上 下
91 / 108
第3章 シュルトーリア

発表と引き籠り準備

しおりを挟む
武器屋を出た俺はツェマーマン工房に寄り、無事戻ってきた事とまた明日からの作業のお願いをするといつもの建物の陰でディメンジョンルームを開いた。

ディメンジョンルームに入って入り口を閉じるとまず従魔達を全員呼び集める。ある発表と今後しばらくの活動方針を伝えるためだ。

「(妻よ、集合させたぞ。それで、戻ってくるなり、どうしたのだ?)」

俺の前に従魔達が集まり座っている。その最前列にバラム、ガルド、ロア、ダブがいる。

「みんなに2つ、伝えておくことがある。1つ目は明日からの行動方針だ。」

ステータスを見ると状態が妊娠(8日目)になっている。アロディーテの話では20日目位から目立つらしいが余裕を持って引きこもりたい。

「明日から5日間は朝一でギルドに行って、依頼を受けれるだけ受けてから森で依頼達成のために狩りと採取をする。オーク達は狩り、バラムは子バラムを散開させて採取。俺は森の側でガルドとダブの服とか魔道具の作成なんかをしてるけどバラム、ガルド、ロア、ダブは狩りと採取どちらに回ってもいい。とにかく依頼をたくさんこなして金を稼ぐ。5日間でできるだけ稼いだら、それで食材とか生活に必要な物を買い込んで20日間位森に引きこもる。森では川とか水場の側でディメンジョンルームを開いて生活する予定だ。俺は基本的にディメンジョンルームから出ないが皆が外に出て、狩りなり訓練なりするのは構わない。ただし、人間は攻撃するな。人間に会ったら即撤退、ディメンジョンルームに戻ってきてもらう。」
「(急にどうしたんですか?)」

急なことにロアが首を傾げる。

「その理由が伝えておくことの2つ目だ。俺には特別なスキルがいくつかあってその中の一つに妊娠というスキルがある。このスキルは、まぁ、そのあれだ。」

集めたのは俺だし、言わないといけないとわかっているがこれだけ見つめられているとここから先を言うのが恥ずかしくなる。

「俺の遺伝子……って言っても分からないか。ほんの欠片以下の俺の体の一部と俺の中に出された精液を合わせて子供を作って妊娠するスキルだ。それでガルド。」

そこから先はガルドの目を見て、ガルドに向けて告げる。

「俺とガルドの子を妊娠してる。」

ガルドが目を見開いて俺を見つめ返す。

「今妊娠8日目だ。30日位で産まれるら「ブヒィィィィ!!」」

俺が言い終える前にガルドが雄叫びを上げて立ち上がり俺を強く抱きしめてきた。それを見てオーク達も雄叫びを上げて立ち上がった。

「(妻よ、よくやってくれた!)」
「ちょっ!まだ話が終わって……。」
「(おめでとうございます。ガルドさん、ご主人様。)」
「(ご主人さま~。赤ちゃん、いつ産まれるの?)」

騒ぎ立てるオーク達に混ざってバラム達もそばに寄ってくる。

「いや、だからその辺も説明するから落ち着けって。」

結局騒ぎが収まるまで数十分もかかってしまった。出産まで残り22日程で妊娠20日目くらいから目立つこと。人目に付かないように余裕を持って15日目くらいから森に引きこもること。それまでに稼いで引きこもってる間の物資を買いたいという最初に説明したこれからしばらくの行動方針をもう一度説明する。

「(あ、あの……。)」

一通りの説明を終えた所でダブが何か言いたそうに手を上げた。

「どうした?」
「(主様、体、大丈夫か?)」
「なんのことだ?」
「(主様、体に赤ん坊いる。主様、オデと気持ちいいことした。あれ、赤ん坊作る、カルドから聞いた。)」
「そうだな。」
「(む、そうだ!身籠っているのにあのような負担になることを!妻が我等を受け入れることができるのはわかっている。だがお腹の子は大丈夫なのか⁉)」

ダブが言いたいことを察したガルドが慌てた様子で続きを引き取り詰め寄ってくる。

「あぁ、それなら大丈夫だ。出産までスキルが守ってくれるから俺が死ななければ影響はない。」
「(そう言われても大切な妻と子のことだ。心配になる。)」
「ありがとな。」

そう言って話を終わらせ、いつも通り俺、ガルド、ロア、ダブが先に食事を済ませる。

「お待たせ。それじゃあ、バラムのご飯にしようか。」
「(ごっはん、ごっはん!)」
「(む、待つのだ。)」

嬉しそうに飛び跳ねるバラムをガルドが制する。

「(バラム殿、妻は我が子を身籠っている。妻は大丈夫だと言っているが、やはり体に負担を掛けるのは良くない。」
「(え~!じゃあバラム、ご飯食べられないの~?)」
「(むぅ、そう言われてしまうと。しかし……。)」

バラムが悲しそうに小さく震える姿にガルドは額に手を当てて悩ましげに唸る。

「ガルド、そんなに心配しなくても大丈夫だぞ?子供はスキルが守ってくれてるし。」
「(しかし、バラム殿の行為も我に劣らぬ激しさだぞ。)」

確かに尿道責めやらなんやらと太くねじれたモノを奥に突き立て、腹が風船のように膨らむ程中出しするガルドとは違った方面かなり激しい。

「それでも食事なしってわけにもいかないだろ。」
「(それはそうなのだが……。)」

ガルドと一緒に悩むところ一つ、案を思いついた。

「ガルドは俺から精液を採取するバラムの行為が激しくて心配してるんだよな?」
「(まぁ、そうだ。)」
「バラムはご飯が食べられるならいつもの行為がなくてもいいか?」
「(う~ん。本当はしたいけど、赤ちゃんのために我慢する~。)」
「そうか。いい子だな。」

我慢することを選んだバラムをそっと撫でて褒めるとバラムは嬉しそうに体を揺らした。

「(それでどうするのだ?)」
「単純にガルドが安心できるくらい優しく搾り取ってくれればいいだろ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

異世界で新型ウイルスが流行したために、少年達に子作りしてもらうことになりました

あさきりゆうた
BL
 異世界転移者が新型ウイルスを持ち込んでしまい、異世界は大変なことになった!  女性の大半は死に絶え、成人男性は身体能力と生殖機能をなくし、そして少年だけがなぜかずっと子供の姿のままとなり、赤ちゃんを産める体となってしまった!?  そんな世界に腐女子の富場 詩代が転移することになり、少年達の子作りの活性のため、少年を探し当て、カップリングを成立させ、時には自作のショタの薄い本で性教育をして、子孫繁栄のために頑張っていく物語である! 22.02.03  元々似たような小説を投稿しましたが、設定が面白くなりそうで、性癖が個人的に刺さるという理由で大幅にリニュアールして投稿し直しました。とりあえず二話投稿。三話目でR18行く予定です。 22.02.06  新しいお話を投稿しました。  初めてショタ同士でエッチする回を書いたが、気がつけば性癖のチョモランマ盛り回となりました。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

弟いわく、ここは乙女ゲームの世界らしいです

BL
――‥ 昔、あるとき弟が言った。此処はある乙女ゲームの世界の中だ、と。我が侯爵家 ハワードは今の代で終わりを迎え、父・母の散財により没落貴族に堕ちる、と… 。そして、これまでの悪事が晒され、父・母と共に令息である僕自身も母の息の掛かった婚約者の悪役令嬢と共に公開処刑にて断罪される… と。あの日、珍しく滑舌に喋り出した弟は予言めいた言葉を口にした――‥ 。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

処理中です...