1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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誕生日パーティーで……

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 ザラは義姉さまの頭に目を止め、わずかに顔を歪ませた。

「クラリス、その髪飾りはどうしたんですか?」
「え? これですか? 今日、ミカエルから貰ったんです」

 義姉さまが嬉しそうに話すと、ザラは髪飾りを凝視し、しばらく黙考もっこうしていた。

 圧から解放され、やっと動けるようになった僕達。ホッとしたのも束の間、ザラの鋭い声が僕にむかって飛んでくる。

「どうしたんですか? これは」
「えっ……と……今日、町で買いました……」
「そう……町で、ね。これを売ってくれたのは?」
「……銀細工師で……飄々ひょうひょうとした風貌の……」

 なんか、まずかったかな……

 ザラの様子に不安が増し、おそるおそる質問を投げかけた。

「あの……それ危ない代物しろものですか? 例えば、盗品とか?」
「いえ、そんな事はないです。まぁ、危なくもないし、盗品でもないですけど…………ね」

 なに? なに? その最後の「ね」の言い方は! 気になるじゃん!!

「まぁ、ある意味、危ないっちゃ、危ないが……」

 辛辣しんらつな物言いのザラにしては、珍しく口の中でモゴモゴつぶやき、僕の事をチラッと見る。

 気になって仕方がない。もっと詳しく……と口を開けた時、背中からアルベルトの声が聞こえた。

「ザラ先生、エドワード先生、今宵はお忙しい中、クラリスの誕生日に来ていただき、ありがとうございます。婚約者の私からもお礼を申し上げます」

 外交向けの王子スマイルで話しかけているが、穏やかな口調の端々はしばしには敵意が見え隠れしている。

 2人はアルベルトに対し「なるほどなぁ」と不敵に笑った。

「王子にお礼を言われる筋合いはありませんよ」
ねぇ」

 ザラは無表情のまま、冷淡に答え、エドワードはニヤリと口を曲げ、含みのある言い方をする。

「婚約者を名乗れるのも、今のうちだけだしな」
「私は、今のうちで終わらせるつもりは、ありませんので」

 王子スマイルのまま、きっぱり言い、2人を見据えるアルベルト。

 エドワードはアルベルトの決意に満ちた目を見て、ククッと笑った。

「さすが王子様。しぶといというか……不屈の精神は褒めてやりますよ」

 えっ……と、なんか一発触発な空気なんだけど……いや、わかるよ。アルベルトがイラつくのもわかるよ。

 義姉さまの周りにこの2人がいるのは、僕だってイラつくし。

 でも……なんか、どうしたんだろう……さっきの宣戦布告といい、この2人に突っかかっていく感じといい……

 今日のアルベルトの様子、おかしくない?
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