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夜会にて……

side クラリス 11

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「こんな事、言うのはなんだけど、ミカエルが結婚したら、クラリスだってアルフォント家に居づらいだろ? じゃあ、俺のところに来いよ」

 耳まで真っ赤なアルベルト様は照れ隠しなのか、ぷいっとそっぽを向く。

 アルベルト様に求婚されている事に呆然としながらも、ミカエルの結婚……その言葉が私の心をざわつかせた。

「権力を振りかざしているようで悪いけど、俺と結婚したら、アルフォント家の繁栄に繋がるだろ?」

 ドクンッと心臓が大きく跳ねる。

 私がアルベルト様と結婚したら、ミカエルの……役に立つ?

 頭がぐちゃぐちゃで考えがまとまらない。

 でも、このまま黙っている訳にもいかず、私はなんとか言葉を口にした。

「えっと……あの……考えて……おきます……」
「考えておくか……進歩だな」

 照れも治まったのか、二カッと嬉しそうに笑うアルベルト様。

「いい返事、期待してるから……さて、ホールに戻るか」

 私の手をギュッと握り、ダンスホールに向かって歩き出す。私は少し焦ってしまった。

「い、いえ、まだ、私は……」

 どうしてもダンスホールに戻る気になれず……正直言うと、ミカエルの顔を見たら……泣いちゃいそうで……

「1人でいたら危ないだろ。その……ほら、他の男とか」
「1番危険なのは王子、あなたです。とっととクラリスから離れなさい」

 男の人の影が近づき、私の手からアルベルト様の手を外す。見上げると、私にニッと笑いかける大好きな顔。

 天兄!!

「げっ……」

 アルベルト様は天兄を見て、顔をしかめた。天兄はニヤリと笑う。

「国王様がお呼びですよ。さ、早くお行き下さい。こんな薄暗いところでオオカミと一緒にいる方が危険だ」
「お前はいいのかよ!」
「私は王宮騎士ですよ? ご令嬢を守るのも仕事です。なにか問題でも?」
「くっ……エドワード……クラリスに変な事するなよっ」
「どこぞの王子よりは安全ですよ」
「うるさいっ!」

 顔を真っ赤にしたアルベルト様は「ちくしょう……」とぶつぶつ文句を言いながら、ダンスホールに戻って行った。
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