坊っちゃまの計画的犯行

2、異物の権限

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国内の御金持ちの頂点とも謳われる【榑林くればやし家】は、末端の双子の婚姻を待ち望みにしておりました。



双子が弄んだ御令嬢の方々は、彼等には相応しくは無いと、少しばかり彼等の犯してきた所業を見過ごして、甘やかしておりましたが、御当主様は少しばかり御怒りの御様子で御座います。




「海里かいり小父様、ご機嫌麗しゅう御座います。」



本家の大豪邸では、何処ぞやの御令嬢様が、見目麗しい大人の雰囲気を漂わす男性と御茶を楽しんでおりました。



日本人形の如し、華やかな薄桃の着物姿。長い黒髪は艶やかで御上品。


真っ赤な口紅が縁取る唇は、微笑する。





「この度は、お招き頂き感謝申し上げます。」




大和撫子という言葉が相応しい。





その女性の名は....





榊原 静香さかきばら しずか様で御座います。



榑林には及びませんが、美徳、家柄、年齢も申し分は御座いません。



御家が仕向けた御令嬢様は、彼等の婚約者候補で間違い御座いません....









第二章
【異物の権限】