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2おっさん、ゲームの仕様がバグっていることに気が付く
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『ようこそ「おっさん」、新たな旅の始まりです。さあ、先ずはメニューから初心者限定SSR確定ガチャを引いてください』
「へ?」
俺がこれからどうしたものかと思案していた矢先に謎の女の子の声が聞こえる。
周りを見たが誰もいない路地裏だ。
それに、脳内に直接響いているとしか思えない感じがする。
『まずがメニュー画面のここでガチャを引いてください』
「こ、これはステータス画面?」
俺の目の前にはステータス画面が表示されていた。
16歳の成人式の時の固有スキル鑑定の儀の時に魔道具を使ってみる事しかできないやつだ。
「......なんかちょっと違うような」
このステータスには泥棒や殺人などをすると、履歴が残る。
俺は盗賊なので、盗難やらなんだら、身に覚えがない罪を問われて、しばしばチェックされるので、意外と見慣れている。
だが、ステータス画面に【メニュー】なんて項目あったか?
『さあ、この点滅しているところがガチャです』
言われるがままに……何故か自然と手を空に差し出して操作する。
すると画面に複雑な紋様の球体が周り、光り輝くと、10個のカードのようなものが出た。
そのうち一つは虹色に輝いていた。
『いい装備が手に入りましたね。早速セットしましょう』
10個のカードが裏返ると、武器や防具、魔物か魔獣のような物の絵になっていた。
虹色のカードは魔獣だが……そこにはカーバンクルと書かれていた。
「召喚獣!!」
言われるがままに召喚獣のカーバンクルを、何故か見慣れたような気がする画面にセットする。
なんか、氷属性30%アップとか記述があった。
『では、戦闘をしてみましょう。最初は試練のダンジョンで腕試ししましょう』
「え? いや、試練のダンジョンって、中級ダンジョン! 盗賊の俺一人じゃ無理!」
俺の叫びも虚しく、勝手に体が歩き出してしまう……試練のダンジョンに向かって。
勝手に体が動く恐怖に怯えるが、あっさりとダンジョンに入り、さっきのガチャで手に入れた氷剣というSR武器を勝手に装備させられて戦う。
どうもガチャの武器や魔獣はアイテムボックスに収納されるらしい。
「はあ、はあ。勝手にダンジョンアタックさせるなら、戦闘も勝手にやってくれよ」
体を勝手に動かして、ダンジョンに挑ませたくせに、戦闘自体は自分で体を動かさなければならなかった。
「……り、理不尽だ」
だが、本来俺が勝てる筈がないヘルハウンド相手に楽勝だ。
どうやら氷剣が予想以上に火系の魔物に効くらしい。
『戦いにも慣れたと思うので、ラスボス行ってみましょう』
「ちょ、ちょっと待てぇえ!」
いや、試練のダンジョンのラスボスって、火竜だぞ! 勝てるかぁ!
『では、専用エレベーターにご案内♡』
「ご案内するなぁ!」
だが、やっぱり勝手に体が動いて、ダンジョンの1階層の奥の部屋の壁を押すと、壁が動いて、謎の箱が現れた。
『出ると直ぐにラスボスの部屋の前です。わからないことがあったら、メニューからWikiで調べるかChatで皆さんの意見を参考にしてください。では、良い冒険者生活を』
謎の箱の中に入ると落ちていくような感覚がして、【チンッ】という音が聞こえると、そこはラスボス、つまり火竜のいる部屋の目の前だった。
重そうな扉にはおどろおどろしい紋様が入っていた。
「これ、無理ゲー!」
思わず出た言葉に自分でも違和感を覚えるが、慌てて考える。
試練のダンジョンの最下層から1階層へ戻る?
Noだ。俺の力じゃ、とても戻れない。
試練のダンジョンのラスボスに挑み、ラスボスを倒すと現れるという帰還の魔法陣から帰る。
Noだ。多少氷属性の高い剣を持っていても、火竜になんて勝てる訳がねえ。
俺は慌ててさっきの謎の声が言っていたことを思い出した。
WikiかChat。
俺はメニュー画面を開くとChatを読んだ。
――――――――――――――――――――
■Chat(24件)
[KIRA]
は? なにこのゲーム? チュートリアルのボス強すぎwww
てか、どう考えても頭おかしいだろ、この運営ww
[める]
頭悪すぎww
カーバンクル召喚して、奥の安全地帯に入れば、ハメ殺しよ。
ちゃんとゲームwiki読めよ!
[KIRA]
は?wwなに偉そうに言ってんの?www
てか、初心者のためにあえて言ってんだよww
必死にマウント取るとか、こいつニートだなwwwwww
[める]
必死すぎて草ww
煽り耐性無さすぎww
[こう]
勝負ついてんのにww
[ノルン]
顔真っ赤にして怒ってそうw
[KIRA]
はああ~マジ付き合ってらんねぇ
こっちはお前らニートと違って暇じゃなぇ
仕事あるからかまってらんねぇww
てか、これ以上喧嘩売るなら晒すぞ、ゴラァ!?
[ダイ]
今、夜中の10時だぞ。
[執行人マクバーン]
ニートいじめるのやめなよ。
――――――――――――――――――――
「……………………」
俺はしばらく、ぽかんと口を開けていた。
「なんて低レベルの争いなんだ?」
そして、慌ててwikiを読んで火竜の弱点を把握した。
水属性のカーバンクルに滅法弱い
部屋の奥の安全地帯に入り込めば、奥に氷のクリスタルがあって、近づくと火竜はダメージを受けて、自滅する。
俺は迷わず重い扉を開けた。
「へ?」
俺がこれからどうしたものかと思案していた矢先に謎の女の子の声が聞こえる。
周りを見たが誰もいない路地裏だ。
それに、脳内に直接響いているとしか思えない感じがする。
『まずがメニュー画面のここでガチャを引いてください』
「こ、これはステータス画面?」
俺の目の前にはステータス画面が表示されていた。
16歳の成人式の時の固有スキル鑑定の儀の時に魔道具を使ってみる事しかできないやつだ。
「......なんかちょっと違うような」
このステータスには泥棒や殺人などをすると、履歴が残る。
俺は盗賊なので、盗難やらなんだら、身に覚えがない罪を問われて、しばしばチェックされるので、意外と見慣れている。
だが、ステータス画面に【メニュー】なんて項目あったか?
『さあ、この点滅しているところがガチャです』
言われるがままに……何故か自然と手を空に差し出して操作する。
すると画面に複雑な紋様の球体が周り、光り輝くと、10個のカードのようなものが出た。
そのうち一つは虹色に輝いていた。
『いい装備が手に入りましたね。早速セットしましょう』
10個のカードが裏返ると、武器や防具、魔物か魔獣のような物の絵になっていた。
虹色のカードは魔獣だが……そこにはカーバンクルと書かれていた。
「召喚獣!!」
言われるがままに召喚獣のカーバンクルを、何故か見慣れたような気がする画面にセットする。
なんか、氷属性30%アップとか記述があった。
『では、戦闘をしてみましょう。最初は試練のダンジョンで腕試ししましょう』
「え? いや、試練のダンジョンって、中級ダンジョン! 盗賊の俺一人じゃ無理!」
俺の叫びも虚しく、勝手に体が歩き出してしまう……試練のダンジョンに向かって。
勝手に体が動く恐怖に怯えるが、あっさりとダンジョンに入り、さっきのガチャで手に入れた氷剣というSR武器を勝手に装備させられて戦う。
どうもガチャの武器や魔獣はアイテムボックスに収納されるらしい。
「はあ、はあ。勝手にダンジョンアタックさせるなら、戦闘も勝手にやってくれよ」
体を勝手に動かして、ダンジョンに挑ませたくせに、戦闘自体は自分で体を動かさなければならなかった。
「……り、理不尽だ」
だが、本来俺が勝てる筈がないヘルハウンド相手に楽勝だ。
どうやら氷剣が予想以上に火系の魔物に効くらしい。
『戦いにも慣れたと思うので、ラスボス行ってみましょう』
「ちょ、ちょっと待てぇえ!」
いや、試練のダンジョンのラスボスって、火竜だぞ! 勝てるかぁ!
『では、専用エレベーターにご案内♡』
「ご案内するなぁ!」
だが、やっぱり勝手に体が動いて、ダンジョンの1階層の奥の部屋の壁を押すと、壁が動いて、謎の箱が現れた。
『出ると直ぐにラスボスの部屋の前です。わからないことがあったら、メニューからWikiで調べるかChatで皆さんの意見を参考にしてください。では、良い冒険者生活を』
謎の箱の中に入ると落ちていくような感覚がして、【チンッ】という音が聞こえると、そこはラスボス、つまり火竜のいる部屋の目の前だった。
重そうな扉にはおどろおどろしい紋様が入っていた。
「これ、無理ゲー!」
思わず出た言葉に自分でも違和感を覚えるが、慌てて考える。
試練のダンジョンの最下層から1階層へ戻る?
Noだ。俺の力じゃ、とても戻れない。
試練のダンジョンのラスボスに挑み、ラスボスを倒すと現れるという帰還の魔法陣から帰る。
Noだ。多少氷属性の高い剣を持っていても、火竜になんて勝てる訳がねえ。
俺は慌ててさっきの謎の声が言っていたことを思い出した。
WikiかChat。
俺はメニュー画面を開くとChatを読んだ。
――――――――――――――――――――
■Chat(24件)
[KIRA]
は? なにこのゲーム? チュートリアルのボス強すぎwww
てか、どう考えても頭おかしいだろ、この運営ww
[める]
頭悪すぎww
カーバンクル召喚して、奥の安全地帯に入れば、ハメ殺しよ。
ちゃんとゲームwiki読めよ!
[KIRA]
は?wwなに偉そうに言ってんの?www
てか、初心者のためにあえて言ってんだよww
必死にマウント取るとか、こいつニートだなwwwwww
[める]
必死すぎて草ww
煽り耐性無さすぎww
[こう]
勝負ついてんのにww
[ノルン]
顔真っ赤にして怒ってそうw
[KIRA]
はああ~マジ付き合ってらんねぇ
こっちはお前らニートと違って暇じゃなぇ
仕事あるからかまってらんねぇww
てか、これ以上喧嘩売るなら晒すぞ、ゴラァ!?
[ダイ]
今、夜中の10時だぞ。
[執行人マクバーン]
ニートいじめるのやめなよ。
――――――――――――――――――――
「……………………」
俺はしばらく、ぽかんと口を開けていた。
「なんて低レベルの争いなんだ?」
そして、慌ててwikiを読んで火竜の弱点を把握した。
水属性のカーバンクルに滅法弱い
部屋の奥の安全地帯に入り込めば、奥に氷のクリスタルがあって、近づくと火竜はダメージを受けて、自滅する。
俺は迷わず重い扉を開けた。
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