グリム・リーパーは恋をする ～最初で最後の死神の恋～

再会 ―さいかい― side クラリス

5

　どれくらい泣いたのだろう……気がついた時には口の中がカラカラに乾いていた。泣きすぎたせいか喉も痛い。

「ほら、使え」

　涙が少し落ち着いてきたタイミングで天兄にハンカチを差し出され、涙を拭く。

「水分補給」

　雪兄がミルクティーを淹れてくれたらしい。

　白いティーカップを両手で受け取りながら、雪兄らしい物言いにクスリと笑ってしまった。

「おいし……」

　ああ、この味、この香り。

　ミルクティーの懐かしい甘さがじわじわと胸に広がり、お兄ちゃん達と再会した喜びを噛みしめる。

　私は子供の頃から、雪兄が淹れてくれたミルクティーが大好きだった。淹れたてのミルクティーとお菓子を並べ、兄妹3人でお喋りして……

「ミルクティーを淹れてやると美咲は泣き止む」
「菓子を出すと機嫌良く歌い出すしな。今泣いた烏からすがなんとやらだ」
「なっ！？」

　前世の思い出にしんみりと浸っていたのに、お兄ちゃん達の茶々ちゃちゃが私のセンチメンタルな気分を吹っ飛ばした。

「だって、雪兄の紅茶は美味しいし、天兄だって私の好きなお菓子ばかり出すからでしょ！」

　どうせ私は食いしん坊ですよーだ。

「嬉しいんだから、機嫌よく歌ったっていいじゃん…………んー、ねぇ、ちょっと気になったんだけど、あの歌を口ずさんだだけで、なんで私だって気がついたの？」

　歌と聞いて、ふと気になった疑問をお兄ちゃん達に投げかけてみる。

　あのオルゴールから流れてきた曲……たしかに美咲わたしはよく口ずさんでいた。けど…………日本人のほとんどが知っている童謡だし、美咲わたしの決め手としては少々弱い気がするのだけれど。

　まさか、一か八かで美咲わたしの名前を呼んだわけじゃないよね？