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別宅にて……

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 あれから、それぞれ思うところはあるものの誰も湖の件には触れず、時間がすぎていく。

 夜になり、義姉さまとご令嬢2人は眠そうな目をさすりながら、それぞれに用意された部屋に「おやすみなさい」と入っていった。

 ジェスターは、部屋で少し仕事をするからとメイドに紅茶を頼んでいて……仕事があるなら、無理してこなくて良かったのに。

 僕も部屋に戻り、ベッドに横になる。
 心身ともに疲れていて、眠りたいという思いはあるのに、寝返りを頻繁に打ってしまう。

 目をつむると昼間の光景が脳内で何度も再生され、抑えきれない怒りと憎しみが僕の心で渦を巻き、息をするのも苦しい。

 サイドテーブルに置いたあった水をクイッと一気に飲んだが、全然すっきりせず、眠れそうになかった。
 
 少し頭を冷やそう……

 僕はランプを片手にフラリと立ち上がり、屋敷を出た。


 初夏とはいえ、湖のそば。
 夜になると、少しヒンヤリとする。

 夜の静寂しじまに響くのは、僕がランプに火を灯す音だけで、微かに聞こえる炎の音と温かみのある色に僕の心は落ち着きを少しずつ取り戻す。

 見上げると、溢れんばかりの輝く星が目に映り、思いっきり息を吸った。

 夜空に浮かぶ星が湖面にも散らばり、星に包まれているような安心感に僕はふっと頬を緩ませる。

 ジェスターが義姉さまを抱きしめているのを目の当たりにして、落ち着いてなんていられない。
 けど、なにが1番許せないって、僕自身だ。


 本当は僕が守りたかった……


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