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四ノ巻 剣術指南はお任せを 虎之介
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それから二週間。授業が終わった佐吉は、またしても虎之介がいないことに、不満げに息をはいた。そんな佐吉の背後に、近寄る慶次の姿。
慶次は佐吉を突き飛ばそうと、腕を伸ばした。だがその腕が佐吉に触れる前に、佐吉に捕まれた。
「そう何度も同じことに、引っかからないよ」
「なっ!? おい、放せよ!」
「そうだ! 慶次くんを放せ! 弱虫!」
「泣き虫のくせに、生意気だぞ!」
慶次の取り巻きたちも、一斉に佐吉に抗議をする。佐吉は呆れたように肩をすくめる。
「わかった。放すよ」
「うわっ!」
佐吉が手を放した途端、さんざん暴れていた慶次は反動で転んだ。
「いってぇ!」
「……さすがに、おれのせいじゃないよ」
「おまえのせいだろ! そもそもおまえがおとなしくやられてないからだろ!」
佐吉は思わず、「何を言っているんだ?」と顔をしかめた。
「性格がねじまがっているとしか、思えない発言だにゃあ」
佐吉を迎えに来た虎之介は、ちょうど慶次の発言を聞いてなんとも言えない表情をする。
慶次は佐吉を突き飛ばそうと、腕を伸ばした。だがその腕が佐吉に触れる前に、佐吉に捕まれた。
「そう何度も同じことに、引っかからないよ」
「なっ!? おい、放せよ!」
「そうだ! 慶次くんを放せ! 弱虫!」
「泣き虫のくせに、生意気だぞ!」
慶次の取り巻きたちも、一斉に佐吉に抗議をする。佐吉は呆れたように肩をすくめる。
「わかった。放すよ」
「うわっ!」
佐吉が手を放した途端、さんざん暴れていた慶次は反動で転んだ。
「いってぇ!」
「……さすがに、おれのせいじゃないよ」
「おまえのせいだろ! そもそもおまえがおとなしくやられてないからだろ!」
佐吉は思わず、「何を言っているんだ?」と顔をしかめた。
「性格がねじまがっているとしか、思えない発言だにゃあ」
佐吉を迎えに来た虎之介は、ちょうど慶次の発言を聞いてなんとも言えない表情をする。
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