異世界転移物語

月夜

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久々の森の探索

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    久しぶりの森の探索だ。最初、一人でさまよっていた頃がなんだか懐かしい。まだほんの一週間前なのに……。

「今のところ、森を出るための手掛かりはまったくないが、一週間経っても俺たち以外の人間は集落を訪れなかったことから考えると、俺たちがかなり孤立しているのは間違いないようだな」

    前を歩くスカウトさんが、僕に語りかけてきた。

「そうですね。だいぶ人数が増えてきて忘れていたんですが、よく考えるとまだまだ寂しい状況には変わりないですね」

「毎日、必ず新しい人が来る、っていうのは俺たちにとってすごく幸運だと思うんだ」

「人数が少しずつ増えるからですか?」

    僕は反射的に答えた。

「それもあるが、一番は毎日刺激があるってことだ。そのおかげで、生活がマンネリすることがなくて済んでいる」

    僕はスカウトさんの言うことに、まだピンと来なかった。これまでの生活は、色々あり過ぎて、落ち着く暇もないくらいの印象を感じていたからだ。

「今はまだ高々一週間かそこらだから目立たないが、固定メンバーで一ヶ月も暮らしたら必ず飽きがきて、いざこざのタネになる。俺は経験上、そういう場面を何度か見ている」

    ボーイスカウトの経験だろうか。それとももっと昔の体験なのか、分からないが、スカウトさんの言葉には実感がこもっていた。

「確かに、今までも新しい人が来るたびに、なんらかの生活面の見直しを繰り返してきましたね」

「ああ、それが集団を活性化させる。一人一人が活き活きと行動するもとになるんじゃないかと思ってるんだ」

    僕はそこまで深く考えていなかったが、そこまで見据えているスカウトさんは流石だと思った。

「まだ食料は不足気味だ。安定して魚が食べれているとはいえ、他に肉がない上に、野菜も乏しい。健太たちが持ってきた非常食ももう底をついただろう?」

   僕はうなずいた。昨日で僕の非常食はなくなった。

「これから来る人の持ち物頼りというのはいかにも心細い。人が増えればそれだけ食料不足になる危険も増すかも知れない」

   唐突に食料の話になったので、僕はまだスカウトさんの言うことが飲み込めなかった。

「それでも、新しい人が来るっていうのは俺たちにとって大きなことなんだ、ってことが言いたかったのさ」

    僕の戸惑いを知ってか、スカウトさんは僕にも分かるように話の意図を説明してくれた。

「つまり、心の問題のほうがより大事ってことですか?」

    僕は少し考えてから、端的に訊いてみた。僕の問いかけにスカウトさんは満足そうに大きくうなずいた。

「うん。さすが健太はポイントをしっかり押さえているな。ちょっと感心したよ。要するに、こういう危機的状況のときに最も大切なのは、諦めない強いメンタルってことだな」
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