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バルコニーで……

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 やっと冷静になり、情報を整理しながら、1つ質問を投げかけた。

「シースアクト様はアルベルトもジェスターも知っていらっしゃるのですよね?」
『そうじゃ、赤ん坊の時から知っとるぞい。シースアクトのじっちゃんってのぉ、よく執務室にも遊びに来てたがの。あやつらも一丁前に恋などしおってからに……感慨深いのぉ』

 懐かしそうな樣子でしみじみ語るシースアクト様に、それならなおさら……という考えが強くなる。

「なぜ、僕に味方してくれたんですか?」

 アルベルトやジェスターの方が、かわいいだろうに。
 初対面の僕の味方をしてくれたのはなぜだろう……まぁ、味方って言い切るには、ちょっと悩ましいところだけど……でも、結果、アルベルトは告白を阻止されたわけで。

 イチャイチャが見たいとか言ってるのは表向きで、別に思惑があるのだろうか……とぼけていても、我が国、全魔道士の頂点だったお方。

 なぜ、僕なの?

『お主が気に入ったからに決まっとるじゃろ』
「いや、でも……」
『それにのぉ……』
「それに?」

 僕は姿勢を正す。

 幼き頃から知っている2人ではなく、僕に髪飾りを売った理由……何か 事情があるはず。

 シースアクト様はすぅぅと息を吸うと、僕の頭の中で声高らかに叫んだ。

『あんの悪ガキどもは、昔、わしの大事なカスタードプディングを黙って食べたのじゃああ!』

 何か事情があるは……ず…………へっ?

『わしがどれだけ、楽しみにしてたと思ってるんじゃあ!!』

 …………は?

『だからのぉ、あやつらの恋路は邪魔してやるんじゃ! ふぉふぉふぉ』

 えっ? ぷでぃんぐ?
 うそ……でしょ…… 

「理由、それ……ですか?」
『そうじゃ』
「本当にそれですか……」
『そうじゃと言っとるじゃろ。お主もしつこいのぉ』
「……助けてもらった僕が言うのはなんですが、大人げないです……シースアクト様……」
『プディングに大人も子供も関係ないのじゃあ!』

 僕はあまりの展開に途方に暮れた。

 そんな僕が、唯一確実にわかったことは……


 食べ物の恨みは恐ろしい。
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