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湧き水
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「この上流に湧き水が出るところがある」
スカウトさんがそう答えたあと、一向は川をさかのぼっていった。しばらく進んだあと、その湧き水の箇所に出た。
「ほんとだ!」
昨日は現場に来ていない保育士さんが歓声を上げる。
「きれいな水ですね」
岩の隙間からちょろちょろと滲み出ている水を僕は手ですくってみた。
「まだ理科さんの検査結果は出ていないが、たぶん大丈夫だと思う。量は少ないが、ずっと出続けているので、時間をかければかなりの量が確保できるんじゃないかな」
スカウトさんが岩をポンポンと叩きながら見解を述べた。僕らは早速、順番に容器を岩にくっつけて湧き水の回収に努めた。
「これで安心して飲める水が確保できるのは大きいですよね」
僕は水を入れながら、素直に感想を吐露した。
「ああ、持ってきた水はわずかだったし、湖の水や雨水は出来れば生活用水で使いたいからな。理科さんの検査でOKということになれば、今後は心配しなくても済む」
「でも、ずっとここから湧き水が出続ける保証はないですよね?」
横から自転車君が多少不安げな顔で言う。
「まあな。雨水が染み込んで出てきていることも考えられるし、枯渇する可能性はあるな。でもそんなこと、今考えてもしょうがない」
スカウトさんの言葉に、自転車君はうなずいた。
「このさらに上はどうなっているんでしょうね」
ドクターが流れる川の上流を見ながら言う。僕もそちらに視線を向けたが、川幅は上に行くほど狭くなっているようで、その先はここからではよくわからない。
「じゃあ、行けるだけ行ってみますか?」
大工さんが提案すると、皆、それに同意した。僕たちは、川に沿って上流を目指したが、やはり草木が生い茂っているので簡単には進めない。持ってきていた鎌などを駆使して道を切り開きながら、登っていった。
「かなり細くなりましたね」
自転車君が川を見て言う。確かに川の流れは随分心許ないものになっている。草の陰に隠れていれば、普通ならもう気がつかないレベルだと思う。大雨のあとならもう少しはっきりした流れになるだろうが。
さらにしばらく進んだあと、ついに川は途切れた。土の間から滲み出ている様子だが、それもあまりはっきりしない。僕らは諦めて引き返した。
川の水量があるということは、流れている途中でもどこかかから補充されているはずだが、観察した限りではそのあたりはよく分からない。
一応、午前中に一旦帰ることになっていたので、その後は路木さんの指導のもと、湧き水までの道を多少なりとも通りやすくする算段をして、少しだけ作業を進めた。
スカウトさんがそう答えたあと、一向は川をさかのぼっていった。しばらく進んだあと、その湧き水の箇所に出た。
「ほんとだ!」
昨日は現場に来ていない保育士さんが歓声を上げる。
「きれいな水ですね」
岩の隙間からちょろちょろと滲み出ている水を僕は手ですくってみた。
「まだ理科さんの検査結果は出ていないが、たぶん大丈夫だと思う。量は少ないが、ずっと出続けているので、時間をかければかなりの量が確保できるんじゃないかな」
スカウトさんが岩をポンポンと叩きながら見解を述べた。僕らは早速、順番に容器を岩にくっつけて湧き水の回収に努めた。
「これで安心して飲める水が確保できるのは大きいですよね」
僕は水を入れながら、素直に感想を吐露した。
「ああ、持ってきた水はわずかだったし、湖の水や雨水は出来れば生活用水で使いたいからな。理科さんの検査でOKということになれば、今後は心配しなくても済む」
「でも、ずっとここから湧き水が出続ける保証はないですよね?」
横から自転車君が多少不安げな顔で言う。
「まあな。雨水が染み込んで出てきていることも考えられるし、枯渇する可能性はあるな。でもそんなこと、今考えてもしょうがない」
スカウトさんの言葉に、自転車君はうなずいた。
「このさらに上はどうなっているんでしょうね」
ドクターが流れる川の上流を見ながら言う。僕もそちらに視線を向けたが、川幅は上に行くほど狭くなっているようで、その先はここからではよくわからない。
「じゃあ、行けるだけ行ってみますか?」
大工さんが提案すると、皆、それに同意した。僕たちは、川に沿って上流を目指したが、やはり草木が生い茂っているので簡単には進めない。持ってきていた鎌などを駆使して道を切り開きながら、登っていった。
「かなり細くなりましたね」
自転車君が川を見て言う。確かに川の流れは随分心許ないものになっている。草の陰に隠れていれば、普通ならもう気がつかないレベルだと思う。大雨のあとならもう少しはっきりした流れになるだろうが。
さらにしばらく進んだあと、ついに川は途切れた。土の間から滲み出ている様子だが、それもあまりはっきりしない。僕らは諦めて引き返した。
川の水量があるということは、流れている途中でもどこかかから補充されているはずだが、観察した限りではそのあたりはよく分からない。
一応、午前中に一旦帰ることになっていたので、その後は路木さんの指導のもと、湧き水までの道を多少なりとも通りやすくする算段をして、少しだけ作業を進めた。
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