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20、エルフの集落。3
しおりを挟む黒に色調取られた廊下に響く2つの靴音が、リグにどうしようもない違和感を覚えさせる。
(はあ~、なんか、息苦しい感じだし、外はあんなに素敵だったのに。)
この商会は、内装がしっかりとした、一番大きな本部の様なものと、その周囲に建てられた他と変わらない木造の家で構成されているようだった。
(エルフの建築技術の限界がこれってことなのかもな。)
リグが歩くここは、一番大きい本部の様なところであり、2階建ての、受付が備えつけられたところであった。
その受付のエルフに対して招待状を見せると、「それではご案内させて頂きます。」と言われて、今の状況になる訳だ。
(というか、リマインの奴、絶対この商会に肩を入れてただろう…
招待状渡しただけで、この待遇だし、向かってるの多分トップのところだろうし。
ちょっと、ここに来たのは失敗だったかもなあ。
リマインの紹介ってことで、注目と警戒されてるし。
…まあ、でも、エルフに対してだったら変わらないか。
今もいつでも剣を抜ける様に準備してる訳だし。
なんか、カモフラージュ出来てない感が凄いもんなあ。)
じっと、案内する男性の剣を眺めていると、男性が足を止めて振り返った。
「何か?」
その表情はどことなく不機嫌そうだ。
「いいえ、なんでも。」
男性はもう一度向き直ると、歩き出した。
(ほら、すぐこれだ。
ああー、早く着かないかなあ。)
リグと男性と間には、これ以上の会話は存在しなかった。
ーーーーーーーーーー
大きな扉を抜けて、やけに広い部屋の中、体に対して明らかに大きな椅子に座るエルフの女性に向き合っていた。
この部屋に入った後、案内をしていた男性が、招待状を女性に対して渡し、何か小声で耳打ちすると、エルフの女性が指図して、部屋から出ていった。
間髪入れず、違う女性が入って来て、紅茶を置いて、退席し、部屋の中は完全に二人となった訳だ。
エルフの女性は運ばれて来たばかりの紅茶を口に運び、そして、口を開いた。
「私は、エルフのシルビア。
気がついていると思うが、この商会の長だ。
年は、まあそれなりといったところだ。
私の自己紹介はこんなもので大丈夫かな、リマインの客人よ。」
リグは、静かに頷いて、口を開こうとする。
しかし、それはシルビアの手によって静止された。
「自己紹介は、認識阻害魔法と、それから幻覚魔法を解除してからにしてもらえるかな?
ご客人よ。」
不敵に笑って見せるシルビアに、リグも貼り付けられたような笑みを浮かべてみせた。
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