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15、絶体絶命にて。3
しおりを挟むクエストを完了して、冒険者ギルドに帰って来た時に、楽しそうに騒ぎたてる集団を見つけた。
新しく冒険者になった少年少女達だ。
その中でも、一際異彩を放ち、怒涛の勢いでランクを上げて来たそのパーティーは、冒険者達の中でも話題に上がっていた。
曰く、あのパーティーの、私達のパーティーの再来の様であると。
彼らは、確かに強かった。
あの時の私達と同じくらい。
だからこそ、そのパーティーは私達と同じ様な行動を取っていた。
そうすれば、誰もが警戒し、警告する。
私達のパーティーと同じようにならないように。
しかし、彼らが方針を変えることは無かった。
それでも上手くいってしまうから。
私は、危機感を覚えた。
私達と同じ結果にならなかったとしても、彼等には、必ず悪い事が起こる。
何故かそう思えてしまった。
彼らよりもランクが高い私なら、彼らよりも高難易度のクエストを受けている私なら。
…彼らと同じ軌跡を辿って来た私の言葉ならば、彼らは耳を傾けるかもしれない。
私は、今がチャンスだと思った。
割と早い時間で、人の目が少なかったし、彼らもこれから何処かに向かうような様子でも無かったからだ。
それなのに、私の足は縫い付けられたように動かなかった。
何というか、今でも思うような、パーティーメンバー達への、パーティーメンバーだった彼への罪悪感とか、後悔とか。
様々な入り混じった感情が、私の体にのしかかって来たような気がしていた。
私は、腰にかけた短剣に指を這わせた。
目を閉じて、短剣に刻まれた模様を、指にかかる凹凸から想像する。
大きく深呼吸を置いて、目を開けた。
足下には、もう重石は存在していなかった。
私は、彼らを正面に捉えた。
ゆっくりと足を進めると、彼らの中に緊張が走ったのが伝わった。
最初は分からなかったが、すぐに理由はわかった。
私は、短剣から手を離して、両手を上げて、武器を持っていない事をアピールした。
「すまないね。
そういうつもりではなかったんだ。」
彼らの中のリーダーと思わしき少年が、安堵の表情を浮かべ、話しかけて来た。
「あんたみたいな高ランクの冒険者がそんなただならぬ様子を醸し出してたら、俺たちも警戒しちまうってもんだよ。」
少しおどけた様子で話す少年に、少女が咎める声を上げる。
「ちょっと!
失礼でしょ!ちゃんと敬語を使いなさいよ!」
すると、面倒くさそうにしながら、少年が質問を投げかけた。
「あー…
それで、なんだか様子が変でしたけど、なんか用でもあるんですかね?」
私は、少し言葉を探したが、早めに切り上げて答えた。
「別に、敬語なんて使わなくてもいいよ。
それで、要件なんだけど、そうだなあ…
高ランク冒険者のノウハウを学ぶってことで、仮パーティーでも組んで見ない?」
少年少女は目を輝かせて、ふたつ返事で肯定した。
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