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第6章まさかそれ食べるんですか?!
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「何かよう、ネット小説みてえに異世界に来ちまって、帰れなくなったりすんのか?俺達」
「冒険の旅の始まりーとかー?」
「旅とかってだりぃぞ」
「まさかー?大丈夫よー」
「まあな、あそこが我々の世界に続く見えない扉のような物だとはわかっている。帰れるさ」
「とにかく小虎ちゃんを獣人族の長老の所へ連れて行きましょう」
《村が燃えている》
村の人達は無事なんだろうか?
人…じゃないのかな?
獣人族の…人達。
「エルフの村って遠いのか?」
「近いよ。ひとっ走りで行ける」
「待て待て、それはお前達の感覚だろう?僕らは人間だ。獣人族のようにはいかんよ」
「はあ、有る有る。田舎で道聞いたら「すぐ近くだよ」とか言われて、中々着かねえの。超だりぃ」
「山を越えたら魚人族の住む湖が有って、その向こうの森の奥にエルフの村が有るんだ」
「そりゃひとっ走りじゃ無理だわー」
「俺一人なら…」
「ダメよ。危ないから一緒に行きましょう」
「そうだよ。魔族が居るかも知れないし、僕達も一緒に行くよ小虎君」
あれ…?
小虎君が手を繋いで来た。
《そーっと小虎の顔を見る大河。照れてそっぽを向く小虎》
可愛い手だな。
肉球が何とも言えなく可愛い。
「くすぐったいよ」
「アハハ、ごめんごめん」
《大河は小虎の頭をくしゃくしゃと撫でる》
「もう、耳に触らないでよ」
「可愛いくてこねくり回したくなるわね、ウフフ」
「うん。猫にいつもやってた」
尻尾も触りたいけど嫌がるだろうな。
【山道】
「うわっ、何だ?何か出て来やがった!」
「何なのだ?この化け物は?」
「イヤミのお兄ちゃん、これはモンスターだよ」
「そんな事はわかっている。そして小虎。僕はイヤミでは無く井山だ」
「てか、モンスターって普通に出て来たりすんのかよ?」
「異世界だし、有り得るわねー」
「うん、普通に居るよ、どこでも」
「どうしましょう?」
「「どうしましょう?」って、ったあくう、優里香先生は呑気だなあ。戦うに決まってんだろ」
「お喋りはそのぐらいにしておけ。サッと片付けて山を下りるぞ」
「はあ、だりぃ」
「痛てっ!先制仕掛けて来やがった」
「翔もたもたするな!行くぞ!」
「イヤミに言われなくたってやってやらあ!こいつめ、食ってやる」
「ハハハ、翔なら本当に食べそうだね」
《4人はカプセルから装備を取り出して構える》
「気をつけて」
「大丈夫だよ。先生達の事、必ず守るからね」
「(もう、大河君たら。そうじゃなくて、貴方達の事を心配してるのに)」
「こっちの世界のモンスターの方が我々の世界の魔族より強い気がするが」
「魔族にも色々居るからー。まだ大したの出て来てないもんねー」
「クソ!俺を本気にさせんじゃねえー!」
あ、翔の大刀が輝いてる。
司の時と同じ銀色の光だ。
「うぉー!薙ぎ払いーーー!」
《翔は大刀でモンスターをまとめて薙ぎ払った》
「へへ、やったぜ、スキル覚えたぞ!」
「だりぃからとっとと片付けんぞ」
「おう、絶てー食ってやっかんな」
翔も司も範囲攻撃のスキルが使えるから、複数のモンスターでもわりと簡単に片付いた。
「さあ、飯だ飯」
「ごめんなさい、食べ物は持って来なかったわ」
「だから、こいつを焼いて食えば良いじゃん」
《と、言いながらモンスターの肉を捌く翔》
「ほうほう、食えそうだな」
「司までそんな事を言うか?暗くならんうちに山を下りなければ危険だ」
「んだよ、イヤミ。腹が減っては戦は出来ぬって言うだろ?」
「まあさー、ちょっとぐらい良いじゃん。サッと食べて行けばさ。この肉意外と美味しそうだよー」
「沙羅先生はモンスターの肉を食べる気ですか?」
「イヤミだって腹減ってんだろ?」
「すぐ焼けるわよ~」
「は…優里香先生も呑気に料理など…」
「連君、何でそんなに急ぐの?」
「暗くなると危険が増すからだ」
「怖いんでしょー?暗いの怖いなんてお子ちゃまねー」
「ち、違う。断じて違うからな。こ、怖くなんかないぞ」
何か…「ち、違う」とか「こ、怖くなんかないぞ」って…
怖いんじゃないの?
「こっちのは私が料理するわー」
「ひえー沙羅ちゃんが料理?!大丈夫か?」
「沙羅先生の料理って…食えんのかよ?」
「こういうのは、豪快に焼いた方が美味しいのよー」
「まっ、食えれば何でも良いけどよ」
そんな事言ってる間に何だか良い匂いがして来たぞ。
「はーい、出来たわよー」
「ただ焼いただけじゃん」
「あら、翔。食べたくないのー?」
「食うよ。食うって。こういうもんはただ焼いただけが旨いんだよなぁハハハ(まあ食ってりゃそのうち優里香先生の料理が出来んだろ)」
「イヤミはー?食べないのー?」
何だか連君は辺りを気にしてるみたいだ。
「はい、イヤミのお兄ちゃん。美味しいよ」
「僕にくれるのかの?」
「うん。食べなよ」
「しかし、モンスターの肉だろ?遠慮しておく」
「井山君。せっかく小虎ちゃんが勧めてくれてるのに」
「優里香先生まで…良く食べられるな」
「ガタガタ言ってねえで食ってみろって」
《連は恐る恐る小虎からモンスターの肉を貰い口に運ぶ》
「うん?これは!」
「な、何よ?アタシの料理が不味いってー?」
「これは料理とは言わんが…意外といけるな。うん、中々の美味」
「もっと普通に「旨い」って言えねえのか?」
「素直じゃないわねー」
モンスターの肉は意外と美味しかったね。
皆んななんだかんだ言って沢山食べた。
ちょっと動きたくない感じだけど、連君が急かすんだよな。
「もう良いだろう?そろそろ出発するぞ。真っ暗にならないうちに少しでも進んでおかなくては」
って感じで、連君が仕切る仕切る。
「イヤミー。そんなに急かさないでよー」
「そうよ、井山君。食べたばかりなんだから、少し休ませて」
《その時ガサガサっと音がする》
「うゎーーっ!」
「何だよ、イヤミ?!でっかい声出すなよ」
「震えてるぞ」
「怖いんだー。良し良し、アタシが良い子良い子してあげるからー」
「こ、怖くなんかないぞ、暗くたって」
「暗いのが怖いんだー。大丈夫よー。良し良し」
沙羅先生が子供にするみたいに連君に良い子良い子してる。
少し落ち着いたみたいだ。
暗いのが怖いんだね。
でも、あの連君が、暗いのが怖いなんて意外だな。
「小さい頃、怖い思いをした事が有って、それ以来夜道はダメなのだ」
そう言えば連君て、夜に一人で出かける事無いよね。
「そうかそうかー。街中ならともかく、ここは山ん中だもんねー。ちょっと怖いかも?でも、皆んな一緒だから大丈夫よー」
お腹一杯で動けない感じだし、僕達はここで少し休む事にした。
「すっかり暗くなっちゃったわね」
「こんな所で野宿はごめんだ。先を急ぐぞ。な、何ですかその顔は?こ、怖いからではないぞ。あれは幼い頃の話で…」
《少し微笑んで井山を見る沙羅先生》
「もう少し行くと山小屋が有るよ」
「こら、小虎。そういう事は早く言え」
「イヤミの兄ちゃん。山小屋なら怖くないよ。行こう」
「イヤミではなく井山だ。そ、それに、怖いわけではない」
「はいはい、強がるところが可愛いわねー。さ、行こー」
「な、何が可愛いだ」
とにかく小虎君のナビで山小屋まで行く事になった。
【山道】
「近いんだろうな?」
「もう少し先だよ」
「だからよう、俺達の感覚の近いとは違うって言っただろ」
「もたもたするな、急ぐぞ」
「もう、イヤミー」
「な、何を…」
「怖いならこうしてなさいよー」
《井山の手を引く沙羅先生。赤くなる井山》
連君照れてるけど、それでも沙羅先生の手を放さない。
保育士さんと園児みたいだけど、ああやってると安心するみたいだね。
「建物が見えて来たよ。あれなの?小虎君」
「うん、そうだよ」
「だりぃ、早く寝たいぞ」
【山小屋】
「何も無いのね」
まあ、寒い季節じゃないし、夜が明けるまでここで休むぐらいならね。
「どうやって寝るの?」
「どうやってって?」
「お部屋が一つだけで…」
そうか、先生達は女性だった。
「んなもん、そこら辺で適当に寝りゃ良いじゃん」
「スースゥー…」
「って、司のヤツもう寝てやがるし」
「まあさ、山だから夜中は冷えるかもしんないしー、皆んなでくっついて寝よっ」
優里香先生はまだ不安そうだけど、まあ、沙羅先生も居るから大丈夫だね。
不安て、何がそんなに不安なのかな?
モンスターとかが現れたら僕達が居るから大丈夫だし。
「イヤミー。怖いなら抱っこして寝るー?」
「じょ、冗談ではない。子供じゃあるまいし」
「あら、ここまで来る時は手を繋いで来たじゃなーい。保育士してた時の事思い出しちゃったわよー」
へー、沙羅先生って、やっぱり保育士さんだったんだ。
「さあ、いらっしゃーい。良い子良い子してあげますからねー」
沙羅先生、まだ連君をからかってる。
あれ?
連君が素直に沙羅先生の所へ行ったぞ。
「怖いから来たのでは無いですからね。何か有ったら守る為です」
「そうかそうかー。頼りにしてるよーイヤミ、じゃなかった。連ちゃん」
《沙羅先生がそう言うと井山はちょっと不思議そうに沙羅先生の顔を見ていたが、やがていつもの得意げな顔になるのであった。そして…》
少し眠れたかな?
まだ外は暗いみたいだ。
あれ?
先生も起きてる。
「どうしたの?」
「眠れなくて。貴方は?」
「僕は少し寝たけど、目が覚めちゃった」
「男の子達はどこでも眠れるのね。逞しいわ」
「沙羅先生もだけど」
《井山を庇うように手をかけて寝ている沙羅を見て「クスッ」と笑う2人》
「(本当は大河君の寝顔を見ていたの)」
「先生も少し寝た方が良いよ。安心して。モンスターが来たりしたら翔達叩き起すから」
「眠れるかしら?」
「心配ならこうして居れば良い」
「あ…」
《大河は優里香先生のそばに行き優しく手を繋ぐ》
「ほら、あっちも」
《ニコニコして沙羅先生と井山を見る大河。大河に手を繋がれ少し驚いた顔の優里香先生も2人を見て顔をほころばせる。そして…》
う、う~ん。
《大河が目を覚まして皆んなを見回す》
もう朝なの?
窓から明るい陽が射してる。
なんだかんだ言ってるうちに、皆んな寝ちゃったんだね。
《ふと横を見る大河。優里香先生は大河に寄りかかって眠っている。2人は手を繋いだまま》
やっと眠れたみたいだし、もう少しこのまま居よう。
あれ?小虎君は?
小虎君が居ない。
まさか?!
《その時ドアが開き小虎が入って来る。そしてシャツに集めて持って来た木の実を床に置く》
木の実を取って来てくれたんだね。
でも…
「小虎君、一人で外に行ったら危ないよ」
「大丈夫だよ。この辺りは俺のテリトリーだもん」
「そうか。でも今は魔族が居るから一緒に行動しようね」
「うん、わかった」
「おっ、美味そうな木の実だな」
《翔が木の実に手を伸ばす》
「食って良いのか?」
「うん、良いよ。翔兄ちゃんすぐ「腹減った」って言うから取って来たんだ」
皆んな起きて来て木の実を食べた。
「それを食べ終わったら山を下りるぞ」
「わあってるよ、イヤミ」
「井山だ」
【山道】
「やっと下りになった感じー?」
「あっち見て。湖が見えるでしょう?」
「あら、本当ね」
「あそこに魚人族が住んでるんだよ」
「魚人族って、良い奴らか?」
「うん。見た目怖いオジサンも居るけど、皆んな良い人達だよ」
「人魚?綺麗な女性も居るんだろうね、きっと」
「居る居る」
「楽しみだね、魚人族の人達と会うの」
「あら、大河君。何が楽しみなの?」
あれ?優里香先生ちょっと気に入らない感じ?
「焼きもちですか?」
《ニコニコしながら少しからかうように言う大河》
「だ、誰が焼きもちなんか…」
「なんだ、つまんないの。妬いてくれたのかと思ったのに」
「(本当は少し嫌な気持ちになったの…どうしてかしら?)」
「もう少しだよ、もう少しで湖だからね」
「良し、急ぐぞ、皆んな」
「連ちゃーん。そんなに急がなくたって、まだ明るいわよー」
「冒険の旅の始まりーとかー?」
「旅とかってだりぃぞ」
「まさかー?大丈夫よー」
「まあな、あそこが我々の世界に続く見えない扉のような物だとはわかっている。帰れるさ」
「とにかく小虎ちゃんを獣人族の長老の所へ連れて行きましょう」
《村が燃えている》
村の人達は無事なんだろうか?
人…じゃないのかな?
獣人族の…人達。
「エルフの村って遠いのか?」
「近いよ。ひとっ走りで行ける」
「待て待て、それはお前達の感覚だろう?僕らは人間だ。獣人族のようにはいかんよ」
「はあ、有る有る。田舎で道聞いたら「すぐ近くだよ」とか言われて、中々着かねえの。超だりぃ」
「山を越えたら魚人族の住む湖が有って、その向こうの森の奥にエルフの村が有るんだ」
「そりゃひとっ走りじゃ無理だわー」
「俺一人なら…」
「ダメよ。危ないから一緒に行きましょう」
「そうだよ。魔族が居るかも知れないし、僕達も一緒に行くよ小虎君」
あれ…?
小虎君が手を繋いで来た。
《そーっと小虎の顔を見る大河。照れてそっぽを向く小虎》
可愛い手だな。
肉球が何とも言えなく可愛い。
「くすぐったいよ」
「アハハ、ごめんごめん」
《大河は小虎の頭をくしゃくしゃと撫でる》
「もう、耳に触らないでよ」
「可愛いくてこねくり回したくなるわね、ウフフ」
「うん。猫にいつもやってた」
尻尾も触りたいけど嫌がるだろうな。
【山道】
「うわっ、何だ?何か出て来やがった!」
「何なのだ?この化け物は?」
「イヤミのお兄ちゃん、これはモンスターだよ」
「そんな事はわかっている。そして小虎。僕はイヤミでは無く井山だ」
「てか、モンスターって普通に出て来たりすんのかよ?」
「異世界だし、有り得るわねー」
「うん、普通に居るよ、どこでも」
「どうしましょう?」
「「どうしましょう?」って、ったあくう、優里香先生は呑気だなあ。戦うに決まってんだろ」
「お喋りはそのぐらいにしておけ。サッと片付けて山を下りるぞ」
「はあ、だりぃ」
「痛てっ!先制仕掛けて来やがった」
「翔もたもたするな!行くぞ!」
「イヤミに言われなくたってやってやらあ!こいつめ、食ってやる」
「ハハハ、翔なら本当に食べそうだね」
《4人はカプセルから装備を取り出して構える》
「気をつけて」
「大丈夫だよ。先生達の事、必ず守るからね」
「(もう、大河君たら。そうじゃなくて、貴方達の事を心配してるのに)」
「こっちの世界のモンスターの方が我々の世界の魔族より強い気がするが」
「魔族にも色々居るからー。まだ大したの出て来てないもんねー」
「クソ!俺を本気にさせんじゃねえー!」
あ、翔の大刀が輝いてる。
司の時と同じ銀色の光だ。
「うぉー!薙ぎ払いーーー!」
《翔は大刀でモンスターをまとめて薙ぎ払った》
「へへ、やったぜ、スキル覚えたぞ!」
「だりぃからとっとと片付けんぞ」
「おう、絶てー食ってやっかんな」
翔も司も範囲攻撃のスキルが使えるから、複数のモンスターでもわりと簡単に片付いた。
「さあ、飯だ飯」
「ごめんなさい、食べ物は持って来なかったわ」
「だから、こいつを焼いて食えば良いじゃん」
《と、言いながらモンスターの肉を捌く翔》
「ほうほう、食えそうだな」
「司までそんな事を言うか?暗くならんうちに山を下りなければ危険だ」
「んだよ、イヤミ。腹が減っては戦は出来ぬって言うだろ?」
「まあさー、ちょっとぐらい良いじゃん。サッと食べて行けばさ。この肉意外と美味しそうだよー」
「沙羅先生はモンスターの肉を食べる気ですか?」
「イヤミだって腹減ってんだろ?」
「すぐ焼けるわよ~」
「は…優里香先生も呑気に料理など…」
「連君、何でそんなに急ぐの?」
「暗くなると危険が増すからだ」
「怖いんでしょー?暗いの怖いなんてお子ちゃまねー」
「ち、違う。断じて違うからな。こ、怖くなんかないぞ」
何か…「ち、違う」とか「こ、怖くなんかないぞ」って…
怖いんじゃないの?
「こっちのは私が料理するわー」
「ひえー沙羅ちゃんが料理?!大丈夫か?」
「沙羅先生の料理って…食えんのかよ?」
「こういうのは、豪快に焼いた方が美味しいのよー」
「まっ、食えれば何でも良いけどよ」
そんな事言ってる間に何だか良い匂いがして来たぞ。
「はーい、出来たわよー」
「ただ焼いただけじゃん」
「あら、翔。食べたくないのー?」
「食うよ。食うって。こういうもんはただ焼いただけが旨いんだよなぁハハハ(まあ食ってりゃそのうち優里香先生の料理が出来んだろ)」
「イヤミはー?食べないのー?」
何だか連君は辺りを気にしてるみたいだ。
「はい、イヤミのお兄ちゃん。美味しいよ」
「僕にくれるのかの?」
「うん。食べなよ」
「しかし、モンスターの肉だろ?遠慮しておく」
「井山君。せっかく小虎ちゃんが勧めてくれてるのに」
「優里香先生まで…良く食べられるな」
「ガタガタ言ってねえで食ってみろって」
《連は恐る恐る小虎からモンスターの肉を貰い口に運ぶ》
「うん?これは!」
「な、何よ?アタシの料理が不味いってー?」
「これは料理とは言わんが…意外といけるな。うん、中々の美味」
「もっと普通に「旨い」って言えねえのか?」
「素直じゃないわねー」
モンスターの肉は意外と美味しかったね。
皆んななんだかんだ言って沢山食べた。
ちょっと動きたくない感じだけど、連君が急かすんだよな。
「もう良いだろう?そろそろ出発するぞ。真っ暗にならないうちに少しでも進んでおかなくては」
って感じで、連君が仕切る仕切る。
「イヤミー。そんなに急かさないでよー」
「そうよ、井山君。食べたばかりなんだから、少し休ませて」
《その時ガサガサっと音がする》
「うゎーーっ!」
「何だよ、イヤミ?!でっかい声出すなよ」
「震えてるぞ」
「怖いんだー。良し良し、アタシが良い子良い子してあげるからー」
「こ、怖くなんかないぞ、暗くたって」
「暗いのが怖いんだー。大丈夫よー。良し良し」
沙羅先生が子供にするみたいに連君に良い子良い子してる。
少し落ち着いたみたいだ。
暗いのが怖いんだね。
でも、あの連君が、暗いのが怖いなんて意外だな。
「小さい頃、怖い思いをした事が有って、それ以来夜道はダメなのだ」
そう言えば連君て、夜に一人で出かける事無いよね。
「そうかそうかー。街中ならともかく、ここは山ん中だもんねー。ちょっと怖いかも?でも、皆んな一緒だから大丈夫よー」
お腹一杯で動けない感じだし、僕達はここで少し休む事にした。
「すっかり暗くなっちゃったわね」
「こんな所で野宿はごめんだ。先を急ぐぞ。な、何ですかその顔は?こ、怖いからではないぞ。あれは幼い頃の話で…」
《少し微笑んで井山を見る沙羅先生》
「もう少し行くと山小屋が有るよ」
「こら、小虎。そういう事は早く言え」
「イヤミの兄ちゃん。山小屋なら怖くないよ。行こう」
「イヤミではなく井山だ。そ、それに、怖いわけではない」
「はいはい、強がるところが可愛いわねー。さ、行こー」
「な、何が可愛いだ」
とにかく小虎君のナビで山小屋まで行く事になった。
【山道】
「近いんだろうな?」
「もう少し先だよ」
「だからよう、俺達の感覚の近いとは違うって言っただろ」
「もたもたするな、急ぐぞ」
「もう、イヤミー」
「な、何を…」
「怖いならこうしてなさいよー」
《井山の手を引く沙羅先生。赤くなる井山》
連君照れてるけど、それでも沙羅先生の手を放さない。
保育士さんと園児みたいだけど、ああやってると安心するみたいだね。
「建物が見えて来たよ。あれなの?小虎君」
「うん、そうだよ」
「だりぃ、早く寝たいぞ」
【山小屋】
「何も無いのね」
まあ、寒い季節じゃないし、夜が明けるまでここで休むぐらいならね。
「どうやって寝るの?」
「どうやってって?」
「お部屋が一つだけで…」
そうか、先生達は女性だった。
「んなもん、そこら辺で適当に寝りゃ良いじゃん」
「スースゥー…」
「って、司のヤツもう寝てやがるし」
「まあさ、山だから夜中は冷えるかもしんないしー、皆んなでくっついて寝よっ」
優里香先生はまだ不安そうだけど、まあ、沙羅先生も居るから大丈夫だね。
不安て、何がそんなに不安なのかな?
モンスターとかが現れたら僕達が居るから大丈夫だし。
「イヤミー。怖いなら抱っこして寝るー?」
「じょ、冗談ではない。子供じゃあるまいし」
「あら、ここまで来る時は手を繋いで来たじゃなーい。保育士してた時の事思い出しちゃったわよー」
へー、沙羅先生って、やっぱり保育士さんだったんだ。
「さあ、いらっしゃーい。良い子良い子してあげますからねー」
沙羅先生、まだ連君をからかってる。
あれ?
連君が素直に沙羅先生の所へ行ったぞ。
「怖いから来たのでは無いですからね。何か有ったら守る為です」
「そうかそうかー。頼りにしてるよーイヤミ、じゃなかった。連ちゃん」
《沙羅先生がそう言うと井山はちょっと不思議そうに沙羅先生の顔を見ていたが、やがていつもの得意げな顔になるのであった。そして…》
少し眠れたかな?
まだ外は暗いみたいだ。
あれ?
先生も起きてる。
「どうしたの?」
「眠れなくて。貴方は?」
「僕は少し寝たけど、目が覚めちゃった」
「男の子達はどこでも眠れるのね。逞しいわ」
「沙羅先生もだけど」
《井山を庇うように手をかけて寝ている沙羅を見て「クスッ」と笑う2人》
「(本当は大河君の寝顔を見ていたの)」
「先生も少し寝た方が良いよ。安心して。モンスターが来たりしたら翔達叩き起すから」
「眠れるかしら?」
「心配ならこうして居れば良い」
「あ…」
《大河は優里香先生のそばに行き優しく手を繋ぐ》
「ほら、あっちも」
《ニコニコして沙羅先生と井山を見る大河。大河に手を繋がれ少し驚いた顔の優里香先生も2人を見て顔をほころばせる。そして…》
う、う~ん。
《大河が目を覚まして皆んなを見回す》
もう朝なの?
窓から明るい陽が射してる。
なんだかんだ言ってるうちに、皆んな寝ちゃったんだね。
《ふと横を見る大河。優里香先生は大河に寄りかかって眠っている。2人は手を繋いだまま》
やっと眠れたみたいだし、もう少しこのまま居よう。
あれ?小虎君は?
小虎君が居ない。
まさか?!
《その時ドアが開き小虎が入って来る。そしてシャツに集めて持って来た木の実を床に置く》
木の実を取って来てくれたんだね。
でも…
「小虎君、一人で外に行ったら危ないよ」
「大丈夫だよ。この辺りは俺のテリトリーだもん」
「そうか。でも今は魔族が居るから一緒に行動しようね」
「うん、わかった」
「おっ、美味そうな木の実だな」
《翔が木の実に手を伸ばす》
「食って良いのか?」
「うん、良いよ。翔兄ちゃんすぐ「腹減った」って言うから取って来たんだ」
皆んな起きて来て木の実を食べた。
「それを食べ終わったら山を下りるぞ」
「わあってるよ、イヤミ」
「井山だ」
【山道】
「やっと下りになった感じー?」
「あっち見て。湖が見えるでしょう?」
「あら、本当ね」
「あそこに魚人族が住んでるんだよ」
「魚人族って、良い奴らか?」
「うん。見た目怖いオジサンも居るけど、皆んな良い人達だよ」
「人魚?綺麗な女性も居るんだろうね、きっと」
「居る居る」
「楽しみだね、魚人族の人達と会うの」
「あら、大河君。何が楽しみなの?」
あれ?優里香先生ちょっと気に入らない感じ?
「焼きもちですか?」
《ニコニコしながら少しからかうように言う大河》
「だ、誰が焼きもちなんか…」
「なんだ、つまんないの。妬いてくれたのかと思ったのに」
「(本当は少し嫌な気持ちになったの…どうしてかしら?)」
「もう少しだよ、もう少しで湖だからね」
「良し、急ぐぞ、皆んな」
「連ちゃーん。そんなに急がなくたって、まだ明るいわよー」
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