俺のタマゴ

オレノタマゴ

茅菜が、このごく普通の山に茅乃さんがいるかも知れないと言った。
それはどういう意味だろう？

茅菜の言葉を待っていると



茅菜「見たの」

改「え、なにを？」

茅菜「茅乃が、この山にいる夢」

改「ゆ…夢？」



おい、夢って…
いやいや、何言ってるんだって正直、思った。

そんなんで茅乃さんが、この山にいるって言ってんのかって。



茅菜「今、馬鹿にしたでしょ」

改「！」

茅菜「すぐ顔に出るんだから。」



そ、そうなのか。
いや、そうかもしれないな。
世楽にも、そんなような事、言われたっけ。



改「ごめん。どんな夢？」

茅菜「普通の夢じゃなかったから気になって…
茅乃が狭い場所に閉じ込められていて、ここにいるよって言うの。その後、必ずこの山の映像が見えて」

改「必ず？」

茅菜「そう。もう、一週間も同じ夢を見るから気になって」



一週間も？これなら確かに、変な夢っつうか、気になるっつうか。
どうしてもっと早く言ってくれなかったんだろう？

それとも何か…



茅菜「怖くて…」

改「？」

茅菜「本当は、もっと早く言おうと思ってた。でも、いざ茅乃に会えるかもしれないって思ったら怖くなったの」

改「どうして、怖いの？」

茅菜「私の代わりに消えた茅乃は、もしかしたら恨んでるかもって思ったら怖くなって」

改「いや、でもこの前、茅菜を庇って消えたって言ったよな。恨むくらいなら身代わりになんてならないだろ？」

茅菜「確かに、そうなんだけど…」



曇った顔で話す茅菜。
単純な俺には、わからないくらい
もっと沢山、悩んでるんだろうな。

前、茅乃さんを助けたいって言ってたな。
それでいいのかとか、本当に助けられるのかとか
助けたら、この先どうなるのかとか、そんな感じか？

ん？
まてよ。助けるって何だ？
助けるって、何から？

助けるって事は、何者かに捕まってるって
事になるよな。

それって…



改「アース？」

茅菜「え？」

改「あ、いや。今のは…」



この前、茅菜と新が教室で話してたやつだ。
ちょっと聞こえたんだよな。
色んな事、ありすぎて忘れてたけど、確かにあの時、アースって言ってたよな。



改「この前、茅菜が新と話してただろ。
ちょっと聞こえて…」



茅菜は、ビックリしたような表情をして
少しフリーズした後、口を開いた。



茅菜「アースはね。産みの親なの。タマゴの」

改「！」



タマゴのって…
俺が今、試験を受けてるたたかってる
新しんの事なのか？

俺のタマゴの事…なのか？