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1、双極の戯言
下女の囁き⑵
しおりを挟むそれはそれは、とてもむず痒く、くすぐったい口付けの嵐。
ぴちゃりぴちゃりと、水面が揺れながら、ずぶ濡れの男女が水中で漂う。
足先、脛、太腿、腰回り、腹部、胸部、鎖骨、肩、二の腕....指先へと舌を這い廻らせながら、夏芽の反応を見て楽しむ蒼真。
「ここが一番穢れてるね....幾ら弟だからと言っても、気持ち悪い。」
「っイッッ⁉︎」
指二本を夏芽の秘部へと容赦無く挿入し、中を激しく掻き乱す。
湯船のお湯が、中の蜜と絡み合い、混じりて出る。
乳発色の蕩けた異物を出しに出して、男は満足気に夏芽の額に手を乗せると、
「次は俺ので一杯にしてあげる。」
蒼真の手解きにより、息も絶え絶え果てた夏芽は、霞んだ視界で微笑む蒼真を見つめた。
もう十分と言っても過言では無い、蒼真の立派に反り立つモノを挿むには、相当な苦痛を伴い、只管に息を吐き続けるのみ。
湯で洗い流された秘部は、滑り気が取り除かれ、ギリリと素肌が擦れる。背筋を駆け抜ける快感にも似た違和感に、頭は真っ白になるばかり。
「夏芽、挿ったよ....」
男も男で苦しそうに、彼女の体を抱きしめながら耳元で弱々しく囁いた。
処女では無くなったが、流石にまだ未開発の穴。
密かに、口角を上げながら安堵するのである。
「ちゃんと俺の形を覚えて。」
動くわけでも無く、ただ抱きしめられて、密になる。
可愛らしく小刻みに体を揺らして唸る夏芽。
「可愛いなぁ....」
抱き締める力を強めて、更に奥へと侵攻する。
それの先端が壁にぶつかると、蒼真は夏芽の体を持ち、立ち上がった。
互いの肌理細やかな肌から水滴が落ち、二人は虚な表情を浮かべながら堕ちていった....。
性行為中に名前を呼ぶ行為に意味を成すかと問われれば、それは間違いなく男女共に喜ぶものなのです。
榑林の御坊ちゃま方は、一度抱いた女を二度と抱かないとして、裏では有名な話。
そして、下々の女の名前を覚える事は以ての外。「お前誰だっけ?」なんて日常茶飯事。
「嗚呼、この間天真に喰われた馬鹿女か。」などと相手の羞恥的なエピソードを兄弟間で共有しているらしい。
興味が湧かない、一夜を共にしても、只一時の欲の捌け口で利用されるのみ。女なんて皆一緒。そんな事を彼等は思っておりました。
「ナツメっ...夏芽.....。」
激しく奥を突きあげながら、淫らに揺れる彼女の体を抱き締めて、執拗に奥を攻める。
甘く囁くその子の名。蒼真は初めて女の名を呼びながら抱く行為に興奮していた。
呼べば呼ぶ程に、子宮内を締め付けてきて、気持ちが良かったからだ。
夏芽が反応するならば....それは蒼真自身も同じなのではないだろうかと思う。
「....ぅっ、なつめ、そうまって呼んで...」
「っぁはぁぅ...ぁっ....そ..う...ま...っぁん!!」
我慢も限界、直ぐにでも射精してしまいそうな瀬戸際に、彼女の囀りが浸透していく。
たったそれだけの行為だと言うのに、蒼真は我慢しきれずに奥で果てた。
瞬時に抜けきった力、足元から崩れ落ちて、夏芽と繋がった儘湯船へと沈む。
吐き出した欲望を逃がしまいと、雁字搦めの如く蓋をして、夏芽の唇を喰らう。
必死に夏芽の柔らかい舌を絡め取り、二人は蕩けていった。
―――――程無くして、夏芽は意識を失った。
次に目が覚めた時、彼女は自分の部屋のベッドに潜っている事に気付く。服装はいつも着ている適当な寝巻姿。
朝日はとうに昇っており、森に住まう小鳥の囀りが鬱陶しく思うのです。
「あれ....私、昨日。」
真っ白な天井を眺めながら、昨夜の出来事を思い出そうと試みるが、あの忌々しい双子の顔しか思い浮かばない。
それでも腹部に感じる違和感に、そっと手で撫でて処女を喪失してしまったのだと他人事の様に惚ける。
蒼真に天真。彼等は榑林の次期当主でございます。そんな御曹司達に続け様に抱かれた夏芽は、昨晩の情事が夢であって欲しいと切に願う。
時計の針は、既に始業時刻を回っており、慌てて布団から飛び起きると、刹那走る激痛に顔を顰めた。
想像以上の痛みは、膜を貫かれたものの他に、普段とらない様な無茶な体勢の所為で起きた激しい筋肉痛。
若さとは時に酷でございますね.....。寝て起きたらすぐに発症するなんて....。
昨晩皺くちゃになっていた制服は跡形もなく、皺ひとつどころか今まで付けた染みさえも真っ新な新品が、クローゼットに掛けられております。
・・・?とそれを目の前にして首を傾げたながら眉間に皺を寄せ、夏芽は袖を通した。
屋敷までの道中、苦痛に苛まれながら息絶え絶えに、突き進む林道。それが開けて屋敷が目の前に聳え立つ。
昨晩はどうやって部屋に帰ってきたのだろうか。と疑問を抱きながら、通用口の扉を開けば、この屋敷での唯一の執事でおらっしゃる初老の男性が夏芽を待ち構えていた。
歳の割にシャンとした立ち姿はいつ見ても関心するものだ。
自分の父親と執事は一回りも、その人の方が上だと言うのに、夏芽は自分の父親がだらしない風貌な事に恥ずかしくなる。
「おはようございます、藤さん。」
「おはようございます....。」
目尻に皺を寄せ微笑む執事は、夏芽を座る様にと側に置いてあった座椅子へと誘う。
座る時に走る激痛に、一瞬顔を歪めてしまった。
「辞令です。本日より藤さんは、蒼真坊ちゃまの専属となってもらいます。」
それは突然に、それとも必然に?
魂胆は薄々感じ取っている次第でございます。
「っえ”.....。」
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それはそれは、長年榑林に仕えてきただけある。
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