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ポスト
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「ゴホッ。ゴホッ! ハァハァ。なんだか、胸が、苦しい……」
唯人はポストに投函し、嫌いな人物が自分の前から消える度に、体が重くなるのを感じた。
それでも自分がバカにされるのは許せなかった。だから今日も、唯人は手紙をポストに投函した。
『ご依頼、承りました』
「つぎは、どいつを、けそう、かな……」
唯人はバタリと、その場に倒れた。
ポストの収集口は再び開き、一枚の紙がピクリとも動かない唯人の体の上に落ちる。
『お支払い、たしかに受け取りました』
唯人に近づく一つの影。糸目で全身を真っ黒なスーツを着た男は、唯人を見下ろす。
「おやおや、あなたは恨みや憎しみが強すぎて、ポストに魅入られ、多用してしまったようですね」
男はクスクスと、楽しげに笑う。
「そもそも対価を払わずに、願いが叶うわけがないのです。『人を呪わば穴二つ』。他人を呪えば、それは必ず自分に返ってくるのですよ」
男はスッと姿勢を戻した。
「みなさまも、どうかお気をつけください。
昼と夜が入れ替わるこの間の時刻の名前は、『逢魔が時』。人と人ならざるモノたちが、出逢う時刻。甘い言葉には、お気をつけを」
男は胸元に手を当て一礼すると、傍らのポストとともに、闇に溶けていった。
唯人はポストに投函し、嫌いな人物が自分の前から消える度に、体が重くなるのを感じた。
それでも自分がバカにされるのは許せなかった。だから今日も、唯人は手紙をポストに投函した。
『ご依頼、承りました』
「つぎは、どいつを、けそう、かな……」
唯人はバタリと、その場に倒れた。
ポストの収集口は再び開き、一枚の紙がピクリとも動かない唯人の体の上に落ちる。
『お支払い、たしかに受け取りました』
唯人に近づく一つの影。糸目で全身を真っ黒なスーツを着た男は、唯人を見下ろす。
「おやおや、あなたは恨みや憎しみが強すぎて、ポストに魅入られ、多用してしまったようですね」
男はクスクスと、楽しげに笑う。
「そもそも対価を払わずに、願いが叶うわけがないのです。『人を呪わば穴二つ』。他人を呪えば、それは必ず自分に返ってくるのですよ」
男はスッと姿勢を戻した。
「みなさまも、どうかお気をつけください。
昼と夜が入れ替わるこの間の時刻の名前は、『逢魔が時』。人と人ならざるモノたちが、出逢う時刻。甘い言葉には、お気をつけを」
男は胸元に手を当て一礼すると、傍らのポストとともに、闇に溶けていった。
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