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第3章 シュルトーリア

産まれて

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「痛っ」

ディメンションルーム内で剣を振り、早朝訓練を行うガルド達を眺めていると胸の痛みが走った。視線を下げるとたった一晩でひとまわりほど大きくなった俺とガルドの子が必死に胸に吸い付いている。

子供を胸から離して反対の胸で授乳させ、痛みが走った方を確認すると乳首にあかぎれのようなヒビが入っていた。

「すごい力で吸い付いてるもんな……。」

昨日生まれた子は男の子だ。おかげで跡取りができたとガルドと配下のオークたちは大はしゃぎだった。

魔物は弱肉強食なので集団のリーダーは強い者がなるが強い魔物の子は強くなりやすいので、ほぼ世襲制のような感じらしい。そして種族にもよるが、少なくともオークは女より男が強くなのでリーダーの子供の性別はかなり重要なようだ。

「(妻よ、そろそろ狩りに行ってくる。精がつくものを取ってくるからな。)」
「あぁ。気をつけてな。特に冒険者と鉢合わせしないように。」
「(うむ、十分に気を付けておこう。タルト行ってくるぞ。)」

子供はすでにテイムを済ませ、名前は相談した結果カシとガを合わせてタルトに決まった。そのまま合わせるとタルドになるが個人的に少し呼びにくかったので濁点は取らせてもらった。


名前 :タルト
種族 :ハイ・オーク(Lv1)
状態:未成熟
HP :10
MP :10
STR :1
VIT :1
DEX :1
INT :1
MEN :1
AGL :1
スキル :
剣術(Lv1)  四元魔法(Lv1)  嗅覚上昇(Lv1)  精力増加(Lv1)  射精量微増(Lv1) 
備考 :タカシの従魔

未成熟
レベルに関係なく時間経過とともにステータスが上昇する。
上昇するステータスは種族、適正、環境等様々な要因で変化する。


タルトの種族はどういうわけかオークの上位種であるハイ・オークになっていたが妊娠なんてスキルで生まれたわけだし、不都合があるわけでもないので受け入れておく。

スキルはかなり優秀でオークがデフォで持ってる嗅覚上昇、精力増加、射精量微増、の他に剣術と四元魔法を取得していた。

四元魔法は基礎属性である火・水・土・風の4属性を操れる魔法スキルだ。スキルレベルを上げるには各属性を満遍なく使いこなせないといけない。

ステータスは生まれたばかりで軒並み最低だが未成熟の効果でこれからどんどん上がっていくだろう

ガルドがそっとタルトの頭を撫で、俺に口づけをするとオークを引き連れて狩りに向かった。ロアは狩りについて行かず、いつ戻ってきてもいいように開けっ放しになっている入り口の外で警護をしてくれる。

「ケフッ。」
「もうお腹いっぱいか?」

タルトは乳首から口を離し、自発的にゲップをするウトウトし始めた。

「バラム、悪いけどちょっとの間タルトを頼むな。」
「(まかせて~。)」

タルトをバラムに乗せ、少しだけ見ていてもらう。

「よし、今の内にできる料理はなるべくやっておこう。」

タルトが生まれる前にもある程度作り置きしてあるが、一日の消費量が半端ないので作れるタイミングがあるならなるべく作っておきたい。




簡単にできるのはスープなので大鍋で大量に作っておく。簡単とはいえ量が量なので具材を用意するだけでも一苦労だ。切った具材の中から火が通りにくい物と水を大鍋入れ、火にかける。出てきた灰汁を念入りに取ってから残りの具材も入れ、弱火にしたらしばらく放置だ。

一息ついてからタルトを引き取る。タルトのステータスを上げるためにもなるべく構って色々の刺激をあげたい。

「といってもまだ生後一日だから抱いたりしゃべりかけたりするくらいだけどな。」

抱いたままあやすように上下に揺れたり、手足の先をマッサージするように触れたり。話は俺やガルド達のことや、地球にあった童話を話したりしてみた。
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