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王宮で……
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しおりを挟む「おお、よく来たな。クローディス、ミカエル」
「この度は、お誘いいただきありがとうございます。国王様におかれましては……」
「よい、よい、堅苦しい挨拶は抜きで良い。座ってくれ。プライベートのお茶会じゃて」
「ありがとうございます……って、何用ですか? 国王様」
「たまにはよいではないか。昔馴染みに会いとうなっても」
「いつも会ってますでしょう。議会や式典や謁見の間で」
「公の場で会っても、つまらんではないか」
「なぁにが『つまらん』ですか……」
義父さまが呆れたように、はぁぁと大きく溜息をつくと、国王様は「相変わらず、冷たいのぉ」と笑う。
国王様と義父さまが幼馴染同士というのは、今の会話でよくわかったけれど、厳しい公爵の顔と穏やかな父親の顔しか知らない僕は、楽しげに国王様と話している姿を見て、ふふっと笑ってしまう。
義父さまにもこんな一面があったんだな。
やっぱり僕とアルベルトみたいだ。
「それはそうと宰相がクローディスに会いたがっておったぞ」
「ああ、そうですか。宰相にも挨拶にいかねば。先にそちらを済ませて来ましょう。ミカエル、国王様のお相手を」
義父さまは「ふむ……」と頷き、スッと立ち上がった。
2人のやり取りで全てを察した僕は義父さまを見上げる。
そういう事か。
今日のお茶会、国王様が密談したい相手は義父さまではなく、僕だ。
アルフォント公爵を差し置いて、国王様が僕だけを呼び出すのは、政治的にも体裁的にもよろしくない。いろいろ勘繰る奴はどこにでもいるから。
「わかりました」
国王様が僕と何を話したいか……わからな……いや、実はなんとなくわかっているけど、国王様と一対一で話せる機会なんて、そうそう訪れない。
願ったり叶ったり。この密談に僕はのる。
僕が全てを理解した事に国王様は「ほぅ」と感心したような声を漏らした。
「賢い子だ。アルフォント家も安泰じゃな」
「当たり前です。私の息子ですから」
義父さまは自慢げに言いながら、僕にウィンクして席を外した。
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