異世界転移物語

月夜

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気質

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    これで男性が、僕、スカウトさん、釣りキチさん、農家さん、自転車君、大工さんの六人。女性が桂坂さん、料子さん、ナースさん、生果さんの四人。合わせて十人になった。ついに二桁だ。

    そろそろ三つ目の家を使い始める必要があるんじゃないか。僕は夕食後に、スカウトさんにそのことを相談した。

 「そうだな。まあ、一軒七、八人ぐらいで使う算段をしてたんだがな。メンバーの体格とか年齢とかも考慮して、そのあたりは柔軟に考えてもいいかもな」

「とりあえず、今のところは特に問題はないと思います。男の方もあと二人ぐらいは一緒に寝られると思います」

「安全面を考えたら、なるべくひとかたまりで生活するほうがいいと思うんだ。特に夜は」

    実際には相変わらず野生動物は見かけないし、鳥もいないのでほとんど危険はないように思える。むしろ、仲間同士のいざこざのほうが、こんな状況では危惧するところだ。

「健太は今いるメンバーについてどう思う?」

「どうとは?」

「うーん、気質とか思想とか、そんなところで何か気になる点とかはないか」

     そういえば、仲間のことをこんな風に話し合ったことはなかった。なんか陰口を叩いてるみたいで、なんとなくその話題に触れるのは避けてきたようなところがある。

「そうですね……農家さんや大工さんはぶっきらぼうですけど、悪い人じゃなさそうですし。釣りキチさんや自転車君は本当純朴そのものですよね。女の人も特に変な人はいないと思います」

「だいたい俺も同じ意見だな。基本、素直で真面目で明るい連中が集まってる感じがするな。もっとも、まだまだみんな本性をさらけ出しているわけじゃないだろうが」

「スカウトさんはどうなんですか?   周りの人に対して警戒とかしてますか」

    僕は以前から気になっていたことを尋ねてみた。僕はといえば、まったく警戒心なく接しているかと言えば嘘になる。

「警戒か……どうだろうな。みんなを全面的に信用してるわけではないが、かといって疑心暗鬼になっているわけでもない。結局、生き抜いていくためにはみんなで協力しないとダメだってのは分かってるから、ある程度信用して任せざるを得ないってのが本当のところかな」

「仕方なく……って感じですか」

「いや、それはちょっと違うな。むしろ、積極的に任せてるほうが近いかもしれない。自らの運命を受け入れているというか……」

    スカウトさんの言いたいことはなんとなく分かる。僕もそういう感覚が確かにある。不思議な感覚だが、焦りとかもなく、なるようにしかならないと開き直っているような感じ。状況は厳しいのだけど、それほど追い詰められてる心境ではない。やはり、信頼出来る仲間がいると自分が認識しているってことなのではないか。
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