1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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交渉は……

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 バードは顔を上げ、目を見開き、僕を凝視した。
 明らかに興味を示した様子に、狙い通りの反応だと、僕の口角が自然と上がる。

 ワラント

 国王様お墨付きのあかし
 我が国でワラントとかんした商品は数えるほど。それほど希少で稀なもの。

 ワラント認定をもらうには、驚くほどの厳しい条件と審査があり、無理難題を突きつけられる。しかも、最終的に国王様が拒否したら、そこで終わり。

 ただ、認定されるのが難しいからこそ、その恩恵は絶大だ。

 ワラントを冠した商品は市場でも永久的に特別扱いされる。
 商品の全権利をもっている家門は優遇され、名誉と信頼は何十倍……いや、何百倍にも跳ね上がり、ワラント認定されている商品を1つでも扱っている家門は没落することはない。とまで言われている。

 貴族でも喉から手が出るほど欲しい証。
 それが、ワラント。

 僕はゆっくり紅茶を味わうと、戸惑いを見せているバードに説明を続けた。

「あの蜂蜜のクオリティーでしたら、ワラントを取るに値します。国王様から認定していただきますよ。その際にハミルトン家の名も出しましょう。ワラントを冠した蜂蜜を仕入れているハミルトン家。これ程の名誉はないと思いますが?」

 にっこり笑いかけ、バードの目を見る。

 僕の切札があまりにも衝撃的だったのか、先程まで僕と渡り合っていた自信はどこに?と思うほど、当惑し、目を泳がせるバード。

「……でも、ワラントなんて簡単にとれるもんじゃ……」
「ええ、簡単には取れません。しかし、アルフォント家の力を舐めないでいただきたい」

 僕はこっそりほくそ笑んだ。

 もう、根回しはできている。
 あとはワラントを条件にファンレーの件を引き受けてもらうだけ。
 
「……たしかにハミルトン家の名を出していただけるのはありがたいですが……アルフォント家の方が利益が大きい訳ですから、その事を条件に出されても……」

 ワラントは欲しい。が、この話が好条件すぎて、裏があるんじゃないかと、難癖をつけて探っている。
 ……ってところかな。

 アルフォント家はワラント認定商品をいくつも扱っている。まぁ、だから、ワラントを冠した商品が1つ増えても増えなくても、あまり影響はない……というのが、正直なところ。

 疑う気持ちもわかるけどさ。
 でも、本当に意地の悪い裏はないんだよなぁ。
 ただただ、僕はファンレーを立派に育ててもらいたいだけで。
 誰かさんに義姉さまの周りをうろつかれないよう、ファンレーに我が家の貿易を担ってもらう為にね。
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