上 下
5 / 93

5スキル『レベルアップスライム』召喚

しおりを挟む
魔王アルベルティーナの弟子になったものの、ティーナはこの周辺の地理と出現する魔物の情報を教えてくれただけで、何も教えてくれなかった。 

俺のジョブは放置プレイヤーだけど、放置されるの、俺なの? 

とは言うものの、俺は勇者エルヴィンと幼馴染のクリスへの復讐のため、強くなるため、ティーナの小屋の近くの草原に来ていた。 

魔物と戦って少しづつレベルアップする。継続は力なりだ。このダンジョンを単独で脱出できる頃には俺もかなり強くなっている筈だ。 

とは言え、俺が勝てる魔物は雑魚だけだ。幸いこのあたりはキラーラビットという初級冒険者でも勝てる魔物の棲み処だ。。 

「よし!! 早く強くなってエルヴィンやクリスを見返してやるぞぉ!!」 

俺は自分に言い聞かせるように声を上げるとキラーラビットを探すため、足を進めた。 

ちょっと歩くと、直に1匹のキラーラビットに接敵した。 

「よし! 楽勝だ!!」 

俺は後悔した。自分の発言を…… 

キラーラビットは攻撃力も防御力も弱い魔物だ。だが、俊敏で、倒すには骨が折れる。 

最初は魔王からもらった無銘の剣で倒すつもりだったが、剣が当たらない。 

そこで、スライムを召喚することにした。 

「スライム召喚!」  

4匹のスライムが召喚される。今の俺だとMPがキツイが、そうも言ってられない。 

「「「「きゅぴぃぃぃぃーーー」」」」 

4匹のスライムがキラーラビットの動きを牽制してくれた。 

「今だ!!」 

そして、隙を見せたところを剣で止めを刺した。 

キラーラビットを剣が貫くと、見た目は可愛いウサギのような体が消えていき、中から銅貨と小さな魔物の核が出現した。 

魔物を倒すと、お金や宝物、そして必ず魔物の核が手に入る。 

そして一番大事なのが、経験値。 

『経験値8が入りました。放置プレーヤーのレベルが7になりました。召喚魔スライムのレベルが4になりました』 

「はぁ?」 

今、スライムのレベルとか言わなかったか? 

普通、使い魔のレベルって上がらないと思うぞ。 

俺は疑心暗鬼で、次のキラーラビット2匹を倒した。 

『経験値16が入りました。 放置プレーヤーのレベルが11になりました。氷魔法レベル1のスキルが手に入りました。召喚魔スライムのレベルが8になりました』 

「う、嘘だろ?」   

スライムのレベルが上がるなんてチート聞いたことないぞ。 

スライムは弱い魔物だが、剣等の物理攻撃に強い性質を持っている。 

その柔い身体が剣をぷにっと通さないのだ。 

それに俊敏で攻撃力を身に付ければかなり強い魔物になる。 

だが、俺はもっと重大なことに気が付いた。 

キラーラビットの経験値は20だ。それをパーティメンバーで等分する。だが、止めを刺した者にはボーナスの2倍がもらえる。俺達の場合だと俺とスライム4匹で5人パーティ。止めを刺した俺は経験値8で、スライム達はそれぞれ4。 

そして、これは冒険者なら誰でも知っていることだが、ソロで討伐すると全ての経験値がボーナスで倍になる。つまり、キラーラビットの場合、ソロで倒すと経験値は一人40なる。 

一方、パーティで倒すと経験値はトータルで24しか入らない。 

「これ、スライムもソロで戦ってもらったほうがいいよね?」 

「「「「キュピーーーーン」」」」 

スライム達が反応する。 

「おっし、スライム達! キラーラビットを倒せぇ!」 

「「「「キュイーーーン!」」」」 

俺の命令にスライム達も嬉しそうな声を上げて、それぞれ四散してキラーラビットを探し求めた。 

「よし、キラーラビット見っけ!」 

俺がキラーラビットを見つけて倒そうとすると突然頭に天の声が聞こえた。 

『召喚魔スライム1号がキラーラビット1匹を倒しました。経験値40が入ります。放置プレーヤーのレベルが14になりました。スライムのレベルが14になりました。火魔法レベル1のスキルを習得しました』 

「えええええええ!?」 

俺は驚いた。なんとパーティを組んでいない筈の俺にも経験値が入った。それも満額。 

そうか、これが放置プレーヤーのスキルの力か? 

この日の成果を言うと、俺だけで15匹のキラーラビットを倒した。 

スライム達もだいたい15匹を倒した。計75匹。 

僅か1日で俺は経験値40x75匹=3000の経験値を得た。 

「すごい! このまま続ければアッと言う間にレベルの上限99になるんじゃないか?」 

大喜びをしていると、また頭の中に天の声が聞こえて来た。 

『召喚魔スライム4号がキラーラビット2匹を倒しました。経験値80が入ります。放置プレーヤーのレベルが30になりました。スライムのレベルが24になりました。土魔法レベル1のスキルを習得しました』 

「俺のスキル、ぶっ壊れなんだが?」   
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...