上 下
10 / 24

私、理解者ができちゃった!(2)

しおりを挟む
早速、草加部さんのお宅に伺った。

福祉施設から徒歩10分くらいのマンションに草加部さんは住んでいた。

「お邪魔します!」
靴を揃えて、室内に上がらせて貰った。

「そこに座ってね。今、コーヒーを入れるわ。砂糖とミルクは入れる?」と草加部さんが話しかけてくれた。

「はい、お願いします!」と私は答えた。

コーヒーは余り得意ではないのだけど、砂糖とミルクが入っていれば飲むことが出来た。

「早速だけど、さっきの話の続きをしましょう。」と草加部さんは話し始めた。

実は草加部さんは養子とのことだった。
お父さんとは血の繋がりはないらしい。

また、草加部さんは親友の娘さんだったそうだ。

草加部さんが生まれて間もなくご両親は事故で亡くなられたそうだ。

ご両親は駆け落ち同然で東京に出てきており、親族との繋がりは一切なくなっていたとのこと。

たまたま、事故現場に居合わせた育ての親となる第2のお父様が、草加部さんを引き取ってくれたそうだ。

(親友の娘さんだから、俺が育てる)
友情の証をずっと示してきたお父様。

その後、見合いも数回したそうだが、意味ありな娘がいる男性と結婚したいと思う女性はいなかったらしい。

(俺は一生1人でも、この子だけは幸せにしてみせる)

その気持ちだけで人生を送ってきたお父様とのことだった。

草加部さんはお父様と暮らしているうちにザワザワ影が見えるようになったそうだ。

ちょうど高校生くらいから...

(影が見え始めたのは私と同じくらいだ...)

私はそう思った。

やはり、影が見えた時、お父様に災いが起きたそうだ。

原付スクーターの転倒からの左手骨折。

街中を歩いていて、スズメバチに刺される。

など、様々なことがあったそうだ。

初めは、気のせいと思っていた草加部さんだったが、だんだんザワザワ影と災いが関係あるのでは?
と思うようになっていた。

ある時、お父様にザワザワ影の話をしたそうだ。

お父様は
「お前は何を言っているんだい?」と話を聞いて貰えなかったそうだ。

そこから、草加部さんはザワザワ影に関して誰にも言えず、悩みを抱えたまま日々を過ごしていた...。

そして、草加部さんは結婚し女の子を出産する。

草加部さんのご主人はお子さんが5歳の時に交通事故で亡くなられたそうだ。

お父様、草加部さん、娘さんの3人暮らしで現在に至る。

ただ、お父様は先日、先月高齢者施設に入所されているので、正しくは現在は娘さんとの2人暮らしとのことだ。

そして、草加部さんは気づいたらザワザワ影が見えなくなっていたそうだ。

(本当に悲しく、辛い人生を過ごしてきた草加部さん。それでも、いつも笑顔で周りの幸せを願っている方。本当に尊敬した)

私は素晴らしい人と知り合えた。

影の悩みも、この人なら理解、相談出来るかもしれない。

一通り話を終えた、草加部さんは
「さて、今日会ってほしい娘なんだけど...もう少しで帰ったて来ると思うから少し待ってて」と話を括った。

(どんな娘さん何だろう?)

私はとても楽しみになった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ヲタクな妻は語りたい!!

犬派のノラ猫
ライト文芸
これはヲタクな妻と夫が交わす 普通の日常の物語である!

アーコレードへようこそ

松穂
ライト文芸
洋食レストラン『アーコレード(Accolade)』慧徳学園前店のひよっこ店長、水奈瀬葵。  楽しいスタッフや温かいお客様に囲まれて毎日大忙し。  やっと軌道に乗り始めたこの時期、突然のマネージャー交代?  異名サイボーグの新任上司とは?  葵の抱える過去の傷とは?  変化する日常と動き出す人間模様。  二人の間にめでたく恋情は芽生えるのか?  どこか懐かしくて最高に美味しい洋食料理とご一緒に、一読いかがですか。  ※ 完結いたしました。ありがとうございました。

【本編完結】繚乱ロンド

由宇ノ木
ライト文芸
番外編更新日 12/25日 *『とわずがたり~思い出を辿れば~1 』 本編は完結。番外編を不定期で更新。 11/11,11/15,11/19 *『夫の疑問、妻の確信1~3』  10/12 *『いつもあなたの幸せを。』 9/14 *『伝統行事』 8/24 *『ひとりがたり~人生を振り返る~』 お盆期間限定番外編 8月11日~8月16日まで *『日常のひとこま』は公開終了しました。 7月31日   *『恋心』・・・本編の171、180、188話にチラッと出てきた京司朗の自室に礼夏が現れたときの話です。 6/18 *『ある時代の出来事』 6/8   *女の子は『かわいい』を見せびらかしたい。全1頁。 *光と影 全1頁。 -本編大まかなあらすじ- *青木みふゆは23歳。両親も妹も失ってしまったみふゆは一人暮らしで、花屋の堀内花壇の支店と本店に勤めている。花の仕事は好きで楽しいが、本店勤務時は事務を任されている二つ年上の林香苗に妬まれ嫌がらせを受けている。嫌がらせは徐々に増え、辟易しているみふゆは転職も思案中。 林香苗は堀内花壇社長の愛人でありながら、店のお得意様の、裏社会組織も持つといわれる惣領家の当主・惣領貴之がみふゆを気に入ってかわいがっているのを妬んでいるのだ。 そして、惣領貴之の懐刀とされる若頭・仙道京司朗も海外から帰国。みふゆが貴之に取り入ろうとしているのではないかと、京司朗から疑いをかけられる。 みふゆは自分の微妙な立場に悩みつつも、惣領貴之との親交を深め養女となるが、ある日予知をきっかけに高熱を出し年齢を退行させてゆくことになる。みふゆの心は子供に戻っていってしまう。 令和5年11/11更新内容(最終回) *199. (2) *200. ロンド~踊る命~ -17- (1)~(6) *エピローグ ロンド~廻る命~ 本編最終回です。200話の一部を199.(2)にしたため、199.(2)から最終話シリーズになりました。  ※この物語はフィクションです。実在する団体・企業・人物とはなんら関係ありません。架空の町が舞台です。 現在の関連作品 『邪眼の娘』更新 令和6年1/7 『月光に咲く花』(ショートショート) 以上2作品はみふゆの母親・水無瀬礼夏(青木礼夏)の物語。 『恋人はメリーさん』(主人公は京司朗の後輩・東雲結) 『繚乱ロンド』の元になった2作品 『花物語』に入っている『カサブランカ・ダディ(全五話)』『花冠はタンポポで(ショートショート)』

古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。 読んでくださりありがとうございました。 「古屋さんバイト辞めるって」  おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。  学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。  バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……  こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか? 表紙の画像はフリー素材サイトの https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

戦国陰陽師2 〜自称・安倍晴明の子孫は、ぶっちゃけ長生きするよりまず美味しいご飯が食べたいんですが〜

水城真以
ファンタジー
「神様って、割とひどい。」 第六天魔王・織田信長の専属陰陽師として仕えることになった明晴。毎日美味しいご飯を屋根の下で食べられることに幸せを感じていた明晴だったが、ある日信長から「蓮見家の一の姫のもとに行け」と出張命令が下る。 蓮見家の一の姫──初音の異母姉・菫姫が何者かに狙われていると知った明晴と初音は、紅葉とともに彼女の警護につくことに。 菫姫が狙われる理由は、どうやら菫姫の母・長瀬の方の実家にあるようで……。 はたして明晴は菫姫を守ることができるのか!?

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)

武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
 神楽坂高校の俺は、ある日学食に飯を食いに行こうとしたら、数学の堂本が一年の女子をいたぶっているところに出くわしてしまう。数学の堂本は俺にω(オメガ)ってあだ名を付けた意地悪教師だ。  ωってのは、俺の口が、いつもωみたいに口元が笑っているように見えるから付けたんだってさ。  いたぶられてる女子はΣ(シグマ)って堂本に呼ばれてる。顔つきっていうか、口元がΣみたいに不足そうに尖がってるかららしいが、ω同様、ひどい呼び方だ。  俺は、思わず堂本とΣの間に飛び込んでしまった。

処理中です...