はいい刺激になったと言っていた。
午後からは初めてナースさんと場に向かった。そういえば、ナースさんと二人で話をするのは初めてかもしれない。名簿情報の聞き取りの時を除いてだが。ナースさんが来た時も、農家さんの具合が悪かったので、慌ただしい動きだったし。
「ナースさんの勤めていた病院は大きかったんですか?」
病院名は名簿に記録していたが、どんな病院かまでは知らなかった。
「街のクリニック、河村クリニックっていうんだけど、小さいところよ。入院設備もないような」
「群馬県高崎市でしたよね。都会なんですか?」
「いえ全然、市のはずれのほうだし。まあどちらかというと田舎ね。高齢者も多くてね。だから往診も入れてるの」
僕は群馬県を訪れたことはなかったが、なんとなく想像はついた。列車でならあの辺りは通過したことがあるはずだ。
「ナースさんがいなくなってもクリニックのほうは大丈夫なんですか?」
「ええ。看護士は他にもいるから。お医者さんは一人で大変だけどね。まだ来たのが私で良かったんじゃないかしら」
僕はちょっとそれ以上の話題に困ったので、この世界のことをどう考えてるのか、訊いてみた。
「うーん。どうなんだろう。不思議なことではあるんだけど、案外それに適応出来てる自分が意外だな、とは思ってるの」
「あ、それ、わかります。僕もなんとなくそんな感じです」
「ここは確かに森ばかりだけど、環境が前の世界とまるっきし違うわけじゃないじゃない? 時々思うのよね。やっぱりここはいつもの地球で、ただの未開の地なだけなんじゃないかって」
ただの未開の地か……。実際に異なる環境でえることは確かだ。しかし、前の世界と似ている部分もそれ以上に多い。ちょっとだけ異世界なのだ。人類に知られていなかった場所である可能性もなくはない……。
ただそれにしても、タイムスリップの問題もあるし、僕らが常識を超えたとんでもない事象に巻き込まれているのは事実に違いない。
「まあ、そうであればいいんですけどね……」
僕は言葉を濁しながら、曖昧に返答した。もう場が見えてきたし、議論をしてもしょうがない。
「なんか緊張するわね」
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