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見送りに……

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 雲一つない晴れ渡る空が広がり、暑くも寒くもない気持ちのいい朝。

 外へ出た僕は、爽やかな空気の心地良さに思いっきり伸びをする。
「お待たせ!」と遅れてきた義姉さまと他愛もない話をしながら、門に向かうと、荷物を馬車に積み込んでいるファンレーがいた。

 ファンレーは僕達の姿に気がつき、嬉しそうに顔を綻ばせる。

「兄さま、お姉さま、いろいろありがとうございました」

 5日間ほどアルフォント家に滞在していたファンレーは、当主教育を快諾してくれたラウザー家へ、今日から行くことになった。

 この件に関しては、ファンレーの父親は納得してはいないものの、アルフォント家の口利きである以上、黙るしかなく、不承不承ふしょうぶしょう了承したそうだ。

「ファンレー……また、会いに来てね」

 義姉さまは寂しそうにファンレーの頭を撫でまくる。

 いや、義姉さま、すぐ会えると思うよ?
 いろいろ話し合う事もあるし、今後、アルフォント家の為に貿易業務も担ってもらうし。

「これね、ラウザー家でお腹が空いたら食べるのよ?」

 義姉さまは袋いっぱいに詰め込んだ手作りお菓子をファンレーの両手に持たせる。

 いや、義姉さま、仮にも伯爵家に行くんだから、食事くらい出るってば!
 そんなにいっぱいの手作りお菓子…………ズルイ……

「寂しくなったら、連絡するのよ?」

 涙ながらにファンレーに語りかける。

 …………だ、か、ら!
 ラウザー家のお屋敷は、すぐそこでしょ!!

 しかも、世話好きのラウザー伯爵の張り切り方が尋常じゃない。アルフォント家から直々の頼みであるからなおの事。
 寂しいどころか、準備万端でファンレーを今か今かと待ってるよ。

「いつまでも、ファンレーのお姉ちゃんだからね!」

 感極まってファンレーを抱きしめようとする義姉さまを見て、僕は慌てて間に入り、邪魔をする。

 ……もう! 本当に義姉さまはファンレーに甘いんだからっ!!
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