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第3章 シュルトーリア

引き籠りと生産三昧

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翌日からは時間に注意して行動するようになった。朝一で依頼を受けて森の川に向かうところまでは変わらないが生産活動は引き籠りの間にできるので依頼をこなすようにした。

オーク達は狩り、子バラムは薬草採取。俺は薬草採取と狩りを一日おきにバラムやガルド達と繰り返した。

そのおかげで妊娠14日目で十分な量の貯蓄ができ、食料の確保と当面の制作資材を確保することができた。

「今日からしばらく森の中に引きこもる。」

森に移動し、いつもの川辺で従魔達を整列させるとこれからのことを話す。

「基本的にみんな自由にしていい。ただし、あまり川から離れないように。誰かが近づいてきたらすぐにディメンジョンルームに入ってやり過ごすからすぐに知らせて集合するように。はい、自由行動開始!」

俺が手を打って解散宣言をするとそれぞれ散っていく。

「さてと俺は何から始めるかな。」

この引きこもりの間にやることはいくつか考えてある。

一つ目、魔力回復アイテムの作成。二つ目、全体の装備の改善。三つ目、コンロの改良と量産

一つ目の魔力回復アイテムの作成は先日作った魔力補充の腕輪の別バージョンの作成だ。この間、盗賊を捕まえて思いついたのが盗賊を引き渡す前にマナドレインで魔力を奪って魔石にため込んでおくことだ。盗賊相手なら気兼ねなく魔力を限界まで搾り取ることができる。

二つ目の全体の装備の改善はダブの矢の補充とオーク達の装備だ。彼らの装備は従魔にした時に使っていた物をそのまま持たせている。死体や返り討ちにした冒険者から奪った物らしいが全く手入れをしていないのでボロボロだ。最低限整えてあげないといけないとは思っている。かといってやり過ぎるとガルド達の差がなくなってしまう。ガルドからもはっきりと序列を付けるよう言われている以上少しずつ進める必要がある

三つ目のコンロの改良と量産はベルグさんにコンロの販売をお願いされた時に改良ができればすると言っていた件だ。これは時間が余ればでいいだろう。

「本当はダブの装飾品を作りたかったけどミスリルがもうないからな。」

バラム、ガルド、ロアにはそれぞれ長所を伸ばすようにステータスを上げる装飾品を作ってある。ダブにもそれを作りたかったがミスリルが無い以上どうしようもない。

「とりあえずマナドレインの魔道具だな。形状は拘束具にするのがいいだろうけどどんなのがいいか。」

拘束具と言っても色々ある。首枷、手枷、足枷、指枷。

「術式を刻むことを考えるとサイズの小さい指枷は論外。手が空いてると他のところに枷を付けても外されるかもしれないし、やっぱり手枷か。ただ、マナドレインの魔法陣も結構大がかりになりそうなんだよな。」

マナドレインの魔法陣を意識するとマナトランスファーよりも大がかりな魔法陣が脳内に浮かび上がってくる。

「分割してもただの手枷で収まるかどうか。」
「(どうしたんですか?)」

案をまとめようとテーブルに広げた羊皮紙を前に唸っていると解散宣言をしてからお昼寝モードだったロアが傍によって手元を覗き込んだ。

「人から魔力を奪う魔道具を作りたいんだが魔法陣が結構大型になりそうでな、どうすれば身に着けられるサイズにできるか悩んでてな。」
「(魔力を奪う魔道具ですか?それって身に付けないといけないんですか?)」
「どういうことだ?」
「(あのお風呂のお湯を出す奴も魔道具ですよね?大きくなっちゃうなら直接地面に書いちゃうとか大きい箱にしちゃえばいいんじゃないですか?)」
「あぁ、そうか。魔力補充の腕輪のイメージに引っ張られ過ぎて単純に大型かすればいいことに気が付かなかったな。」

それに大型化すれば1台で複数人から魔力を徴収することもできる。

「いい案だな。ありがとう、これで先に進めそうだ。」

そう言って頭を撫でてやるとすぐそばで再びお昼寝モードに入ってしまった。それを見て俺も設置型のマナドレインの設計図を書き直し始めた。




「これで完成っと。」

設計図の作成に1日、魔道具本体の作成に2日、魔法陣の書き込みに半日掛かりようやく最後の一彫りを終えて、完成したマナドレインの魔道具を眺める。

2畳ほどの薄く板状に伸ばした鉄の板に刻まれたマナドレインの魔法陣。今回の魔法陣は設置型なので分割や縮小化はせずに、むしろ大きく広げて作ってある。その陣の中には逃げられないように短い鎖で手枷がいくつも繋がれている。

最初の起動時のみこちらで魔法陣に魔力を流せばあとは吸い取った魔力で魔法陣が起動し続ける。吸い取ってから使用しなかった余剰魔力が魔法陣の外側にセットされた魔石に貯め込まれる仕組みだ。

「後は起動実験が必要だけど、それはまた今度。盗賊を捕まえた時だな。」

マナドレインの魔道具が完成した翌日からはダブの弓に使う矢を量産を始めた。

ほぼ槍のようなサイズだけに1本作るのにも中々時間が掛かる。1本の角材を4分割に割り、ナイフで角を大雑把に取る。それから鑢を掛けて凹凸やゆがみの無い真っ直ぐな棒を作る。

次に鉄のインゴットを矢じりに加工。それを棒の先端に取り付け、反対側には鳥の羽根を括り付ける。この羽根はオークアーチャーが狩ってきたきた鳥から毟りとった物だ。おかげで矢に使う羽根を確保することができたが矢の大きさに対して羽根が小さい気がするがしょうがない。

コツコツと矢を作り続けること4日。40本の矢を確保することができた。槍のようなこの矢なら回収して何度か使いまわすことができるだろう。
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