25 / 319
可能性の考察
しおりを挟む
「それじゃあ、また明日もあそこに誰かがやってくると?」
「ええ、その可能性が高いと思います」
「うーん」
釣りキチさんは唸っただけで、うまく言葉がまとまらないようだった。
「なんでこんなことになってるんでしょうかね?」
少し考えたあと、やっと絞り出したのは当たり前すぎる問いかけだった。
「こっちが聞きたいくらいだよ。それに何故俺たちが? ってのも結構大きな問題だ」
「そう。それなんですよね。僕らが何か共通点があるかというと……何もなさそうなんですよね」
僕もスカウトさんに同意した。ミステリならミッシングリンクというところだが、何か僕らに共通点が見出せれば、これから来る人の予想も出来るかも知れない。そこから、この現象を解決する糸口に繋がれば理想的だ。
しばらく沈黙が続いたあと、スカウトさんがボソリと言った。
「それからなあ。一つ、心して欲しいことがあるんだ」
スカウトさんの真剣な表情を見て、何か大事なことであることが見てとれた。
「それはな、これから来る奴が良い人とは限らないってことだ」
「あっ!」
僕は思わず声を上げた。
「今ここに来てる四人は、とりあえずそんなに悪い奴は居なさそうだが、これからは分からない。どんな凶悪犯が来るかも分からないし、そこまで行かずとも、腹に逸物抱えた悪意を持った人物が来る可能性は充分ある」
「確かにそうですね。善人だけなんてことはないですよね」
釣りキチさんが答える。
「なんか怖い……もし、悪意のある人が来たら、トラブルだって起こるだろうし、最悪殺し合いとかも……」
桂坂さんは言いながら、怯えた表情を見せた。
「まあ、それはドラマや映画の見過ぎだと思うけど、この先、なんらかのトラブルは起きる可能性はたかいでしょうね」
と、僕も率直に意見を述べた。
「そうなったとき、どうする? そいつを受け入れるか、排除するか、選択を迫られるかも知れない」
「でも、あらかじめ考えておくのは無理ですよね。どんな人が来るのか、まったく分からないので」
「そうだ。健太の言う通りだ。だから、一応みんな警戒はしておいた方がいいが、考えても無駄ってことだな」
スカウトさんはそこで話を打ち切った。あまり暗い話題を続けても、眠れなくなるばかりで良い事など一つもない。賢明な判断だ。
「まあ、明日来る人が善人であることを祈りましょう」
釣りキチさんの一言のあと、俺たちは消灯して、眠りについた。
「ええ、その可能性が高いと思います」
「うーん」
釣りキチさんは唸っただけで、うまく言葉がまとまらないようだった。
「なんでこんなことになってるんでしょうかね?」
少し考えたあと、やっと絞り出したのは当たり前すぎる問いかけだった。
「こっちが聞きたいくらいだよ。それに何故俺たちが? ってのも結構大きな問題だ」
「そう。それなんですよね。僕らが何か共通点があるかというと……何もなさそうなんですよね」
僕もスカウトさんに同意した。ミステリならミッシングリンクというところだが、何か僕らに共通点が見出せれば、これから来る人の予想も出来るかも知れない。そこから、この現象を解決する糸口に繋がれば理想的だ。
しばらく沈黙が続いたあと、スカウトさんがボソリと言った。
「それからなあ。一つ、心して欲しいことがあるんだ」
スカウトさんの真剣な表情を見て、何か大事なことであることが見てとれた。
「それはな、これから来る奴が良い人とは限らないってことだ」
「あっ!」
僕は思わず声を上げた。
「今ここに来てる四人は、とりあえずそんなに悪い奴は居なさそうだが、これからは分からない。どんな凶悪犯が来るかも分からないし、そこまで行かずとも、腹に逸物抱えた悪意を持った人物が来る可能性は充分ある」
「確かにそうですね。善人だけなんてことはないですよね」
釣りキチさんが答える。
「なんか怖い……もし、悪意のある人が来たら、トラブルだって起こるだろうし、最悪殺し合いとかも……」
桂坂さんは言いながら、怯えた表情を見せた。
「まあ、それはドラマや映画の見過ぎだと思うけど、この先、なんらかのトラブルは起きる可能性はたかいでしょうね」
と、僕も率直に意見を述べた。
「そうなったとき、どうする? そいつを受け入れるか、排除するか、選択を迫られるかも知れない」
「でも、あらかじめ考えておくのは無理ですよね。どんな人が来るのか、まったく分からないので」
「そうだ。健太の言う通りだ。だから、一応みんな警戒はしておいた方がいいが、考えても無駄ってことだな」
スカウトさんはそこで話を打ち切った。あまり暗い話題を続けても、眠れなくなるばかりで良い事など一つもない。賢明な判断だ。
「まあ、明日来る人が善人であることを祈りましょう」
釣りキチさんの一言のあと、俺たちは消灯して、眠りについた。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。
下菊みこと
ファンタジー
ウラリー王国筆頭公爵家、エステル家。権力、地位、財力全てを持ち合わせており、広大な土地を治める。領内も優れた統治で年々豊かになり、領民からの信頼も厚い。また有り余る財力を使い国に尽くす姿勢から、領内外問わず貴族と平民両方から支持されている。教会にも多額の寄付をしていることから、その信仰の篤さを尊ぶ教会関係者も多い。もちろん王室も、忠義を尽くし国を豊かにするエステル家に信頼を置いて優遇していた。
これは、そんなエステル家のお姫様の物語である。
小説家になろう様でも投稿しています。
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる