異世界転移物語

月夜

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発見

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    それにしても、どうしたものか。

    何故自分がこんなところにいるか?というのも大きな疑問なのだが、それよりも今は「これからどうするか?」を考えなければならない。

"救助?"

    そんな言葉がまず浮かんできた。だが、それはあまり期待出来ないのではないか。誰かに連れてこられたとしても、あまり素敵な招待とはいかないだろう?   何かの犯罪に巻き込まれている可能性もある。もっとも僕なんか誘拐しても、なんのメリットもないんだけどね。

    問題は、2つの選択のどちらを選ぶかだ。
一つは、ここにとどまり救助あるいはここへ連れてきた人間の帰還を待つ。

    もう一つは、ここから移動して、森の脱出口あるいは小屋、集落なんでもいいから他の人に会うのを目指す。

     今はまだ日が明るい。

    しかし、森の中の夜は早く訪れる。
このままここにいて夜を迎えるのはちょっと不安だ。

    そうなると、歩いて移動して、まずは寝ぐらを探すのが得策ではないか。うまくいけば山から降りられる可能性もあるし。

    そう判断した僕は、とりあえず太陽の見える南方向に向けて歩き出した。運良く川などが見つかれば、帰還ルートも見つかるかもしれない。そんな期待を込めての行軍だ。

     一つルールを決めた。もしかしたら、目が覚めた地点というのは、あとあと重要になってくる可能性がある。連れてきた人間が戻るとすれば、その場所だからだ。

     なので、まず15分歩いて何も見つからなければ、一度最初の地点に戻る。そして別の方向を探しに行く。これを繰り返すのだ。

     この方法だと、あまり遠くまで行けないが、出発地点を中心に放射状に地形を確認できる。
夜になるまで、8回ぐらいはできるのではないか?

しかし、2回、3回と繰り返す中で、何も成果が得られない。
果てしなく続くと思われる森の奥深さに、諦めそうになる。
そして、7回目に入ろうとする頃、周りが少し暗くなり始めた。
予定より時間がかかったりして、予想外に早く夜になってしまいそうだ。

"これはまずい"
僕は、今度こそ何か見つかってくれ、と祈る気持ちで、7回目に北東方向に歩き出した。
疲れもピークに達している。

そしておよそ15分後、ついに僕は発見した。

「家だ!」
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