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㉟つづき
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ではミレーナは今後どうなるかについてですが、更に調べたところミレーナは神殿への申告もなく生まれ、育てられたそうなのです。
この国では親が子を申告することで、国民として認められます。
元から親を亡くしてしまっている場合、神殿が管理する施設である孤児院に預けられ、問題もなく既定の年齢に達した時、国民として正式に認める申告と承認が同時に行われることとなるのです。
つまりこの国での戸籍は一切もっていなく、また施設預かりにもなっていないミレーナは奴隷として扱われても文句も言えない存在でした。
そんなことを実の親であるお義母様も許すわけにはいかず、ミレーナを引き取ってくれる父親を捜すこととなったそうです。
ですが、お義母様が関係をもった方々を一人ずつ調べるわけにもいきません。
そんな中一人だけ親子鑑定の調査に名乗り出た平民男性が現れたそうなのです。
そして鑑定した結果、ミレーナとその平民男性の間に確かな親子関係があるということが判明しました。
そうです。あの手紙の男性です。
私は会ってはいないためどのような風貌をしているのかはわかりませんが、アルベルト様の話ではミレーナによく似ていたと話してくださいました。
そして嬉しい事にその男性はミレーナの父親として子を容認すると発言し、ミレーナは無事戸籍を持つ、国民として認められたのです。
私はあまりミレーナに対していい感情を抱いてはいませんでしたが、それでも戸籍がないことが今後女性としての、いえ人間としての幸せを掴む妨げになることはわかりきっていました。
なのでミレーナに父親が現れたことがなによりも安心しました。
ですが私が驚いたのは他にありました。
なんと、ミレーナは私とアルベルト様よりも年下だということが分かったのです。
貴族の養女となったお義母様は平民時代の最後のとき、関係を持った男性との子を宿していたのです。
そして翌年には元気に出産しました。
その時に神殿へミレーナの存在を申告していればよかったのですが、お義母様もお義母様のご両親たちもその事実を隠そうとなさったようです。
いくらお義母様の髪色が黒く神秘的でも、身持ちが悪く、また誰が父親かわからない子も出産している、そしてマナーが備わっていない平民となれば、せっかく養女として引き取っても婚姻を結びたいという令息なんていないだろうと判断した結果だそうで、申告せずにいたそうです。
そしてお義母様の淑女教育が“ある程度”済んだ二十四という少し行き遅れた年齢に、お義父様と婚姻をしたとのこと。
つまり、この時すでに八歳になったミレーナがいたということになります。
そして再婚したその年、十歳のアルベルト様は学園に通っていたことから、ミレーナとの年齢差は二年の差があることがわかりました。
私の為だとお義母様に騙された私ですが、ミレーナには身分も、年齢も、なにもかも騙されていた事実にショックを隠し切れませんでした。
ですが今後は会うこともないでしょう。
アルベルト様の話では今後は“親子二人”で、幸せに暮らしていくと仰っていたそうです。
そしてミレーナも大人しく、新しくお父様になる男性についていったそうです。
もしかしたら国民として申告していなかった事実、いつ奴隷として扱われるかもしれない危うい立場だったミレーナは、もうお義母様のことを信じられなくなったかもしれませんね。
この国では親が子を申告することで、国民として認められます。
元から親を亡くしてしまっている場合、神殿が管理する施設である孤児院に預けられ、問題もなく既定の年齢に達した時、国民として正式に認める申告と承認が同時に行われることとなるのです。
つまりこの国での戸籍は一切もっていなく、また施設預かりにもなっていないミレーナは奴隷として扱われても文句も言えない存在でした。
そんなことを実の親であるお義母様も許すわけにはいかず、ミレーナを引き取ってくれる父親を捜すこととなったそうです。
ですが、お義母様が関係をもった方々を一人ずつ調べるわけにもいきません。
そんな中一人だけ親子鑑定の調査に名乗り出た平民男性が現れたそうなのです。
そして鑑定した結果、ミレーナとその平民男性の間に確かな親子関係があるということが判明しました。
そうです。あの手紙の男性です。
私は会ってはいないためどのような風貌をしているのかはわかりませんが、アルベルト様の話ではミレーナによく似ていたと話してくださいました。
そして嬉しい事にその男性はミレーナの父親として子を容認すると発言し、ミレーナは無事戸籍を持つ、国民として認められたのです。
私はあまりミレーナに対していい感情を抱いてはいませんでしたが、それでも戸籍がないことが今後女性としての、いえ人間としての幸せを掴む妨げになることはわかりきっていました。
なのでミレーナに父親が現れたことがなによりも安心しました。
ですが私が驚いたのは他にありました。
なんと、ミレーナは私とアルベルト様よりも年下だということが分かったのです。
貴族の養女となったお義母様は平民時代の最後のとき、関係を持った男性との子を宿していたのです。
そして翌年には元気に出産しました。
その時に神殿へミレーナの存在を申告していればよかったのですが、お義母様もお義母様のご両親たちもその事実を隠そうとなさったようです。
いくらお義母様の髪色が黒く神秘的でも、身持ちが悪く、また誰が父親かわからない子も出産している、そしてマナーが備わっていない平民となれば、せっかく養女として引き取っても婚姻を結びたいという令息なんていないだろうと判断した結果だそうで、申告せずにいたそうです。
そしてお義母様の淑女教育が“ある程度”済んだ二十四という少し行き遅れた年齢に、お義父様と婚姻をしたとのこと。
つまり、この時すでに八歳になったミレーナがいたということになります。
そして再婚したその年、十歳のアルベルト様は学園に通っていたことから、ミレーナとの年齢差は二年の差があることがわかりました。
私の為だとお義母様に騙された私ですが、ミレーナには身分も、年齢も、なにもかも騙されていた事実にショックを隠し切れませんでした。
ですが今後は会うこともないでしょう。
アルベルト様の話では今後は“親子二人”で、幸せに暮らしていくと仰っていたそうです。
そしてミレーナも大人しく、新しくお父様になる男性についていったそうです。
もしかしたら国民として申告していなかった事実、いつ奴隷として扱われるかもしれない危うい立場だったミレーナは、もうお義母様のことを信じられなくなったかもしれませんね。
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