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CASE21 宮本 野乃華の場合
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(うぅ……変に見栄はらなければよかった……)
前の方に並ぶクラスメイト達を見ながら、私は自分の行動を少し後悔していた。
(あんまり平気な素振り、しなければよかった……)
私は今、トイレの順番待ちの列に並んでいる。
並んでるといっても、私の後ろには1人しかいないんだけど。
我慢の限界がだいぶ近づいていたのにも関わらず、全力で平気そうな素振りを見せちゃって、自分からこの貧乏くじを引いてしまったのだ。
「我慢できなさそうな子から先にね」
なんて先生が言うから、前の方に並ぼうとするのは恥ずかしくて、結局後ろの方に並ぶことになった。
舞美ちゃんが順番を譲ってくれた時は少しびっくりしたけれど、今となってはいくら感謝してもしきれないほど助かったと思っている。
たった1人分とはいえ、自分から順番を譲ってほしいというのは恥ずかしいし、その子が私よりも我慢の限界が近いのに順番を譲ってもらったことでお漏らししちゃったらと思うと、ちゃんとおしっこを我慢して順番を待つことしか私にはできないからだ。
(舞美ちゃん、本当に順番譲ってくれてよかったのかな……? 舞美ちゃんだって、トイレ行きたいはずだけど……)
舞美ちゃんだって、私と同じ時間かそれ以上トイレに行けてないはずだけどなのに、私が先にトイレに行くなんて、いいのかな? なんて思う。現に、舞美ちゃんは片手で前押さえをしているし。
(かと言って、私もそんなに余裕ないんだけど……私も前押さえしていいかな? いやいや、流石にみっともないでしょ)
本当は私もめちゃくちゃトイレを我慢してたんだけど、「私我慢出来ないから最初にお願い!」なんて図々しいから、「私はまだまだ全然平気だけど、私以外のみんなが我慢できなくてどうしてもここでトイレしたいっていうなら、仕方ないし一緒に並ぶよ」っていう体にして、前の子に、前の子にと、どんどん先を譲ってあげていたら、1番順番が後ろになってしまった。
もちろんこんな体で並んだので、並んでいる途中で思いっきり前を押さえたり、もじもじしたりするような真似をしたら強がりがバレてしまう。
(変な意地張っちゃったなぁ)
だからこそ、舞美ちゃんがトイレの順番を譲ってくれたのは、私にとって本当に助かった。まあ、その舞美ちゃんももう本当に我慢が辛そうな感じだけど。
そんなこんなで、残り数人を前にして我慢がだいぶ限界を迎えてきた。抑えて抑えて、そのうえ変な意地まで張ってしまったので、これまでの人生の中でも3本の指に入るくらい、おしっこを我慢していると思う。
私の無意味な強がりにより訪れてしまった苦境を耐え忍ぶことさらに5分ほど。
「……ぅ、ぁ、はぅ……」
私の目の前に並んでいた杏ちゃんのおしっこの音が聞こえなくなった頃、後ろから小さな声がした。
「舞美ちゃん、大丈夫?」
早紀先生が舞美ちゃんに聞く。
「……あ、はい……野乃華ちゃんも、限界そうなので……」
舞美ちゃんに突然そんなことを言われて、私は顔を赤くしながらトイレに入った。
(で、出ちゃうぅっ)
慌ててパンツを下ろしてしゃがむと、私の膀胱は我慢地獄からようやく解放された。
ちゅぃぃぃぃぃぃっ、じょぼじょぼじょぼじょぼ!!!!!
「はぁ~~!! て、天国~~!!」
思わず普段みんなの前では絶対に出さないような声が出た。けれど、本当に気分は天国だ。
しゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……
(まだ出る……ずっと我慢してたから……)
1分くらい経って、ようやく私はおしっこを出し終えた。おしっこの出口を拭こうとしてトイレットペーパーを取った。
(あっ、トイレットペーパー無くなっちゃった……)
まだ舞美ちゃんがトイレを使うのに、もうトイレットペーパーがない。そんな状況に、私は少し舞美ちゃんに申し訳なくなった。
トイレから出て、私は先生と舞美ちゃんにトイレットペーパーが無くなったことを伝えた。
「えっ⁉」
先生が少し動揺したけれど、すぐに舞美ちゃんが、
「あっ、先生、私、ポケットティッシュ持ってます」
と言った。
「そっか。それじゃあ大丈夫だね!」
早紀先生がそう元気そうに言って、舞美ちゃんがトイレに入っていった後、
「野乃華ちゃん、なんか聞いたことない声出てたけど、気持ちよかった?」
と先生に聞かれた。
「そ、そんなこと聞かないでください!」
「ごめんごめん。先生も結構おしっこ我慢してるから、ちょっと気になっちゃって」
無邪気にそう言う先生に、私はもう何も言い返せなかった。
(でも、お漏らししちゃわなくてよかった……)
私のいわゆる「優等生」キャラがお漏らしで崩壊しなかったことに、私は胸をなでおろした。
前の方に並ぶクラスメイト達を見ながら、私は自分の行動を少し後悔していた。
(あんまり平気な素振り、しなければよかった……)
私は今、トイレの順番待ちの列に並んでいる。
並んでるといっても、私の後ろには1人しかいないんだけど。
我慢の限界がだいぶ近づいていたのにも関わらず、全力で平気そうな素振りを見せちゃって、自分からこの貧乏くじを引いてしまったのだ。
「我慢できなさそうな子から先にね」
なんて先生が言うから、前の方に並ぼうとするのは恥ずかしくて、結局後ろの方に並ぶことになった。
舞美ちゃんが順番を譲ってくれた時は少しびっくりしたけれど、今となってはいくら感謝してもしきれないほど助かったと思っている。
たった1人分とはいえ、自分から順番を譲ってほしいというのは恥ずかしいし、その子が私よりも我慢の限界が近いのに順番を譲ってもらったことでお漏らししちゃったらと思うと、ちゃんとおしっこを我慢して順番を待つことしか私にはできないからだ。
(舞美ちゃん、本当に順番譲ってくれてよかったのかな……? 舞美ちゃんだって、トイレ行きたいはずだけど……)
舞美ちゃんだって、私と同じ時間かそれ以上トイレに行けてないはずだけどなのに、私が先にトイレに行くなんて、いいのかな? なんて思う。現に、舞美ちゃんは片手で前押さえをしているし。
(かと言って、私もそんなに余裕ないんだけど……私も前押さえしていいかな? いやいや、流石にみっともないでしょ)
本当は私もめちゃくちゃトイレを我慢してたんだけど、「私我慢出来ないから最初にお願い!」なんて図々しいから、「私はまだまだ全然平気だけど、私以外のみんなが我慢できなくてどうしてもここでトイレしたいっていうなら、仕方ないし一緒に並ぶよ」っていう体にして、前の子に、前の子にと、どんどん先を譲ってあげていたら、1番順番が後ろになってしまった。
もちろんこんな体で並んだので、並んでいる途中で思いっきり前を押さえたり、もじもじしたりするような真似をしたら強がりがバレてしまう。
(変な意地張っちゃったなぁ)
だからこそ、舞美ちゃんがトイレの順番を譲ってくれたのは、私にとって本当に助かった。まあ、その舞美ちゃんももう本当に我慢が辛そうな感じだけど。
そんなこんなで、残り数人を前にして我慢がだいぶ限界を迎えてきた。抑えて抑えて、そのうえ変な意地まで張ってしまったので、これまでの人生の中でも3本の指に入るくらい、おしっこを我慢していると思う。
私の無意味な強がりにより訪れてしまった苦境を耐え忍ぶことさらに5分ほど。
「……ぅ、ぁ、はぅ……」
私の目の前に並んでいた杏ちゃんのおしっこの音が聞こえなくなった頃、後ろから小さな声がした。
「舞美ちゃん、大丈夫?」
早紀先生が舞美ちゃんに聞く。
「……あ、はい……野乃華ちゃんも、限界そうなので……」
舞美ちゃんに突然そんなことを言われて、私は顔を赤くしながらトイレに入った。
(で、出ちゃうぅっ)
慌ててパンツを下ろしてしゃがむと、私の膀胱は我慢地獄からようやく解放された。
ちゅぃぃぃぃぃぃっ、じょぼじょぼじょぼじょぼ!!!!!
「はぁ~~!! て、天国~~!!」
思わず普段みんなの前では絶対に出さないような声が出た。けれど、本当に気分は天国だ。
しゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……
(まだ出る……ずっと我慢してたから……)
1分くらい経って、ようやく私はおしっこを出し終えた。おしっこの出口を拭こうとしてトイレットペーパーを取った。
(あっ、トイレットペーパー無くなっちゃった……)
まだ舞美ちゃんがトイレを使うのに、もうトイレットペーパーがない。そんな状況に、私は少し舞美ちゃんに申し訳なくなった。
トイレから出て、私は先生と舞美ちゃんにトイレットペーパーが無くなったことを伝えた。
「えっ⁉」
先生が少し動揺したけれど、すぐに舞美ちゃんが、
「あっ、先生、私、ポケットティッシュ持ってます」
と言った。
「そっか。それじゃあ大丈夫だね!」
早紀先生がそう元気そうに言って、舞美ちゃんがトイレに入っていった後、
「野乃華ちゃん、なんか聞いたことない声出てたけど、気持ちよかった?」
と先生に聞かれた。
「そ、そんなこと聞かないでください!」
「ごめんごめん。先生も結構おしっこ我慢してるから、ちょっと気になっちゃって」
無邪気にそう言う先生に、私はもう何も言い返せなかった。
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