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仕事で……

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 バードが席を外した際に、僕と義姉さまは紅茶を淹れてもらい、ひと息ついた。

「……で、どういう話なの?」

 とりあえず、一番の疑問点。
 なんで、バードと義姉さまが話し合ってるの?

「うん、他国のね、良質な砂糖とカカオをアルフォント家に融通してもらう事になったわ」

 砂糖とカカオを融通?

 たしか、ハミルトン家は貿易を生業なりわいにしていたな……で? なんで、義姉さまが話をまとめてるの? 砂糖とカカオをどうするの?

「えっと……ごめん。最初から話してくれる?」
「あれ? ミカエルには話してなかったっけ? アルフォント家でお菓子事業に参入するの」

 ああ……それは、義父さまから新規事業の書類を見せてもらった事があったけど……えっ? あれ、義姉さまが関わってたの?

「様子見で、私が企画しててね。お菓子に必要な小麦とかはうちの領地内で賄えるんだけど、カカオと砂糖はね……どうしても、他国に頼らざるえなくて。で、バード様を紹介してもらって、取引内容を決めていたの」
「なる……ほど……」

 僕は腕を組み、紅茶を見つめ、思案する。

 義姉さまはお菓子作りが趣味だ。

 食べるのが好きだからか、数年前から自分でも作るようになってしまい、それが、美味しいんだ。いや、本当に。

 もちろん、僕は義姉さまの手作りだったら、何でも美味しいし、誰にもあげない。けど、そういう感情を抜きにしても、美味しいんだよなぁ……こういうのを好きこそものの上手なれっていうのかな。

 そもそも、ご令嬢がお菓子作りってどうよ? と思うところだけど、もう、それは義姉さまだからね……って事で僕は気にしない。
 不可解な事も「義姉さまだから」で片付けてしまう自分は少々感覚が麻痺してるんじゃないかと思うけど。

 まあ、お菓子作りは手作りが食べられる幸せもあるしね。うん。

「事情はわかったよ。後で、義父さまに言って、僕もその事業に携わることにする」
「えっ? 本当に?」

 嬉しそうに僕を見る義姉さまに微笑みを返し、これ以上、恋敵を増やすまいと改めて誓う。

「うん。だからね、バード様と話し合う時は、必ず、僕も同席するから。いい? 必ずだよ」

 僕は義姉さまの瞳を覗き見て、何度も何度も念を押す。
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