19 / 31
2、異物の権限
主人の貫徹⑵
しおりを挟む呼吸を荒らげながら、夏芽の衣類を全て取り払うと、その全貌が露わとなる。
自分も服を脱ぎ払い、ベッドの下へと放り投げて、夏芽の隅々まで唇を寄せて堪能を始める。
どこが感じるのか、どこをどうすれば夏芽が気持ちいいのか....。
舐めたり、吸ったり、齧ったり....。全身至る所へと付けた痕が、赤みを帯びて白い肌に映える。
下腹部へとやっと到着した頃、夏芽の秘部は溢れ出た蜜で濡れており、シーツに染みを作っていた。
少し触れただけで、跳ねた夏芽。そして天真は、焦らしに焦らしまくって自身を待ち望みにしている夏芽へと、挿入を開始した。
もう既に開通している筈の彼女の中だが、それが自分のモノを必死に絡みついて離してくれない。
これは好都合だと、天真は全て入りきった時、腰回りに腕を差し込んで夏芽の上半身を起き上がらせると、繋がったまま動かず、キスを堪能した。
抱き締めて体をくっ付け合うと、心音を確認する。
繋がったソコと、比例して動く事に、より一層肥大していく。
ぎゅうぎゅうに詰まって、夏芽の溝が自分のモノを憶えていく感覚が伝わってくると、激しく律動を開始した。
奥へと突き上げて、壁を壊していく。
夏芽が可愛らしく上げる嬌声は、室内へと木霊して、全方位から降り掛かる。
性行為がこんなに素晴らしいものだとは知りもしなかった。
ただ欲を吐いて、終わり。そんな工程を繰り返し、相手に寄り添う事なんかしたことが無い。
相手をよく知り、互いが気持ちよくなる事を憶えれば、何倍も素晴らしい。
それを教えてくれたのが、ただのメイドだなんて....。
一度果て、二度目は夏芽を仰向けにさせて貫いた。
揺れる膨らみを後ろから鷲掴みにしてやった。
蒼真が出来なかった事をしてやったんだ。
素肌の夏芽を犯してやった。
蒼真が注いだ以上に、夏芽へと愛を注ぎ込んでやった。
いったい何時間抱いただろうか....。
あいつの痕跡を塗り替える様に、刻んだ俺の形。
「なつめ....なつめ....ハァっ....なつめ.....。」
何度目の絶頂を迎えただろうか、夏芽の体が耐え切れずぐったりとした頃。
天真は、これで最後だと自分に言い聞かせて、欲を吐き出した。
清々しい気持ちで、この部屋を去った時。
天真は屋敷へと戻ってくると、真っ先に兄の元へと向かう。
「お前だけのじゃねーからな。」
そんな牽制とも呼べる発言に、すぐに事を悟った蒼真は、額に青筋を立てると、浴室へと向かった天真の後ろ姿を見つめながら、怒りを露わとし拳を握りしめた。
天真が浴室へと辿り着いた頃、とある一室の扉が密かに開く。
それは、少しばかりの隙間である。
薄暗い廊下は、その隙間から覗く瞳を隠した。
御髪が乱れ、スーツも適当に着直しただらしの無い恰好。だがしかし彼の横顔は実に清々しい。
そんな男の姿を捉えたのは....。
「....今がチャンスかしらね。フフフっ....。」
消灯時刻は疾っくの疾うに過ぎた。時刻は深夜帯。シンデレラタイムは始まっている。
美容の大敵である夜更かしをしているのは、榊原 静香様でございます。
しめしめと生粋の御嬢様は、浴室へと吸い込まれていった坊ちゃまの後を追いかける。
その御姿は、暗闇の中でも煌びやかに輝くジュエリーを纏い、殿方を誘惑する気満々な、セクシーランジェリー姿。
エステ後の自慢の艶肌、これでもかと盛られた豊満な谷間は、綺麗なアーチを描き、一歩足を進める度に、上下に揺さぶられる。
夜這いを匂わす御嬢様は、天真の後を追った。
「....蒼真さん。今日こそは、私のモノになってもらいますわよ。」
それは、勘違い御嬢様の勘違いである。
見事に兄弟を間違えた榊原 静香は、脱衣所の扉を開くと、既に衣類を脱ぎ去った全裸姿の天真と出くわしてしまった。
夏芽との長時間の情事の後、天真のソレが御嬢様に反応を示すことは無い。
「んな、静香さん!?」
ここで何を....。と言い掛けた天真は、迫り来る淫乱女に動揺を見せ、思わず後退った。
純白のレース生地は、隠すべき場所を大っぴらにし、谷間に垂れ下がる大粒のダイヤモンドのネックレスが、照明で乱反射を繰り返す。
荒らげた息は、まるで闘牛の如く。男なら誰もが喜ぶ爆乳も、今の天真には不愉快極まりない。
「....私が、何故ここに来たかお分かりかしら?」
それはそれは好戦的に、体を近づけてきた静香。彼女は天真を誘惑しようと、グロスで艶めいた分厚い唇を少し噛み締める。
上目使いで天真の瞳を見つめると、そっとその体、胸筋へと手を添えた。
「....やめてください。」
「嫌ですわ。私は貴方に抱いて欲しいんですの。」
雌豹と化した静香は、そのまま天真の体に胸部を押し付けると、無理矢理に背中に腕を回して抱き締めた。
鼻を摺り寄せて、男の匂いを嗅げば、その雄々しい香りに酔い痴れる。
「私、処女を大事に取っていましたのよ?榑林の次期当主様と結ばれる為に....。」
猫撫で声と共に、べた付いた唇が、天真の乳輪を咥える様に吸い付くと、とうとう天真は静香を拒絶し、その体を思いきり押して払い除けたのだ。
勢い余って床に尻餅を着いた静香は、一瞬何が起きたのか分からない御様子。
痛みで食い縛った表情。そして崩れた脚で見上げれば、頭上で見下ろしてくる冷たい瞳。
「悪いが、俺はあんたを抱く気は無い。」
天真はそう言い放つと、脱衣所の棚に常備されているタオルに手を伸ばし、足元で転がる静香目掛け放り投げた。
そして化けの皮が剥がれた口の悪い御曹司様は、怒り心頭で静香へと背を向けた。
浴場の扉が閉ざされる際、あからさまに大きな物音を立てた天真。
その音に驚き、恐怖する静香は、暫くその場から立ち上がれずにいた。
可愛らしい夏芽の淫らな姿を見事に、掻き消した静香。
天真は湯浴みをしながら、何度も舌打ちを落し怒りを露わとする。
夏芽が触れた場所へ、上書きする様に触れてきた汚らしいメス豚の跡を何度も擦り洗う始末。
「うぜぇ、死ね....。死ねよ糞女。」
執事に再三告げた忠告。『絶対に榊原をこの部屋から出すな。』
名家の御令嬢が、この場所に何をしに来たかなんて、当に理解していた。
絶対に、そういう事をしに来たに決まっている。魂胆は見え見えなのだ。
だがしかし、油断してしまった。
「死ね、死ね...死ねっ....。」
嫌でも思い浮かぶ、記憶に新しい別の女の体。
気色が悪い。今まで遊びで抱いてきた女と何ら変わりの無い糞女。
榑林の名に釣られた馬鹿な女たちの内の一人。
そして、聞き捨てならない台詞。
自分を蒼真と間違えて襲ってきた馬鹿だ。
自分たち自ら巻いた種だが、こうしていざ窮地に追い込まれれば、その行為に後悔する。
「....あいつは、間違えてないよな。」
寂しげに囁いた独り言は、湧き出る湯の流れに掻き消されていった。
もしも、もしも、
そんな筈は....
悪い予感しか過らない。
あのメイドは間違えを犯しただろうか。
あの甘い雰囲気に惑わされたのは、
もしかして自分なのだろうか。
頂に登り詰めたこの胸の高まりが
冷め逝くのが解る。
確かめたい。
お前を抱いたのは、この俺だ。
1
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる