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お披露目パーティーで……

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 僕がアルフォント家にきて3年。

 僕はこの3年間、アルフォント家次期当主になる為、義姉さまに相応ふさわしくある為、努力を惜しまなかった。

 貴族社会でのルール、マナーはもちろんの事、アルフォント家の歴史、タンザ王国での立ち位置、アルフォント家の仕事、分家との関係……などなど、家門に関する事を覚えるのに忙しい日々を送りながらも、勉学、剣術なども身につける。

 そして、僕を次期当主とするお披露目パーティーが開催された。

 パーティーが始まり、義父さまが僕を皆の前で紹介する。

 招待されたのは、主にアルフォント家を本家とする分家の貴族と義父さまの仕事関係の国の重鎮達で、ざわざわしていた会場は静まり返り、その場にいる大人達の視線が僕に集中し、値踏みが始まった。

 この国、トップクラスの公爵家の次期当主なのだから、これくらいの視線は当たり前だ。

 自分に言い聞かせ、両手をグッと握ると、パーティー前、緊張していた僕に声をかけてくれた義姉さまの顔が脳裏をよぎる。

「ミカエル、大丈夫よ。何かあったら、私が守ってあげるから!」

 張った胸をトンと叩き「任せてね」と義姉さまは太陽のように明るく微笑んだ。

 この状況で、何から、どう守ってくれるつもりなのか、よくわからないけど、確実にその笑顔は、僕を落ち着かせてくれた。

 そう、僕は大丈夫。だって、義姉さまがいるのだから。

 会場内の招待客を見渡し、一礼する。

「ミカエル・アルフォントです。本日はパーティーに参加してくださり、ありがとうございます」

 目に力を込め、背筋を伸ばし、凛とした声を出す。そして、一瞬、間を置き、にっこり笑う。

 アルフォント家次期当主として、弱いところは見せる訳にいかない。だけど、笑顔で味方を作ることも大事。
 表情、話し方に緩急かんきゅうをつけ、この場の雰囲気を支配する。

 僕が笑顔を見せた途端、沈黙していた会場にわっという歓声と大きな拍手が沸き起こる。
 僕は笑顔を保ったまま、心底ホッとした。

 第一印象はクリアしたと思う。

 義父さまをチラッと見ると、満足そうに笑みを浮かべていた。
 僕の視線に気がつき、小さな声で「パーフェクトだ」と顔を寄せた義父さまに、僕もこそっと笑いかける。
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