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内装さん
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ホームセンターでは一部食品も売っているらしく、ビスケットとポテトチップスが数袋入っていた以外はほとんど日用品だった。
輪ゴム、紐、糸、ビニールテープ、包装用のビニールロープ、布テープ、ハサミ、ホッチキス、ライターなどの小物から、長靴、傘、レインコート、バケツ、ブルーシート、ホワイトボード、キャスターなどのちょっと大きめのものまで揃っていた。一番役に立ちそうなのは、100枚入りのゴミ袋かな。
「石鹸があるわ。タオルもあるし。それにビニール手袋も」
料子さんが歓声を上げた。
「軍手や作業用の帽子や腕カバーは、外作業のときに助かりますね」
桂坂さんも嬉しそうに言う。やはり女の人の方が生活に密着したものの反応はいい。僕が鈍いだけなのかもしれないが。
柊さんは壁紙を貼ったり、ペンキを塗ったりの内装関係が専門という話だったが、今回は直接の仕事道具はなかった。その後、家をざっと見てもらったが、まあ内装で至急やらなければないないようなところはない、ということだった。
午後の残りの時間は、柊さんもまだ動ける元気があるということだったので、僕と一緒に畑をしてもらった。まだまだ青年と呼べる年なので、さすがに力仕事でも苦にしていない。僕とは大違いだ。
夜になり、スカウトさんたちが帰ってきた。
「柊といいます」
「俺はスカウト、こっちは自転車君だ」
「ホームセンターに勤めてるんですが、内装が本職です」
「じゃ、内装さんかな。あ、ニックネームみたいなもんだけど。俺も自転車君もほくだから。呼びやすいだろ?」
スカウトさんたちは柊さんと挨拶を交わす。それをきっかけに僕らも柊さんのことは内装さんと呼ぶことにした。その後、内装さんが持ってきたものをチェックしていたが、折りたたみ式のキャスターを見つけると、それを持ち上げながら僕に言った。
「これ、路木さんたちに持っていってもらったらいいんじゃないのかな?」
「それ何に使うんです?」
僕は素朴な疑問を口にした。
「道作りや水汲みなら何かと運搬作業が多くなるだろ。キャスターがあれば少しは楽になるはず」
「でも、でこぼこの地面の上じゃ、キャスターは役に立たないんじゃないですか?」
「そんなことはないさ。板を下に敷いて道を作れば、その上ではかなり使えると思う」
確かに路木さんの要請で、大工さんが板を大量に作っているのは知っていた。何に使うんだろう、と不思議に思いながら遠目に見ていたのだが、なるほど、道作りのためのものか。
輪ゴム、紐、糸、ビニールテープ、包装用のビニールロープ、布テープ、ハサミ、ホッチキス、ライターなどの小物から、長靴、傘、レインコート、バケツ、ブルーシート、ホワイトボード、キャスターなどのちょっと大きめのものまで揃っていた。一番役に立ちそうなのは、100枚入りのゴミ袋かな。
「石鹸があるわ。タオルもあるし。それにビニール手袋も」
料子さんが歓声を上げた。
「軍手や作業用の帽子や腕カバーは、外作業のときに助かりますね」
桂坂さんも嬉しそうに言う。やはり女の人の方が生活に密着したものの反応はいい。僕が鈍いだけなのかもしれないが。
柊さんは壁紙を貼ったり、ペンキを塗ったりの内装関係が専門という話だったが、今回は直接の仕事道具はなかった。その後、家をざっと見てもらったが、まあ内装で至急やらなければないないようなところはない、ということだった。
午後の残りの時間は、柊さんもまだ動ける元気があるということだったので、僕と一緒に畑をしてもらった。まだまだ青年と呼べる年なので、さすがに力仕事でも苦にしていない。僕とは大違いだ。
夜になり、スカウトさんたちが帰ってきた。
「柊といいます」
「俺はスカウト、こっちは自転車君だ」
「ホームセンターに勤めてるんですが、内装が本職です」
「じゃ、内装さんかな。あ、ニックネームみたいなもんだけど。俺も自転車君もほくだから。呼びやすいだろ?」
スカウトさんたちは柊さんと挨拶を交わす。それをきっかけに僕らも柊さんのことは内装さんと呼ぶことにした。その後、内装さんが持ってきたものをチェックしていたが、折りたたみ式のキャスターを見つけると、それを持ち上げながら僕に言った。
「これ、路木さんたちに持っていってもらったらいいんじゃないのかな?」
「それ何に使うんです?」
僕は素朴な疑問を口にした。
「道作りや水汲みなら何かと運搬作業が多くなるだろ。キャスターがあれば少しは楽になるはず」
「でも、でこぼこの地面の上じゃ、キャスターは役に立たないんじゃないですか?」
「そんなことはないさ。板を下に敷いて道を作れば、その上ではかなり使えると思う」
確かに路木さんの要請で、大工さんが板を大量に作っているのは知っていた。何に使うんだろう、と不思議に思いながら遠目に見ていたのだが、なるほど、道作りのためのものか。
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