異世界転移物語

月夜

文字の大きさ
上 下
7 / 319

新たなる展開

しおりを挟む
    外に出ると、今日は天気がよく、雲もあるが、青空も見える。風も心地よい程度に吹いており、樹々の葉っぱもさらさらと揺れている。

「気持ちいい!」

    こんな状況でなければ、とても快適な土地なんだけどなぁ。今朝は、この家を中心に歩き回って捜索してみるか……

    あらためて辺りを見渡してみるが、特に昨日と印象は変わらない。集落の周りには畑らしきものは少しあるが、それ以外は森に囲まれており、樹々が密集している。
    
    午前中、集落を中心に、昨日と同じ方法で二度ほど捜索してみたが、やはり樹々が並んでいるだけで、特に変わったものはなかった。鳥や小動物も見かけることもなく、ある意味とても静かな森だ。

     ただ、昨日の疲れが残っているのか、足が重く、あまり効率の良い探索とは言えなかった。僕はお昼前に一度、家に戻って横になった。

「ここに来てから、もう丸一日経つのか……」

    早いものだ。昨日はものすごくたくさんのことがあった筈なのに……思い返せばあっという間だった。寝転びながら思わず呟いた言葉をきっかけに、僕には思いついたことがあった。

 昨日僕が意識を取り戻した場所に行けば、また何か分かるかもしれない!   

   もしかしたら、誰か来ているかも知れないし、あるいは誰か来たなら痕跡を残してくれているかも知れないからだ。そこに思い至った僕は、善は急げとばかり、体を起こすと現場に向かった。

    僕が昨日目覚めた場所にたどり着いたのは、少しお昼に差し掛かった頃だと思う。
スマホを切っているので、正確な時間は分からないが、太陽の位置からそう判断した。

    周辺を見渡してみたが、人影は全くなく、誰かが訪れたような痕跡も全くなかった。昨日の風景を全部覚えているわけではなかったが、特に大きな変化はなさそうだ。

    僕はここでしばらく待ってみることにした。僕は小腹も空いてきたので、持って来ていた非常食のビスケットをかじって座り込んだ。

 「こんな状態がいつまで続くんだろう?   僕は助かるのだろうか……?」

   いつの間にか、独り言を呟いていたようだ。楽観的な僕にも、そんな不安が頭にもたげてくる。

  その時だった!

   昨日、僕が目を覚ました場所が、一瞬空気が揺らぐような状態になって、そのあと
すぐに収まると、なんとそこには一人の女の子、いや女性がいた!

「あっ!」

    僕は思わず驚きの声を上げた。ショートヘアのカジュアルな服装の女性だ。背丈は僕より少し低いぐらいか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...