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第2章 成長

高圧的な勧誘

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「じゃあ肉全部とオークキングの魔石は戻しだな。キングは時間が掛かるから今日も夕方の鐘がなる頃に来い。」
「わかりました。じゃあお願いします。」

執務室を出た俺達は解体場に戻ると解体依頼の魔物と戻してもらう物を確認して解体場を出た。

俺はそのまま街に出ると以前買えなかった水と保存食、旅に必要なものを買い足すとそのまま夕方までのんびり過した。

夕方に解体場へ向かうと解体は終わっていて、戻してもらう肉と魔石、買い取り清算書を受け取ると総合カウンター向かった。

「買い取りの精算と盗賊討伐、オーク集落討伐の結果調査の確認をお願いします。」

清算書とギルドカードを見せて要件を伝えると受付嬢は少々お待ちくださいと言い残してギルドカードと清算書を持って裏に確認に向かった。

少し待つと麻袋と封筒を持った受付嬢が戻ってきた。

「お待たせいたしました。盗賊討伐、オーク集落討伐の報告の調査が完了しどちらも達成と認められました。盗賊討伐の達成が認められましたのでランクCに昇格となります。おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「ギルドカードは更新中ですので少々お待ちください。先に清算致します。買い取りの精算がオーク29体の魔石と睾丸で金貨29枚、オークキングの睾丸が金貨5枚、盗賊討伐報酬が金貨15枚、オーク集落討伐が金貨45枚。合わせて94枚です。お確かめください。」

受付嬢はそう言って先ほど持ってきた麻袋をそのままカウンターに置いた。

「お、多すぎませんか?」
「いえ、適正金額となっております。盗賊討伐は基本1パーティ、オーク集落は基本3パーティほどの合同での依頼となります。1パーティの人数が平均的な5人と考えて報酬を山分けるすると一人当たり金貨3枚となりそれほど大きな報酬ではありません。この手の依頼のメインの稼ぎは盗賊がため込んだ物資や魔物の買い取り報酬がメインとなります。依頼の報酬は1人で受けても複数のパーティで受けても変わらないためこちらの報酬額となっています。」
「なるほど。そうなるとテイマーは冒険者として有利なんですね。」

そういいながらこの町で自分以外にテイマーを見たことがないことに気が付いた。

「あれ?でも、ほかのテイマーを見たことがないような。」
「そうですね。テイマーは不人気ですから。」
「不人気?」
「タカシ様のように強い魔物をテイムできる人はなかなかいませんよ。テイムさせるために魔物を屈服させる強さがないといけませんから。」

なるほど。俺の場合は屈服じゃなくて俺に発情させて肉体関係を結んでるから簡単にテイムできるのか。

「報酬の面でもテイマーとテイムした魔物だけで1パーティとして戦えるなら今回のタカシ様のように報酬がそのまま手元に残りますがパーティで割るとテイマーは魔物の餌代や厩舎代がかかったりで色々と出費がかさみますからなかなかやっていけないんですよ。」
「魔物を頭数にいれて割ったり、報酬を多く渡したりしないんですか?」
「しませんね。テイマーの魔物は装備品みたいな扱いですから。装備の手入れ費用なんかは個人で出すものですよ。」
「なるほど。そう言われると報酬を多くもらうなんてできなさそうですね。」
「えぇ。ですからタカシ様はパーティを組む時はお気をつけください。テイマーだと見下して雑用に使おうとか分け前目当てにパーティ依頼が来るかもしれませんから。」
「わかりました。気を付けておきます。」






「なんて昨日言ってたのはフラグだったか……。」

報酬と更新が終わったギルドカード、ランクBへの推薦状を受け取って宿に帰った翌朝、ギルドに顔を出すと剣士風の男に大楯を背負った男、魔法使い風、僧侶風の女の4人組に絡まれていた。

「おい、聞いてんのか?あんただろ、最近登録したばかりのソロテイマーって。俺達がパーティ組んでやるって言ってんだよ。」
「……べつに加入パーティは探してないから。」

あまりに失礼で高圧的な態度に俺も相応の態度で相手をする。

「はぁ?あんた新人でしょ。ランクCパーティ疾風の牙の私たちが誘ってあげてるのよ。」
「こちらは親切で誘ってあげているのですよ。不人気職のテイマーなんて誰もパーティを組んでくれないじゃないですか?」

気が強そうな魔法使いと僧侶も加わってくるが二人もこちらを見下しているのを隠しもしない。

「そんな高圧的な態度でこちらを見下したパーティに加入する気はない。俺と従魔で十分やれている。」
「はっ!テイムできるようなモンスターなんかたかが知れてるだろ。そんなのを使役して十分やれてるとかどんな楽な依頼してんだよ。」

イラッ。

なにを根拠にこちらの従魔の能力を決めつけてるのか大楯を背負った男が鼻で笑う。うちの従魔が侮られるのがむかついたので少し挑発してみる。

「言っておくがお前たちじゃ俺の従魔には勝てないぞ。」
「はぁ?俺らのこと馬鹿にしてんのか?」
「おもしれぇ。そこまで言うなら相手してもらおうじゃんか。訓練場で試合だ。」

剣士風の男と大楯の男はあっさり乗ってきたな。

「そっちの2人もいいのか?」
「あたりまえじゃない。挑発なのはわかってるけど舐められたままにはできないわ。」
「ふたりが戦うのなら仕方ありません。パーティですから。」
「そうか。なら受けてたとう。」

俺達はカウンターで事情を話しギルド員に審判兼立ち合い人を頼んで訓練場に向かった。




俺達は訓練場の中央で間を空けて向かい合った。俺は自分の体で隠すようにディメンジョンルームの入り口を小さく開けて念話で3人に試合をすることを伝えていつでも飛び出せるようにしていた。
もちろん、ディメンジョンルームに従魔がいることも試合開始直前に呼び出すことも伝えてある。この時にあらかじめ従魔を見せて逃げられたら堪らないからだと挑発することも忘れない。

「では疾風の牙様とタカシ様の試合を始める。ルールは相手を死に至らしめること以外なんでもあり。また、この試合でケガ、および装備の破損などどのような損失を負っても相手に請求できないものとする。決着は降参もしくはメンバー全員の戦闘不能で判断する。両チーム異論は?」
「ないぜ」

こちらももちろん問題ない。少々痛い目にあってもらおう。

「ありません。」
「それではタカシ様は従魔を呼び出してください。」
「はい。ディメンジョンルーム!」

俺の後ろに開けておいた穴が大きく広がりバラムを抱えたガルドとロアが出てくる。
バラムがガルドの腕を飛び出していつも通り俺の左腕に取り付く。

「なっ!なんだ、そいつは!」

剣士が視線をロアに向けてうろたえる。

「こいつら俺の従魔だ。相手の実力を調べもせずに喧嘩を売ったのはお前らだからな。それとも尻尾巻いて逃げるか?」
「くそっ!どうせ見掛け倒しだろ、審判始めろ!」
「それでは……はじめ!」
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