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CASE16 隅野 柚月の場合

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(はうぅ……、あんなに渋滞してたらたしかにそうなるかもだけど、みんなおしっこ我慢しすぎ……。トイレの列が長すぎるよぉ……)

 バスを降りてトイレの列に並ぼうとした私は、その列の長さに驚いた。

(ううぅ~、まだちょっと余裕あるけど、こんなに並んでたら我慢できなくなっちゃうかも……)

 私は不安を抱えながらトイレに並んだ。

 それから大体20分くらいが経って、はじめは長かった私の目の前の列も段々短くなった。そして、あと1人で私の順番というところで、突然、私の後ろから小さな呻き声が聞こえた。

「うぅっ……くうぅっ……ふぅっ……」

 声のした方を振り返ると、そこには必死でおしっこを我慢している明日香ちゃんがいた。明日香ちゃんはクラスで一番背の低い私とは比べ物にならないほどスタイルがよくて、私の憧れの女の子だ。そんな明日香ちゃんが、両手で前押さえをしている。そんな姿に、私は少し驚いた。

(明日香ちゃんも、こんな風におしっこ我慢するんだ……。結構辛そうだし、トイレの順番、譲ってあげた方がいいかな……?)

「明日香ちゃん、大丈夫……?」

 小さな声で明日香ちゃんに聞いてみる。

「……もう無理かも……」

 普段の姿からは想像できないほど顔をゆがめた明日香ちゃんから、弱々しい声が返ってきた。

(どうしよう……。私も結構おしっこしたいけど……)

 私の目の前で、今にもお漏らししちゃいそうな明日香ちゃんが必死に前押さえをしておしっこを我慢している。そんな明日香ちゃんの目の前で私が先にトイレに入るなんてこと、私にはできるはずもなかった。

「明日香ちゃん、先にトイレ使っていいよ」

 私がそう言うと同時に、トイレのドアが開いた。明日香ちゃんはもう少しの余裕もないみたいで、

「ごめん柚月ちゃん!」

と言いながら大慌てでトイレに駆け込んでいった。程なくして、トイレの中から大きな水の音が聞こえた。

(うぅ……、明日香ちゃんのおしっこの音、すっごく聞こえてきてる……。余計におしっこしたくなっちゃうよぉ……)

 明日香ちゃんの気持ちよさそうなおしっこの音に誘われるように、私のおしっこ我慢もだんだん辛くなっていく。きゅううっ、とお腹が痛くなってきて、思わず私はおしっこの出口を手で押さえた。

 トイレの中から明日香ちゃんのおしっこの音が聞こえなくなってきた頃、今度は後ろにいた沙織ちゃんに声をかけられた。

「ねぇ柚月ちゃん、もしよかったらなんだけど、澪ちゃんにトイレ、譲ってあげてくれないかな?」

 そう沙織ちゃんに言われて澪ちゃんの方を見ると、澪ちゃんは私と同じくらい辛そうにおしっこを我慢していた。

(ううぅ~……おしっこできると思ったのに……でも……澪ちゃんもおしっこ漏らしちゃいそうだし……)

 私は膀胱に「まだおしっこできないよ」と心の中で言い聞かせながら澪ちゃんにトイレの順番を譲ることにした。トイレのドアが開いて、明日香ちゃんと入れ替わるように澪ちゃんがトイレに入っていく。

(うう……澪ちゃんのおしっこの音、気持ちよさそう……。私も、おしっこ出ちゃうぅ……)

 澪ちゃんのおしっこの音で、私のおしっこ我慢はもう限界寸前。一瞬おしっこがじゅわわっと出そうになって、とっさに私はパンツの中に手を入れて直接おしっこの出口を両手で押さえた。

 少ししてトイレのドアが開く音がして、私は澪ちゃんと入れ替わるようにトイレに駆け込んだ。

(で、出ちゃうっ! おしっこ、おしっこ出ちゃうぅっ!!!)

 2人分の時間おしっこをおあずけされていた私の膀胱はもうトイレのドアを閉めているほどの余裕もなくて、ぷしゅっ、ぷしゅうっとおしっこが出始めちゃう中で慌てて私はおしっこの出口を押さえていた手でパンツを下ろして和式トイレにまたがった。

 ぷしゃあぁぁっ! ばちゃばちゃばちゃばちゃ!!!!!

(はあぁぁぁぁぁぁぁ……、ギリギリ間に合ったぁぁ……)

 1分くらいおしっこが出続けた後、私はトイレのドアが開きっぱなしということに気が付いた。

(……どうしよう……みんなにおしっこしてるところ丸見えだったし、音もみんなに聞かれちゃった……)

 私は顔が熱くなるのが分かって、駆け足でバスに戻った。
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